大河ドラマでは描かれるのでしょうか?

評判がよいのか悪いのか、視聴率だけで判断するのは避けたいと思いますが、今年の大河ドラマはどうなのでしょうか。とはいえ、あたしは数十年ぶりに大河ドラマを見ています。大河ドラマがこの時代を取り上げるのは、なかなか冒険だと思います。

ところで、こんな本を買いました。大河ドラマの時代とも重なりそうな『平安王朝と源平武士』、そして『戦国武将と男色』です。「男色」とは、筑摩書房も攻めてますね。

とはいえ、学校の授業ではほとんど触れられることはありませんが、日本史において男色は珍しいことではなく、むしろ日常茶飯事のような気がします。決して僧侶だけの話ではなく、戦国武将も、そして平安貴族も、男色はかなりお盛んだったようなのです。

となると、大河ドラマでもそのあたりの世界が描かれるのか、非常に興味深いです。若き日の道長と紫式部の逢瀬を描いたことが話題になっている今年の大河ですから、男色の世界にも果敢に挑んでほしいものです。

選択のパラドックス

少し前に光文社新書の『恋愛結婚の終焉』を読んでいました。曰く、恋愛と結婚は分けて考えるべき、恋愛・結婚・出産という三位一体の呪縛から解放されるべき、とのこと。

あたしのように生まれてこの方、既に半世紀以上、恋愛にすら行き着いていない人間には、三位一体の一つすら手に入れていないわけですから、恋愛と結婚を分ける、分けないなんて議論することすらできません。同書の議論からすると「アウト・オブ・眼中」な存在なのでしょう。

そんな同書を読んでいて、ふと目に留まったのが「選択のパラドックス」です。もちろん同書の論点は恋人や結婚相手を見つけるという文脈の中で語られているわけです、

現代社会では、選択肢が多くなると「自分はこんなことも決められない人間なんだ」と無力感を感じて選ぶのが難しくなり、選んだあとも「ほかにもっとよい選択肢があったのでは」と後悔が残りやすい、(P.195)

そして例に挙がっている実験が「ジャムの法則」として知られるものです。24種類のジャムと6種類のジャムを被験者に試食させ、どれくらい購買に繋がるかと調べたものです。結果は6種類のジャムを試食した方が高い購入率を示したそうです。

そして著者は次のように書いています。

世の中の商品やサービスの選択肢の幅は、むしろ一定程度に抑えられたほうが、消費者の心理的負担は少なく、かつ幸福度が高いことになります。(P.196)

この部分を読んだ時に、あたしは1000坪クラスの大型書店と最近ブームのセレクト型書店を思い出しました。あたしのような業界人、そして普段から本に親しんでいる人にとっては、大型書店の蔵書量は魅力的で、何時間いても飽きない宝の山に感じられるわけですが、そういう人間はごくごく少数なのでしょう。大多数の人にとっては、あまりの物量に圧倒されてしまい、自分の読みたいものが捜し出せない状態に陥っているのではないかと思うのです。

人は認知エラーを起こすので、選択肢が多いとますますエラーが頻繁に起きてしまうようです。となると選択肢を最初から絞っておくのが手っ取り早い解決方法です。ただ選択肢を絞ると言っても、自分ではどう絞ってよいのかわからない人も多いことでしょう。そこで書店員があらかじめ絞っておいてくれるセレクト型書店が昨今は盛り上がっているのではないか、と思います。