またまた岸本佐知子さんの『わからない』からです。
日記の中に「新百合」という言葉が頻出します。東京の小田急沿線にお住まいの方であれば、「ああ、新百合ヶ丘ね」とすぐに了解していただけると思いますが、そうでない方にとっては「新百合」って何、という感じだと思います。
もう一度書きますと、小田急線の駅で新百合ヶ丘という駅があり、快速急行も停まりますし、小田急の本線と多摩センター、唐木田へ向かう支線とが分岐する、比較的大きな駅です。そして、この駅名からも推察できるとおり、お隣、一つ新宿寄りには百合ヶ丘という駅があります。
あたしはそこまで詳しくないので、百合ヶ丘駅と新百合ヶ丘駅の歴史や沿革については知りません。ただ、岸本さんが著書で書いているように、小田急沿線に住んでいるほとんどの人は「新百合ヶ丘」なんて長ったらしい名前を呼ぶことはなく、「新百合」と呼んでいるようなのです。あたしは沿線住民ではないので、断定的なことは言えませんが。
ただ「新百合ヶ丘」を「新百合」と略すということは、「シンユリ」と「ガオカ」に分解しているわけですよね。でも、上に書いたように「百合ヶ丘」があっての「新百合ヶ丘」だと思うので、分けるとしたら「シン」「ユリガオカ」のはずです。
あたしは小田急沿線の営業担当になってから、このことに違和感と言いますか、ちょっと腑に落ちない物を感じていたのです。そして小田急線の車内や駅構内で放送に耳を澄ますと、「シン・ユリガオカ」というイントネーションで発音されていることがほとんどなのです。小田急線としてオフィシャルには「シンユリ・ガオカ」ではなく、あくまで「シン・ユリガオカ」というスタンスなのでしょう。
この車内放送を聞いたとき、あたしも納得がいった次第です。