似て非なる、否、そもそも似てないか?

松田青子『おばちゃんたちのいるところ』を読んでみました。本作の内容紹介には

追いつめられた現代人のもとへ、おばちゃん(幽霊)たちが一肌脱ぎにやってくる

とあります。幽霊がやって来ると聞いて思い出したのが、『海峡を渡る幽霊』です。

こちらはの内容紹介には

都市化の波に取り残された港町に生きる女性、結婚後の夫との関係に悩む妻、幽霊となって故郷を見守る先住民の女性など、女性の視点から台湾の近代化と社会の問題を描く。李昂の豊饒な文学世界を堪能できる一冊

とあります。女性を助けに幽霊が現われるというモチーフでは似ていると言えなくもないですが、読んでみるとテイストは全く異なります。

むしろ、読んだ感じとしては『冬将軍が来た夏』の方が相通じるものが感じられました。こちらの内容紹介には

レイプ事件で深く傷ついた私のもとに、突然あらわれた終活中の祖母と5人の老女。台中を舞台に繰り広げられる、ひと夏の愛と再生の物語

とありまして、決して幽霊ではないのですが、主人公の女性を助けに現われる女性たちというモチーフが『おばちゃんたちのいるところ』と似ていなくもないと感じられたのです。

それにしてもあたしが挙げたのはいずれも台湾の作品ですが、こういう心温まる怪異譚というのは日台共通のものがあるのでしょうか?