3点に3冊

朝日新聞の年末恒例「書評委員今年の3点」です。

今年は温又柔さんに『J・M・クッツェーと真実』と『断絶』、金原ひとみさんに『もう死んでいる十二人の女たちと』を取り上げていただきました。

お二人の選書だからと言うと少し偏見かも知れませんが、いずれも文芸ジャンルの作品でした。個人的には、もう少し人文社会系の本が選ばれるかな、と期待していたのですが、他の書籍に力及ばずでした。

もちろん、選んでいただいたこの三冊もよい本ですし、多くの方にお薦めしたい本ではあるのですが、それでも「いや、文芸だけじゃなくて、ほかにもいろいろな本を出しているんですけど……」という思いがあります。

あたしの勤務先のウェブサイトでも今年のベストテンを発表していますが、必ずしも文芸ジャンルばかりではありません。まあ、売れた本と書評委員の方が選ぶ本とは必ずしも一致しませんし、一致する必要もないのですが……

ただ、売れていないわけではないですが、こういうランキングでは、どうもこの数年、人文系が弱くなっているような気が個人的にはしています。

紀伊國屋書店が発表した今年の「じんぶん大賞」でも、発表された30位までにあたしの勤務先の書籍は選ばれていません。やはりちょっと悔しくはあります。ランキングに選ばれなくても売れていればいいじゃないか、という意見もあると思いますが、こういうランキングって出版社以上に著者が気にするものなのでしょうか?