「親の心子知らず」ならぬ「版元の心書店知らず」だったのかしら?

書店の人文コーナーでこんな本を目にしました。

お葬式の言葉と風習 柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典』です。昨年の10月に刊行された書籍です。

柳田國男の『葬送習俗語彙』という書名と本書の著者・高橋繁行の名前にピンと来ました。講談社現代新書の『土葬の村』です。タイトルに惹かれて先日買って読んだばかりの一冊です。この『土葬の村』の著者が高橋繁行で、同書の中で盛んに『葬送習俗語彙』が引用されていたのです。

ちなみに『土葬の村』は今年の2月刊行の書籍ですから、著者としては二冊同時並行で作っていたのではないでしょうか。どちらを先に手がけていたのかはわかりませんが……

それはともかく、先に出た『お葬式の言葉と風習』が人文書コーナーに置かれているのは理解できます。単行本ですから、内容に合わせてふさわしいジャンルに置かれていたことになります。

ところが、今年になって現代新書で『土葬の村』が出たのですから、一緒に並べるくらいのことをしてもよかったのではないでしょうか? 現代新書のコーナーには現代新書のみならず、各社の新書が所狭しと並んでいるでしょうから、そこに創元社の『お葬式の言葉と風習』を並べるのは厳しいかも知れません。であれば、人文書コーナーに『土葬の村』を持ってきて一緒に並べることもできたはずではないでしょうか? たぶん出版社としては、そういう並べ方を期待していると思います。

こういう時に、文庫や新書、単行本といった形状にこだわらず、テーマに沿って本を並べている一部の書店や図書館は優れているなあと感じるところです。もちろん、こういった気づきを書店の方にそれとなく伝えるのも書店営業の大事な仕事ではありますが、今回はちょっと書店の方が忙しいところだったので、余計な雑談は憚られました。

しかし、こういうサジェスチョンは余計な雑談なのか、あるいは大事な営業トークなのでしょうか? 多少の自省も感じているので、ここに書いて罪滅ぼしとさせてください。いや、お前に言われなくても、とっくに気づいて一緒に並べているよ、という書店員さんも多いのだと思いますが……