Rockfield's Diary
染井吉野ナンシーの官能ダイアリー
社会復帰はできるのか?
書店回りをしなくなり、更には時短勤務、在宅ワークになって一週間、いや二週間でしょうか? だいぶ慣れました。いや、慣れすぎてしまっています(汗)。
あたしの勤務は、朝の6時に出社してお昼12時まで。まあ、6時は早すぎるので、社内的には7時から12時までの5時間勤務となっています。時短勤務なので、各自出社時間をずらしながら5時間勤務をしていますので、昼ごろ来て夕方までという者もいます。あたしの場合は超早番といったところでしょうか?
で、12時で退社ということは、学生時代の土曜日みたいな感じです。早起きは辛くはないので、それほど苦にもならず、駅までのバスがまだ走っていない時間なので30分弱のウォーキングも運動不足の解消に少しは貢献しているのではないかと思い込もうとしています(笑)。
在宅ワークの方は、今のところ月火金が出勤日で、水木が在宅です。週休四日のような生活です。いや、もちろん自宅でメールチェックしたり、やれるべき作業はやっていますが、どうしても気が緩みがちではあります。
こんな生活がどのくらい続くのでしょうか? 一か月や二か月続いたら、もう前の生活には戻れそうにありません。きちんと月曜から金曜まで、毎日7時間働いて、午後からは重いカバンを持って書店回りに行ってなんて、果たして体が対応できるのでしょうか? そんな不安がフツフツとわき起こってきています。
新訳? 改訳?
光文社の古典新訳文庫から『すべては消えゆく
』が刊行されました。
あれっ、どこかで見覚えのあるタイトルですね。そうです、もともとはUブックスに『すべては消えゆく』が入ってたのを、海外文学ファンならご存じのことと思います。しかし、同書は品切れになって久しいです。
そこへ持ってきての復活ですから喜んでいる方も多いのではないでしょうか? しかし、古典新訳文庫ですからそのまま出したとしたら「新訳」の名折れのはず。訳者は同じ中条省平さんですし。
ということで現物を見てみましたら
本書は一九九六年六月に白水社から刊行された『すべては消えゆく』を大幅に加筆・修正したものに、別の二篇を新たに訳して加えたものです。
という注記がありました。つまりは改訳ということになりますね。ちなみに「別の二篇」とは同書収録の「クラッシュフー」「催眠術師」の二篇で、これがタイトルに「マンディアルグ最後の傑作集」と名付けた所以でしょう。
ちなみにマンディアルグ作品で、あたしの勤務先でまだ在庫のあるものは『城の中のイギリス人』と『オートバイ
』のみになります。
以前は『狼の太陽』とか、『薔薇の葬儀
』『黒い美術館』『燠火』といった作品もUブックスにあったんですけどね……
来年は没後30年、復刊できないものでしょうか?
猿に会った?
その前に配信された「サムのこと」が、ちょっと謎解き風のドラマだったのに対し、こちらは女子大生3人が日光へ一泊旅行へ行く、ほのぼの道中。この緩さがいいですね。
このドラマの「猿」は言うまでもなく日光東照宮にある三猿のことです。主人公三人それぞれの個性が目、口、耳で表現されているところからも見ざる、言わざる、聞かざるの三猿を意識しているのははっきりしています。
そして放送後、乃木坂ヲタの間では、三猿のキーホルダーが新たなヲタグッズとして評判になっているようです。外出自粛でなければ、ファンが大挙して東照宮を訪れ、メンバーと同じ場所で写真を撮り、同じようなことをする光景が見られたことでしょう。
さて、そのキーホルダー、ネットで「日光 三猿 キーホルダー」で検索すれば画像がたくさんヒットすると思います。あたしは持っていませんが、実は写真のような三猿を持っています。
最近はご当地キティも減ってますね。ご当地それぞれにゆるキャラがいるからなのでしょうか?
