今年の大河ドラマは紫式部の物語なので、藤原氏や源氏物語、さらにはもう少し視野を広げて平安時代に関する本が非常に多く出版されています。まあ、これは毎年のことなので驚くほどのことではありません。むしろ風物詩と言えるかもしれません
そして、その大河ドラマもあと三か月ほど、いよいよ佳境に入ってきましたので、そろそろ来年の大河ドラマ、蔦屋重三郎に関する書籍の出版が目に付くようになってきました。そんな中で手に取ってみたのがPHP新書の『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』です。
蔦屋重三郎に焦点を当てつつも、彼が生きた江戸時代の状況にも言及した一冊です。蔦屋重三郎と言えば、山東京伝や東洲斎写楽など当時の芸術家たちの作品を多数世に送り出したことで有名です。そういう人たちも本書には数多く登場します。もちろん田沼意次や松平定信など時の政治家も扱われています。
重三郎以外でも皆非常に興味深い人物が多いのですが、中でも気になったのが大田南畝です。蔦屋重三郎とは関係なく、以前からなんとなく関心を持っていたのですが、本書を読んでより興味が増したわけです。と思っていたところ、角川ソフィア文庫から『大田南畝』という一冊がタイミングよく刊行されたので早速買ってみました。