彼女はマリウポリからやってきた
ナターシャ・ヴォーディン 著/川東雅樹 訳
ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が、亡き母の痕跡と自らのルーツを見いだす瞠目の書。ウクライナの船主、バルト・ドイツの貴族、裕福なイタリア商人、学者、オペラ歌手など、存在すら知らなかった親類縁者の過去が次々と顕わになり、その思いもよらぬ光景に著者は息を呑み、読者もそれを追体験する。忘却に抗い、沈黙に耳をすませ、失われた家族の歴史(ファミリーストーリー)を永遠にとどめる世紀の小説。ライプツィヒ書籍見本市賞受賞作。
市民的抵抗
非暴力が社会を変える
エリカ・チェノウェス 著/小林綾子 訳
「ある国の人口の3.5%が非暴力で立ち上がれば、社会は変わる」。この「3.5%ルール」で一躍有名になったのが本書の著者で、ハーバード大学ケネディ行政大学院教授のエリカ・チェノウェスだ。本書は、この「3.5%ルール」をはじめ、市民的抵抗の歴史とその可能性を探る試みである。
ドイツ史1866-1918(上)
労働世界と市民精神
トーマス・ニッパーダイ 著/大内宏一 訳
本書は、『ドイツ史1800-1866 市民世界と強力な国家 (上・下)』に続く、「19世紀ドイツ史三部作」の第二巻目だ。ドイツ帝国の成立を挟んで第一次世界大戦に至るまでのドイツが、「アンビバレント」な側面と問題性を孕みながらも、「モダン」な社会と文化に向かってダイナミックな発展を遂げていく様子が、社会・経済から宗教・教育・学問・芸術まで、分野ごとに詳述される。