思いがけない邂逅

ちくま新書の『中国共産党vsフェミニズム』を読んでいましたら、驚いたことがありました。

その前に、フェミニズムの観点から習近平と中国共産党による独裁体制の一面を暴いた本書はなかなか面白い一冊でした。習近平体制の中国を描いた本は星の数ほど刊行されていますが、この視点はちょっと珍しいのではないでしょうか。

そして本題です。驚いたことです。

同書には、フェミニズムや女性の権利拡大の事例がいくつも取り上げられていますが、その中の一つ、弦子さんという大学生が実習で中国のテレビ局へ行ったときに、著名な男性アナウンサーにセクハラを受け、それを後に裁判に訴えたという事案が取り上げられています。

弦子さんの裁判を受け、何人もの女性が性被害を訴えるようになり、多くの著名人が加害者とされたそうです。そして同書の135頁に、いきなり『房思琪の初恋の楽園』が登場するのです。その経緯は、台湾の小説『房思琪の初恋の楽園』の大陸版が刊行されたときに、性被害を訴えられた著名人の一人、著名な脚本家である史航氏が推薦文を寄せていた、というのです。中国でも非常によく売れたそうですが、「増刷分の同書や電子版から史氏の推薦文を削除する対応を迫られた」と書いてあります。

フェミニズムや女性の性被害と言えば、『房思琪の初恋の楽園』は外せない一冊でしょう。マンションの手すりに鍵が置かれたカバー写真。本書を読んだ人であれば、この写真の意味するところが痛いほどわかるはずです。

465夜

松岡正剛さんが亡くなりました。あたしの勤務先では、特に著者などは刊行していませんので、縁はやや薄いでしょう。ただ、松岡さんの「千夜千冊」の第465夜で『ライ麦畑でつかまえて』を紹介いただいたのが、個人的には非常に印象に残っています。

その第465屋の冒頭で松岡さんは次のように書かれています。

一九六〇年代のアメリカで若者たちのお手軽なバイブルになりかかっていた文芸作品が三つある。精神科病院を舞台に患者たちの擬装と反抗を描いたケン・キージーの『カッコーの巣の上で』(冨山房)、戦争状態という管理と倫理の悪夢を描いたジョーゼフ・ヘラーの『キャッチ=22』(早川書房)、そして、J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』である。

あたしは、その当時のアメリカの状況を知らないので、この松岡さんの指摘がどれくらい打倒するのかわかりません。でもそういうものなのだろうと、この記事を読んだ当時は思っていました。そして、そのバイブル三作品、あたしも一丁前に架蔵しております。

アンダーメンバーばかりでした

明日が公式の発売日ですが、例によって前日に届いてしまう、乃木坂46のニューシングル「チートデイ」です。今回もいつもどおり、全タイプを一枚ずつ購入しました。

既に公式サイトでも公開されていますが、ジャケットはこんな感じです。表側には選抜メンバーしか写っていないのもいつもどおりです。通常盤以外の4枚には生写真が封入されていますが、今回引き当てたメンバーは以下のメンツでした。

佐藤璃果、矢久保美緒、向井葉月、岡本姫奈

ものの見事にアンダーメンバーばかりです。こういうこともあるんですね。

とても嬉しくて、でもちょっと残念

月曜日というのは、日曜深夜と言いますか、月曜の朝っぱらに放送された坂道グループ3番組の感想や情報がネット上を飛び交う日です。あたしもリアル視聴はせず、録画しておいて月火水と毎日一番組ずつ視聴していますが、ネットでどんな内容であったかという情報だけは入ってきます。

ふだんの放送で驚くと言えば、選抜メンバーとフォーメーションの発表くらいで、それだって事前の予測が大きく覆されるようなことは滅多にありません。しかし本日は驚きました。

卒業と同時に芸能界引退を発表していた、乃木坂46四期生の掛橋沙耶香が登場したのです。他のメンバーと共に出演して番組の企画に参加したわけではありません。最後に一人で登場し、バナナマンから花束を受け取って少し話をし、最後にファンへのメッセージを述べただけです。

それでも、ケガからずっと復帰を待っていたファンからすれば、こうしてテレビに、それも冠番組である乃木坂工事中に出演して、話す姿、動く姿を見せてくれたのは非常に嬉しいことです。涙を流したファンも多かったようです。なにせ、何の予告もなく、突然の登場でしたから。

