もっと知りたいロシア語
初級から広げ深堀りする
桑野隆 著
バフチンやヤコブソンなどのロシア文化・思想の研究の一方で、長年にわたり大学でのロシア語教育にも携わってきた著者が、初級の項目から見えるロシア語の「深層」を案内します。初級の項目でありながらも教科書や自習学習書で扱わないことがら、深く踏み込まれることの少ない事項などを取り上げます。英語や日本語との比較も加えました。初級を終えた学習者にも、ロシア語を教える立場の方にも有益です。もう一歩先のロシア語理解を目指す、これまでにない画期的な解説本。
ニューエクスプレスプラス アムハラ語
若狭基道 著
コーヒーの産地、マラソンの強豪国として名高いエチオピア。独立国としての長い歴史をもち、エチオピア正教の信仰や独自の暦の使用など、特色ある文化でも知られています。実質的な公用語であるアムハラ語もまた、独自のエチオピア文字で表記されますが、その姿はなんとも不思議。子音と母音の組み合わせから成る音節文字で、約280の形があります。そんな文字の書き方から複雑な動詞の活用まで、日本語で解説した貴重な入門書です。
J・M・クッツェーと真実
くぼたのぞみ 著
「クッツェーを翻訳することは彼の視点から世界全体を見直すレッスンだった」
――ノーベル文学賞作家J・M・クッツェーの翻訳を80年代から手がけてきた著者が、クッツェーの全作品を俯瞰し、作家の実像に迫る待望のクッツェー論。
J・M・クッツェー 少年時代の写真
J・M・クッツェー 著/ハーマン・ウィッテンバーグ 編/くぼたのぞみ 訳
学校の友人や教師をスパイカメラで盗み撮りした写真、スポーツイベントの様子、ケープタウンの自然環境や建物、受け継がれてきたカルーの農場と労働者など生活の様子を撮影した写真だけでなく、人種隔離政策が浸透していった50年代の南アフリカの政治状況を記録する写真もある。そこから、自身が身を置く特権的な白人世界の境界を押し広げようとする作家の姿が見えてくる。また、初めて公開される16歳の蔵書の写真からは、作家の自己形成期への影響が見て取れる。クッツェーのインタビューも収録。
カンポ・サント[新装版]
W・G・ゼーバルト 著/鈴木仁子 訳
2001年のゼーバルトの突然の交通事故死から2年後、遺稿を含む散文やエッセイを編んだのが本書だ。前半はコルシカ島を舞台とした4つの短い未完の散文作品「アジャクシオ短訪」、「聖苑(カンポ・サント)」、「海上のアルプス」、「かつての学舎の庭」を収録している。池澤夏樹氏の「解説、あるいは架空の対話」を巻末に付す。