前回のダイアリー、ドラマ「不適切にもほどがある!」について書きましたが、一つ書き忘れていた話題があったので、それについて補足を少々。
その話題は何かと言いますと、カセットテープについてです。ドラマの中で娘の純子が、メタルテープを買ってこなかった父親を罵倒するシーンがあります。最近の若い方は、メタルってわかりますでしょうか。
いや、そももそもカセットテープの現物を見たことのない人がほとんどではないでしょうか。わが家にはまだカセットテープがありますので、ご覧に入れましょう。ドラマの中にも出て来たと思いますが、アクシア(AXIA)のカセットテープです。
そして二つめの写真もアクシアですが、ノーマルではなく、ハイポジのテープです。このノーマルとかハイポジというのは、カセットテープの種類でして、カセットレコーダーにもテープの種類に合わせて切り換えるスイッチが付いていました。
カセットテープを知らない令和の若者には、カセットテープの種類と言われてもチンプンカンプンなのでしょう。いま「ハイポジション(ハイポジ)」と書きましたが、もともとはクロームと呼ばれていたはずです。そしてノーマルとクロームのさらに上級の種類としてメタルポジションがありました。
三つめの写真が、そのメタルですアクシアではなく、メーカーはティアックです。ティアックと言えばオーディオ好きには欠かせないメーカーで、オープンリールテープで有名でした。そのオープンリールの形状を模しているのがこのティアックのメタルテープです。
と、ここまでカセットテープの三種類をご紹介してきましたが、もう一つの種類があったのはご存じでしょうか。それがフェリクロームです。その名前からもわかると思いますが、先程挙げたクロームの派生的なもので、あたしの記憶が正しければ、ノーマル、クローム、フェリクローム、メタルという順番で音質がよくなり、もちろん値段も高くなります。
当時はレコードからカセットにダビングし、ウォークマンで聞くというのが定番でした。「マイ・フェイバリット・ソングズ」と名付けた、自分の好きな曲ばかりをいろいろなレコードから集めたテープを作って、好きな人に渡すというのはが学園ドラマでよく見かけるシーンでもありました。ちなみに、写真でもわかるように、74分というカセットテープの長さは、当時の標準的なアルバムの長さに合わせたものでした。
さて、高級なラジカセですと上記の四種類の切り替えスイッチが付いていましたし、フェリクロはなくともノーマル・クローム・メタルの三種類の切り替えスイッチが付いていました。ただ格安なラジカセになると、ノーマルとハイの二種類の切り返しか出来ないモデルが種類でした。そのようなラジカセではクロームと言わず、ハイポジションと表記されていて、徐々にカセットテープはノーマルとハイポジションの二つに収斂されていったと思います。
そんな低価格のラジカセにはテープの種類を切り換えるスイッチが付いていないことも多く、その場合は自動で切り替えが行なわれていました。どうやってテープの種類を判別しているかと言いますと、五枚目の写真ではわかりにくいかもしれませんが、テープの側面についている窓(誤消去防止のための爪があります)の形状が異なるのです。ちなみに、メタルテープだと、真ん中あたりにも二つ穴が開いていて、合計四つの穴があります。