臨済宗

写真の右は、月末に刊行になる『禅と浪漫の哲学者・前田利鎌』ですが、前田利鎌ってご存じですか?

タイトルから人の名前だということはわかると思いますが、では「前田」はよいとして「利鎌」ってどう読むのだろうと頭を抱えてしまった方がほとんどではないでしょうか?

たぶん日本史における知名度は極めて低いと思われますし、そんなわけですから、いつの時代の人物なのか、どういうことをした人なのかもわからない人ばかりでしょう。

そこに、本書が出版される意義があるわけです。

ちなみに、前田利鎌の名前は知らなくとも、本好きの方であれば岩波文庫に『臨済・荘子』という一冊があるのを記憶されている方はいらっしゃるのではないでしょうか? 同書の著者が前田利鎌です。あたしも、中国好きなので「荘子」というタイトルに惹かれて購入していました。

ちなみに、臨済宗はわが家の菩提寺の宗派です。臨済宗の南禅寺派です。とはいえ、父方の田舎は千葉なので日蓮宗、母方の田舎は新潟で浄土真宗でして、父方の祖父が東京へ出て来てから建てたお墓が臨済宗南禅寺派の寺だったというだけのことですが……

今日の配本(21/06/22)

DELF B1・B2対応
フランス語単語トレーニング

モーリス・ジャケ、舟杉真一、服部悦子 著

DELFのB1、B2レベルに沿った40篇のテクストを読み、語彙力を強化していきます。ひとつの単語から、類義語、対義語、派生語へと語彙を増やしましょう。練習問題はDELFの試験と同様、フランス語で出題されています。習得した単語の確認だけでなく、同じ内容を別の表現で言い換える力も養えます。語彙が増えると、「読む」「聞く」「話す」「書く」の幅が大きく広がります。DELFのB1、B2を受験する方はもちろん、仏検2級、準1級を目指す方、とにかく語彙力をつけたい方におすすめです。

ⅡからⅢへ

三体Ⅱ 黒暗森林(下)』を読了しました。

実は『三体』は刊行からほどなく購入して一気に読み終わり、第二巻も発売されたらすぐに購入しました。そして『三体Ⅱ 黒暗森林(上)』を読み終わったのですが、それからしばらく読むのが止まっていました。

そして、お隣、韓国の作品をいくつか読み耽っていたのです。しかし、そんなことをしている間に第三巻が刊行されてしまったので、慌てて『三体Ⅱ 黒暗森林(下)』に立ち返り、読み終わったというわけです。

もちろん『三体Ⅲ 死神永生(上)』『三体Ⅲ 死神永生(下)』は購入済みですが、またもや韓国文学を読み始めてしまいました。とりあえず、こちらはそれほど時間をかけずに読み終わりそうなので、読み終わったら第三巻に戻ってきたいと思います。

ところで第一巻は、最初から三部作にするつもりだったのか否か、あたしには情報もなくてよくわかりませんが、最後の部分は少し駆け足と言いますか、強引に「第二巻へ続く」展開に持って行った印象を受けました。つまりラストと言いますか、後半に不満を覚える仕上がりでした。

そしてそして気を取り直しての第二巻でしたが、こちらは最初から第三巻ありきの展開でしたね。ですから、最後まで弛むことなく、なおかつしっかりと第三巻へ宿題を残した終わり方でした。どんな展開になるのでしょうか?

一か月ほど刊行が早かったらよかったのに? それともあえて?

