NHK大河ドラマ「光る君へ」は越前が舞台。そこに宋からやって来た中国人が出て来ます。彼らは日本との貿易を求めているようです。
松下洸平演じる宋人、実は日本人から、吉高由里子演じる後の紫式部、まひろが宋の言葉を教わるシーンが出て来ます。まひろはみるみる上達し、別れ際に「再見」なんて挨拶を発します。
ここでふと疑問が湧きました。「再見」って日本人にもお馴染みの中国語「さようなら」「また会いましょう」という言葉ですが、この時代に使われていたのだろうか、ということです。それを言ってしまったら、松下洸平を含め宋人たちの使っている中国語は紛れもなく現代の「普通話」です。あの時代の中国語って、これで合ってるの、という疑問が湧いてきます。
ただ、これを言い出したら、日本人側だって話している言葉はまるっきりの現代語です。平安時代が舞台ですから、語彙が違うのはもちろんのこと、発音も現在とはずいぶんと異なっていたはずです。しかし、江戸時代を舞台にした時代劇を始め、喋っている言葉はどの映画、ドラマも現代語です。
ここを忠実にやり出したら、たぶん専門家でも考証しきれないところになってしまうのでしょう。日本人が現代日本語で話しているのですから、宋人が現代中国語で話していても、何ら問題ないわけですよね。とはいいえ、あの時代にはなさそうな語彙を紫式部が教わっているというのは、どうしても違和感を感じます。