今年は辰年ということで、日本の情報番組ではタツノオトシゴを飼育している水族館を紹介していることが多いです。しかし、辰と聞いてもタツノオトシゴはいまひとつピンと来ません。確かにタツノオトシゴという命名からして、龍との親和性は高いのでしょうが、「あれが龍なの?」というのが正直な感想です。
あたしが辰と聞いて思い出すのは、中国で見た九龍壁です。中国には著名な九龍壁は三つあります。一つは大同で、残りの二つは北京(故宮と北海)にあります。あたしはこの三つの九龍壁を学生時代の短期語学研修で北京に行ったときに見ています。大同も研修中の週末を使った旅行で訪問したので見ることができました。
本来、龍とは皇帝の象徴であるので、黄色の瓦と同じように皇帝以外は使用禁止、つまり九龍壁も作ってはいけなかったそうです。ですから北京にある二つは皇帝のお膝元として問題ないとして、大同は皇帝でもない領主(皇帝の弟だったはず)が作ったということで北京で問題になったそうです。大同側では申し開きとして、皇帝を象徴する龍は五本の指と爪を持っていますが、ここにあるのは4本の指と爪ですので(皇帝の象徴としての)龍ではありません、と詭弁に近い言い訳で、なんとか取り繕ったという話です。
大同の九龍壁、確かに指と爪は四本でした。ただ、あたしの印象では、この大同の九龍壁が一番迫力があって見応えがあったと思います。