岩波文庫から『楚辞』が刊行されました。

写真の一番右側です。カバーだけ見ると、ちょっと岩波文庫には見えませんが、紛れもなく岩波文庫です(笑)。

ところで『楚辞』と聞いても、中国古典に詳しくないと何のことだかわからないでしょうし、そもそも「楚辞」を「そじ」と読むことも難しいかも知れません。かつての日本人であれば、「離騒」や「屈原」の名前は一般教養の範疇だったと思うのですが、残念です。

そんな愚痴はともかく、岩波文庫ではかつても『楚辞』を刊行していましたが、あたしが学生時代には品切れ状態で、その当時、古書肆で見つけて買ったのが一番左の『楚辞』です。1935年刊行の橋本循訳注のもので、あたしが買ったのは「1984年4月5日第11刷」でした。

その後、1997年にリクエスト復刊が行なわれ、既に社会人になっていましたが、改めて買い直したのが真ん中のものです。奥付には「第12刷」とあります。

今回は訳者が代わって小南一郎さんになっています。橋本訳はもう役割を終えたということでしょう。岩波版の古典新訳ですね。

ちなみに、二枚目の写真は、中華書局版の『楚辞集注』です。あたしが学生時代の演習で読んでいたテキストです。懐かしく、わが家の書架から引っ張り出してきました。

ところで、今回の岩波文庫は6月の刊行ですが、『楚辞』の作者・屈原は5月5日が命日だと言われています。ちまきの由来にもなっています。ですから、刊行も5月5日だったらよかったのになあ、と密かに思ってしまいました。ただ屈原の命日なんて伝説ですし、そもそも古代の話ですから旧暦でしょう。となると、奥付にある「6月15日」はほぼ旧暦の5月5日ですから(今年は6月14日が旧暦の5月5日)、岩波書店としてはそれを狙っていたのかも知れませんね。

2021年6月20日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

学術書が生き延びる道?

今朝の朝日新聞の読書欄に、小さいですけどこんな記事が載っていました。2020年に廃業した創文社の学術書を講談社がオンデマンドで発行し続けるという情報です。

学術書の出版で知られていた創文社が廃業したのは、学生時代にお世話になっていた身からするとショックでしたが、長引く出版不況の中では致し方なかったのかも知れません。

そして、創文社の資産を講談社が受け継ぐというニュースも、少し前に業界で話題になりました。それが改めて朝日の紙上で紹介されたということなのでしょう。

ところで、「学生時代にお世話になった」と書きましたが、わが家の書架にはこんな一角があります。

創文社の書籍です。あたしが学生のころ(だったと思います)に刊行が始まった「中国学芸叢書」です。官公署に感じた印象は、中国学術の王道と言うよりは、ちょっとニッチなテーマ、主題の書籍が目に付くなあ、というものでした。

不定期で刊行され、これで全部なのか、買い洩らしているものが他にももっとあるのか、そのあたりまでは追っていませんが、わが家には十冊以上は所蔵していました。しかし、既に創文社からは入手できなくなってしまったのですよね。

講談社のオンデマンドで、これらのタイトルが復活することはあるのか否か、今後に期待です。

2021年6月19日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

早くも三冊目? ようやく三冊目?

亜紀書房の『声をあげます』を購入しました。

これは亜紀書房のシリーズ《チョン・セランの本》の三冊目で、これまでに『保健室のアン・ウニョン先生』と『屋上で会いましょう』が刊行されていまして、どちらも読みましたが独特の世界観を持つ作品でした。

今回の作品はSFとありますので、また著者独特のワールドが展開されるのではないでしょうか? 期待しています。しかし、中国もそうですが、アジア圏は根っからSFが好きなのでしょうか? あるいは現状に対する閉塞感がやや空想的なSFの世界へ逃げ込む原因となっているのでしょうか?

書籍が刊行されているのです

本日の朝日新聞夕刊です。舞台作品の紹介です。

紹介されているのは神奈川芸術劇場で上演中の「未練の幽霊と怪物-『挫波』『敦賀』-」です。そして同作は、あたしの勤務先から書籍として刊行されています。それが『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』です。

演劇ですから生で感激するのが一番なのはわかっていますが、チケットが取れなかった、あるいはコロナ禍で見に行くのがちょっと怖い、という方は書籍で少しでも気分を味わっていただければと思います。

今日の配本(21/06/17)

虹む街

タニノクロウ 著

多様性ゆたかな飲食店街の、味のある人びとが魅せる、滑稽で哀切な人間ドラマ。口の利けない男が語る、ポスト・コロナ時代の「寡黙劇」。