北欧神話100の伝説
パトリック・ゲルパ 著/村松恭平 訳
ヨーロッパにおいて、ギリシア神話に次いで作品数が多いのは北欧神話である。その寓話や伝説は『ニーベルングの指環』を書き上げたリヒャルト・ワーグナーをはじめ、映画、アニメーション、ゲームなどを創り出す現在のクリエイターたちにもインスピレーションを与え続けている。「オージンの麦酒」「鷲の嘴から出た種」は、どちらも〈詩〉を意味し、「カワウソの償い」「アース神に課された代償」「いさかいの金属」「ライン川の火」は、〈黄金〉を指す。北欧神話を伝える「エッダ」には、これら以外にも、神々や巨人たちの名前が、さまざまな言い換えや隠喩となって盛り込まれている。本書は、こうした特色に触れるとともに、ギリシア神話や聖書との類似を示唆しつつ、神、巨人、小人、怪物、妖精たちがくり広げる100の伝説を取り上げ、魅惑の世界へと誘う。