再びの検査

明日から関西ツアーです。

とはいえ、今回のツアーは木金の二日間という超短期間。それで京阪神を回るつもりなので、いわゆる弾丸ツアーです。

というわけで、こちらの安心もさることながら、訪問する書店へのマナーとして改めて抗原検査キットで検査をしてみました。その結果が写真です。

お陰様で、今回も健康そのものという結果でした。さて、一泊二日で三都をどれだけ回れるでしょうか?

どうも地味に注文が伸びているような気がするのです

ウクライナ情勢を受け、書店でもこの状況を理解し、読み解くためにさまざまな書籍を取り揃え、並べているようです。とはいえ、多くの日本人が「ウクライナってどこ?」という感じですから、ウクライナやベラルーシなどに関連する書籍は少ないです。あっても刊行から時間がたち、既に版元品切れのものも多いようです。

そんな中、あたしの勤務先の『ニューエクスプレスプラス ウクライナ語』の注文が地味に伸びています。その国を理解するにはまずは言葉ですから、本書に飛び付く人がいても何ら不思議ではありません。本社が役に立つのであれば、大いに活用して欲しいと思います。

ただ、『ニューエクスプレスプラス ウクライナ語』に隠れてしまっていますが、あたしの勤務先では『つばさ君のウクライナ語』というのも出しています。本書は

ロシア語との違いに触れながら、ウクライナ語のしくみを学んでいくはじめての参考書。『ニューエクスプレスプラス ロシア語』のスキットそのままに、本書では主人公つばさ君がウクライナ語を学習していきます。全20課、各課スキットにロシア語訳および日本語訳付き。巻末にはウクライナ語─日本語、ロシア語─ウクライナ語の2種類の単語リストを用意。2課おきの練習問題でもロシア語との比較ができます。音声無料ダウンロード。

という内容ですから、ウクライナとロシアの違いを知るにも最適な一冊ではないでしょうか?

また『比較で読みとく スラヴ語のしくみ』という一冊もありまして(残念ながら現在品切れ)、こちらが扱う言葉は

ロシア語、ベラルーシ語、ウクライナ語、ルシン語、ポーランド語、カシュブ語、ソルブ語、チェコ語、スロヴァキア語、スロヴェニア語、クロアチア語、ボスニア語、セルビア語、ツルナゴーラ語、マケドニア語、ブルガリア語……

というように、いま世界中の注目が集まっている地域が見事に含まれています。言葉が異なれば、考え方も習慣も細かいところで違いがあるのでしょうね。

読み比べてみたくなる(?)この二冊!

本日の朝日新聞読書欄でも紹介されていた、河出書房新社の『JK、インドで常識ぶっ壊される』は、書評の有無にかかわらず少し前から気になっていた一冊です。同社のサイトによりますと

日本でキラキラのJKライフをエンジョイするはずだった。だけど、突然一家でインドに移ることに。制服での映え写真。放課後はタピオカ片手にガールズトーク。そんなアオハルを夢見ていたけど……。「ごはんはカレーしかなくて、汚くて、治安が悪い」そんなイメージしかないまま始めたインドでの生活はおどろきの連続。

という、いわば体当たり体験記な一冊だと思われます。どうしてこの本が気になっていたかと言いますと、あたしの勤務先から近々刊行される『日本でわたしも考えた インド人ジャーナリストが体感した禅とトイレと温泉と』と真逆だなあと思ったからです。

こちらの著者は女子高生ではありません。ジャーナリストですから知識も経験もある大人です。それでも日本に来て、それなりのカルチャーショックは受けたみたいです。サイトには

著者はインドを代表する英字紙『ヒンドゥー』の元北京支局長で、EU代表部に勤める夫と二人の息子とともに初めて来日。四年近くに及んだ滞日生活でインドでは考えられないような日常に目を瞠り、自身の知的好奇心をフルに発揮して多くの日本人や在住外国人と意見を交わした。生活習慣の違いから日本語習得の難しさ、俳句や金継ぎなどの伝統文化、政治・社会問題まで多岐にわたるテーマについての興味深い考察が本書には詰まっている。

とあります。高校生とジャーナリストという違いはあれど同じ女性ですから、同じような気づきがあったのかもしれません。ちなみに、前者の紹介文には「ごはんはカレーしかなくて」という一説がありますが、後者の紹介文にも「「中村屋のボース」とカレーの伝播」という言葉が出て来ます。日印はカレーで結ばれているのかも知れません。

そう言えば、『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』なんて一冊が角川新書から出ていましたね。

お互いに参考文献?