犬の本
雑誌『婦人画報』5月号の書籍コーナーで、犬に関する海外小説が二点、紹介されていました。
その一つが、新潮クレスト・ブックスの『友だち』です。自殺してしまった男友達が飼っていた犬を、ペット不可のアパートで飼う羽目になってしまった女性の物語です。
その犬というのが、室内で飼えるような小型犬ならまだしも、なんとグレートデン。女性では散歩に連れて行くのもひと苦労の大きさの犬です。さらに大変なのはこのグレートデンがもう余命幾ばくもない老犬だということです。アパートの階段の上り下りにも手間のかかる大きな犬、既に若くはない主人公には荷が重すぎます。
最初は、なんであたしが犬を押しつけられなければいけないのよ、という思いだった主人公ですが、犬を通して故人を偲ぶうちに、犬に対する愛着、愛情も芽生えてきます。そして徐々に犬の死期も近づいてきます。全体としては、男友達との回想が多く、主人公と犬との感動物語はサイドストーリー的なのですが、後半に向かうにつれ、その比重が徐々に変わっていきます。
そして紹介されていたもう一点がこちら、中国の作家、閻連科の短篇『年月日
』です。
日照りで作物が取れなくなった貧しい村。人びとはその季節をやり過ごすため町へ移りますが、しかし主人公のおじいさんは自分の畑にたった一本生えてきたトウモロコシを守るため、たった一人村に残ります。そのおじいさんの相棒となるが、目の見えない野良犬です。
一人と一匹で、食べるものもなく水も涸れ果てた村で、壮絶なサバイバルが始まります。最後の最後、万策尽きた主人公が採った行動は涙なしには読めない感動作です。
主人公と犬のストーリーはフィクションだとしても、このような干ばつ、中国では現在も起きているのだろうなあと思います。むしろ森林の乱伐により砂漠化はますます深刻な状況になっているようですので、現実に起こりうる小説です。
さて、そんな二作品、あたしはどちらも読んでいます。テイストはかなり異なりますが、どちらも犬好きなら読まずにはいられないのではないでしょうか?
猫と比べると若干旗色の悪い犬ですが、それでも他の動物と比べたら本にしろグッズにしろ数え切れないほどあります。外出自粛で家に籠もっている方、特に犬好きの方なら、こういう本ばかりを集中的に読んでみるのもよいのではないでしょうか?
間違えたら大変?
あくまで架空のタイトルですが、「初級フランス語」と「入門フランス語」といった、うろ覚えだと勘違いしやすい本の名前、あるいは「フランス語会話」と「フランス会話」のような引っかけ問題(?)と言えそうな書名、こういう注文は出版社の側でも迷います。
電話ですと復唱して確認することもできますが、書店からファクスで注文が来ている場合、著者名とかISBNコードとか、タイトル以外に手掛かりとなるものがないと、「果たしてこのタイトルは?」となってしまいます。
語学書の場合、それほどの金額差もないことが多いので、注文主も「確か2000円ちょっとくらいだったはず……」といった曖昧な記憶しかなく、手掛かりがまるで得られないことも多々あります。まして読者の方々はISBNコードなんて知らない人の方が多いですし。
と思っていたら、吉川弘文館の人文叢書で『鶴屋南北』という新刊が刊行になりました。
「人物叢書」ですから鶴屋南北の評伝でしょう。そして著者は古井戸秀夫さん。
そうなると思い出されるのは『評伝 鶴屋南北』です。著者も同じで、タイトルどおり鶴屋南北の評伝です。いくつかの賞を受賞し、「鶴屋南北の評伝」といったらこれを思い出す書店の方も多いでしょうし、検索すればまずはこちらがヒットするのではないかと思います。
しかし、この両者、価格がまるで異なります。『鶴屋南北』は本体価格2,200円、280ページのハンディーなものです。一方の『評伝鶴屋南北』は函入りの2冊本で分売不可、本体価格は25,000円です。まさに「丸の数が一つ違う」です。
お客さんが書店に来て、「鶴屋南北の評伝を探しているのだけど……」と言われた店員さんが、端末を検索して、価格の丸の数をよく確認せず(こういうのは見落としがちです)に『評伝鶴屋南北』の方を発注してしまったらどうなるのでしょう? お客さんが欲しかったのがそれだったらよいのですが、もし「人物叢書」版だったら、一週間くらいたって本が入荷してきた時に面食らってしまうのではないでしょうか?
もちろん受注した出版社側ではそんな事情はわかりませんから、書名に間違いや疑わしいところがなければそのまま出荷してしまいます。悩ましいところです。