惜しむらくは、せめて真夏の全国ツアー、最後の神宮にメンバーと一緒に舞台に立ち、ファンの前で最後の姿を見せてほしかったなあと、ちょっと残念な気もします。ただ、ケガをしたのが神宮の舞台でしたから、本人の気持ちとしてどうだったのでしょうね。トラウマになっているのであれば無理強いはできませんが、前へ進むためにあえてその舞台に立つという選択肢もあったとも思います。いずれにせよ、彼女本人の選択を尊重し、幸せな人生をこれからも送って欲しいと願うばかりです。

あたし、実は四期生の中では、加入当初は掛橋が一番のお気に入りでした。その後のドラマ「取り立て屋ハニーズ」も見ていましたが、あの頃は元気で、いかにもアイドルという感じでしたけど、昨晩の映像を見る限り、大人の女性になった印象ですね。

さて、もう一つ坂道グループから。

櫻坂46の田村保乃がセカンド写真集を出すことが発表されました。ファンからすれば嬉しいニュースですが、ネットには「田村保乃卒業」というワードがあふれています。

あたしもこのニュースを聞いたときには、「あら、セカンド写真集なの?」という思いよりも、「ああ、ほのすも卒業か」と思いました。年齢的にもそろそろか、と言われていましたが、彼女の場合は卒業後どうするのでしょう。演技仕事をコンスタントにやっているイメージもなければ、モデル仕事というわけでもないですから。

もちろん公式には卒業のその字も発表されていないので、ファンの間での勝手な憶測に過ぎませんが、ファンとしては気になるところです。掛橋沙耶香のように芸能界引退となると、もう顔を見ることがほとんどできなくなるわけですから、ファンにとってはつらいでしょう。

試験休みは昭和の遺物?

昨日、今日と一泊で姪っ子たちが来ています。今日はもう明るいうちに帰る予定なので、どこかへ出かける予定はありませんが、姪っ子たちはわが家で教科書準拠のドリルをやっています。今の子供のドリルって解答解説はスマホやタブレットの動画で見たりして、あたしが子供だったころとはまさに時代が違う、という感じです。

ちなみに、姪っ子たちは夏休みの宿題はとうに終わらせて、今やっているのは自主的な勉強なんだそうです。そう言えば、昨今は夏休みの宿題も減っているという報道がありますが、実際のところはどうなのでしょう。あたしが子供のころも、それなりにドリルとかは「いくらやっても終わらない」という印象を持っていましたが、だからといって8月31日に無理矢理終わらせる、なんていう記憶はありません。

ところで、高校生になった姪っ子に「試験休みはあった?」と聞いたら、「試験休みって何?」と言われました。いまって試験休みがないのでしょうか、あるいは試験休みという制度って地域的なものなのでしょうか。ちなみに、あたしは都立高校でしたけど、夏休み前、冬休み前には学期末試験が終わると一週間くらいの「試験休み」があり、それが終わって終業式というスケジュールでした。

あたしの場合、夏休みの宿題はこの試験休み中に終わらせて、終業式には宿題をロッカーに仕舞って夏休みを迎える、というのが定番で、小中学生の時の夏休みも、どんなに遅れても7月中には宿題はあらかた終わらせるようにしていました。何事もさっさと終わらせるタイプだったのは、いまもあまり変わっていないですね。

真夏に雪?

『猫語の教科書』のポール・ギャリコの邦訳を調べてみたら、こんな本を見つけました。金原瑞人さんの解説で知ったのですが、それがこれです。

新潮文庫の『雪のひとひら』です。

このタイトル、命の危険を感じるこの暑さの中では一服の清涼剤のように感じられますが、あたしがイメージしたのは全く別のものです。それは沢田聖子の楽曲です。

このダイアリーでは時折名前が出て来るシンガーソングライターの沢田聖子。その楽曲の一つに「雪ひとひらに」というのがあるのです。シンガーソングライターと書いておいたのに矛盾しそうですが、この楽曲は沢田聖子の作詞作曲ではありません。

でも、とてもすてきな楽曲で、あたしは大好きです。歌詞の最後に

一年経った 今ではきっと 君は誰かの 恋人だろう もうそれぞれの プライバシー ただ偶然に 会いたい

というフレーズがあって、この部分が学生時代のあたしには非常にしみました。偶然に会いたいと思っていた女の子がいたのですが、今に至るも数十年、結局会えずじまいです。

最後になりましたら、沢田聖子の「雪ひとひらに」、ぜひ聴いてください。YouTubeにいくつかアップされているのはすべて違法アップロードだと思いますし、サブスクでも配信されていないようなのですが、とてもよい曲です、ぜひぜひ。