いくつか紹介記事も出て、お陰様で『破綻の戦略 私のアフガニスタン現代史』が好調です。日本からは地理的にも、気持ちの上でも遠いアフガニスタンについて少しでも知りたいという方が潜在的には多いのではないかと思われます。

本書は、大学卒業後、ダリー語修得のためカーブル大学に留学して以降、一貫してアフガニスタンに関わり続けてきた元大使によるメモワール的なドキュメントである。現地にどっぷり浸かり、体験し、長年にわたって蓄積した知見をもとに書き下ろした。

上掲のような内容の本書は、取材する記者ではなく大使として現地で奮闘した著者の体験に基づくノンフィクションです。ライターとはまた異なる視点からの知見が披瀝されているはずです。

そして本書と併読するとよさそうな新刊が出ます。3月刊行の岩波新書『タリバン台頭 混迷のアフガニスタン現代史』です。

「テロとの戦い」において「敵」だったはずのタリバンが、再びアフガニスタンで政権を掌握した。なぜタリバンは民衆たちに支持されたのか。恐怖政治で知られたタリバンは変わったのか、変わっていないのか。アフガニスタンが生きた混迷の時代には、私たちが生きる現代世界が抱えた矛盾が集約されていた。

こちらの内容は上掲のとおりです。

つばさ君はどうしてる?

テレビを見ていると、ニュースや情報番組は北京五輪の話題ばかりですが、ウイグルをはじめとした中国の人権問題も忘れてはいけない事案です。しかし、どうしてもオリンピックの影に隠れ、そういった問題は報道される機会が少ないですね。そもそも国内を自由に取材させてくれないでしょうから、何かと制約も多いのでしょう。

そして、もう一つ気にかけていると目に付く国際ニュースがウクライナ問題です。

 

ロシアが本当に侵攻するのか予断を許しませんが、国際問題解決の第一歩は相互理解だと思っています。日本人のどれくらいの人が、ウクライナの場所を地図の上で示すことができるでしょう。クリミア半島の場所ってわかっているでしょうか? 日本人にとってはロシア以上にウクライナは遠い国なのだと思います。

そこでまずは言葉です。お薦めするのは『つばさ君のウクライナ語』と『ニューエクスプレスプラス ウクライナ語』です。前者は音声ダウンロード、後者は付属のCDと音声アプリでウクライナ語の響きを聞くことができます。これでまずはウクライナという国に対する親しみを持っていただければと思います。

 

そして、クリミア問題について考えるのであれば外せないのはこちら、『クリミア戦争(上)』『クリミア戦争(下)』です。

「その他」の気概?

「その他の外国文学」の翻訳者』の見本が出来てきました。

このタイトルをご覧になって、どういう内容の本なのか、おわかりいただけるでしょうか? そして「その他の外国文学」にあえてカッコが付いている意味に気づいた方はいらっしゃるでしょうか?

そのヒントは右の画像です。ネット書店「アマゾン」のジャンル分けで「文学・評論」部門を辿っていったものです。「日本文学」の下がいわゆる海外文学になるわけですが、「中国文学」から「ギリシャ・ラテン文学」まで具体的な国名・地域名が上がっているのは九つで、これら以外の国・地域はすべて「その他の外国文学」にまとめられてしまっています。

日本で翻訳が出版されている点数から考えて、このジャンル分けはやむを得ないと思いますが、それでも「その他」にまとめられた国・地域の言葉や文学、歴史、文化を学んでいる人にすればモヤモヤとしたものを感じるのではないでしょうか?

左の画像は、同じくネット書店「楽天ブックス」のジャンル分けです。なんと「外国の小説」でひとまとまりにされています。いくらなんでもこれは大雑把に過ぎるのではないか、という気もします。

ただネット書店の場合、リアル書店とは異なり、棚をつらつら眺めて装丁を楽しんだり、帯の惹句を熟読したり、といった行為はほとんどなく、書名や著者名で検索し、ダイレクトに目的の本に辿り着いたらカートに放り込む、というのが定番でしょうから、あまりジャンル分けにこだわっていないのかも知れません。

とはいえ、楽天ブックスのこのジャンル分けは潔いと言いますが、ネット書店としてのスタンスが垣間見えるものがありますね。

そういうネット書店に比べると、リアル書店が母体である紀伊國屋書店のオンラインストアはジャンル分けも充実しているように感じられます。アマゾンと似ているようでちょっと異なりますね。

「その他ヨーロッパ文学」とか「その他アジア文学」というのがありつつ、更にそれらからもこぼれるものが最後の「その他海外文学」なのでしょう。ここに分類されるのは一体どういった作品立ちなのでしょう。逆に興味が沸いてきます。

そして最後、一つだけ横長な画像は丸善&ジュンク堂書店のネット書店「honto」のジャンル分けです。

日本の他には「アジア」と「欧米」があるだけで、あとは「その他海外の小説・文学」になってしまいます。ちなみに、この「その他海外の小説・文学」をクリックすると「ラテンアメリカ」と「アフリカ」という分類が現われます。

「欧米」の下位ジャンルは、「ギリシア・ラテン」「英米」「ドイツ」「フランス」「スペイン」「イタリア」「ロシア」「その他ヨーロッパ」となり、「アジア」の下位ジャンルは「中国」「韓国・朝鮮」「その他アジア」です。

話は戻って『「その他の外国文学」の翻訳者』ですが、本書はウェブ連載がベースになっています。それを一冊にまとめ、斎藤真理子さんの序文を付したものです。本書をお手に取られた方、まずは斎藤さんの序文を一読してみてください。

上流階級も大変だ?

