読書の輪が広がる?

《エクス・リブリス》の新刊『スモモの木の啓示』は、もうご覧になりましたでしょうか?

イラン・イスラム革命に翻弄される一家の姿を、13歳の少女バハールの語りで描く。亡命イラン人作家による魔術的リアリズムの傑作長篇。

という公式サイトの内容紹介にありますように、本作品の舞台はイランです。イスラム革命やホメイニ師といった言葉、単語は、あたしくらいの世代ですと辛うじてニュースで聞いて知っているものですが、若い方ですと興味を持っていない限りよくわからない世界の話かも知れません。

いや、単語を聞いたことがある程度のあたしだって知っているとはとても言えたものではありませんが、それでも海外小説を読むことの愉しみは、そういう知らない世界や国のことを知ることができる点です。醍醐味と言ってもよいでしょう。

ただ、海外小説が苦手という方の多くは、そういった未知の国、よくわからない地域のことをイメージできない、気候や風土、文化や歴史的な背景を知らないので、小説の内容が理解できない、といったことから海外小説を敬遠しがちだと思います。

もっともだと思います。ただし、そんな予備知識がなくたって、読み慣れてくると自然と愉しめるようになるものです。そして、むしろ知らないことが出てくると、そこに興味を覚えるものです。たとえば今回の『スモモの木の啓示』であれば、手近なところでは平凡社新書の『イラン』などがよい参考資料になるのではないでしょうか?

こんな風に、一冊の本から次への本へとリレーしていくのも読書の楽しみだと思うのですが、如何でしょう?