ネットニュースで知ったのですが、本日2月6日は英国のエリザベス女王即位の日だそうです。今日で即位70年になるそうです。

そんな今日という日にお薦めの一冊は『やんごとなき読者』です。もちろんフィクションではありますが、主人公はそのエリザベス女王ご本人です。

ある日、愛犬を追って城の裏庭にやってきた女王陛下は、移動図書館の車と、本を借りにきていた厨房の下働きの少年に出くわす。あくまでも礼儀上、一冊借りたことが、人生を変える、本の世界への入り口となった。以来、すっかり読書の面白さにはまってしまい、カンニングする学生のように公務中に本を読みふけるわ、誰彼かまわず「最近どんな本を読んでいますか」と聞いてはお薦め本を押しつけるわで、側近も閣僚も大慌て。読書によって想像力が豊かになった女王は、他人の気持ちや立場を思いやるようになるものの、周囲には理解されず、逆に読書に対してさまざまな妨害工作をされてしまう……。

公式サイトにある内容紹介は上記のとおり。本を読むことに目覚めたエリザベス女王が周囲を引きずり込んだドタバタ劇であり、とても笑える内容です。その一方で、本を読むことの楽しさを教えてくれる一冊でもあります。

さて、エリザベス女王は英国における究極の上流ですが、英国の上流階級に興味をお持ちの方には、現在売行き絶好調のこちら、『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』がお薦めです。

ドラマ「ダウントン・アビー」やジェイン・オースティンの小説が好きな方であれば、こちらも大いに楽しめるはずです。是非手に取ってみてください。

ここまでやるのか? ここまでやるのね!

昨日のダイアリーで書店のディスプレイについて書きました。

和菓子のアン』のカバーに載っているような和菓子を再現したオブジェが飾られていました。書店の方の手作りだそうです。作品に対するヒシヒシとした愛情を感じました。

こういう書店のディスプレイは、出版社の営業としては非常に興味深いもので、最近では新宿の紀伊國屋書店で開催された《白水Uブックス》フェアの展開も印象深かったです。

そんな中でも、あたしの記憶に一番残っているのが写真の展開風景です。

先年閉店してしまった宮脇書店ヨークタウン野田店のものです。あたしが東北地方を担当していたころには年に一度か二度訪れていました。

ただ、この写真を撮ったのはYA出版会で福島地区へ研修旅行へ行ったときに撮影したものだったと思いますから、十年近く前の話です。

乃木坂46ではなく、まだまだAKB48が人気絶頂で、夏の文庫キャンペーンもAKB48が担当していた時代です。

この大きな樹が真ん中にドーンと聳え、そこにツリーハウスが作られています。樹を作るだけなら他のお店でもやっていそうですが、このツリーハウスの中が凝っています。「これはシルヴァニアファミリー?」と思ってしまいそうなクオリティーでした。

これもやはりお店のスタッフの方が手作りしているそうで、毎年のように作っていると聞きました。なんでも年が明けると、今年の夏はどんなディスプレイにしようか考え始めるのだそうです。

こんなディスプレイを作っていたスタッフの方、お店が閉店した後も他の書店で作っているのでしょうか? このツリー以外にも店内はいろいろなディスプレイであふれているお店でした。

生誕140年

今日は、ヴァージニア・ウルフの生誕140年なのだそうです。

というわけで、白水Uブックスの『フラッシュ 或る伝記』をご紹介。

犬目線の、とても可愛らしい小説です。

登場する犬はコッカースパニエルだったと記憶しています。日本では犬種としての人気はどのくらいなのでしょうね?

あたしの季節感っておかしいでしょうか?

あたしの勤務先のPR誌『白水社の本棚』のリニューアル第4号が出来上がりました。お近くの本屋さんに置いてあるかも知れませんが、なければ公式サイトからご請求ください。

さて、その第4号が右の写真の一番右になります。写真は刊行順に左から並べています。2021年4月に発行されたものが第1号になります。

表紙には第1号とか、NO.1とは表示されておらず「2021春」とだけあります。同じように、2021年7月発行のは「2021夏」、2021年10月発行のは「2021秋」、そして今号は「2022冬」とあります。

あたし、この表記が気になるのです。

確かに、季節感としてはこの春夏秋冬は合っているのですが、あたしの感覚では(あくまであたしの超個人的な感覚では)今号は「2022春」なんですよ。やはり一年というのは春夏秋冬ですから、1月は新春なので「春」と表記してもらいたいのです。

ただ、年度で括るのであれば、現状の表記がしっくりくるのでしょう。でも、あたしにはそれがしっくりこないのです。あたしってどうも旧暦で生きている感じなのでしょうか。

みなさんは、どう思われますか?