シリーズもののタイトル表記

岩波書店から『台湾の少年』という本が出ています。絵本と言うには内容が重いので、いわゆる「大人向け絵本」というジャンルにでも相当するのでしょうか?

それはともかく、この『台湾の少年』は現在第一巻第二巻が刊行済みで、近く第三巻が刊行されます。年内には第四巻が出て完結だそうです。その『台湾の少年』をアマゾンの検索窓に入力して検索した結果が右の画像です。

最初にこの『台湾の少年』が三つ並んで表示されたのはさすがと言えますが、あたしが気になったのはこのタイトルです。

台湾の少年 1 統治時代生まれ
台湾の少年 2 収容所島の十年
台湾の少年: 戒厳令下の編集者 (3)

と表記されています。わざわざアマゾンが表記をいじくるとは思えませんので、この表記は岩波書店の担当者が登録したままなのでしょう。第三巻になると(3)とカッコ付きで表記され、なおかつ副題は先に来ています。正題と副題との間に「:」なんかも挟まっています。

こういうシリーズものの表記の揺れ、あたしって気になって仕方がないんですよね。もちろん、あたしの勤務先の刊行物にもこういった不統一は多々ありますので、見つけたときには担当者に訂正をお願いしますが、すべてが直りきっていないことでしょう。情けないことです。

カバンに悩むのは何度目でしょうか?

このダイアリーでも何回も書いていますが、またしても仕事用のカバンに悩んでいます。

ここ数年はMANHATTAN PASSAGEのトートバッグを使っていたのですが、縫い目がほつれたりしてきて、そろそろ寿命かなと感じられるようになってきました。そろそろ次のカバンを考えなければと思いつつ使い続けていましたが、先日遂にそれを処分いたしました。

現在は以前購入していた、肩掛けのビジネスカバンを使っているのですが、これがちょっと大きすぎて、サイズもそうなのですが、形状もしっかりしていなくて、芯がないと言いますか、荷物の出し入れでファスナーを開け閉めするのがやりにくいのです。

これは早々に新しい鞄を調達しなければと思っているのですが、なかなかこれというカバンが見つかりません。今回は、あまり大きくないものを選ぼうと思っています。荷物に合わせてカバンを選ぶのではなく、鞄の大きさに荷物を合わせようと考えています。

ただ、今回のカバン選びで一つ重要なポイントは、ノートパソコンです。実は勤務先で使っているパソコン、現在はデスクトップなのですが、これがそろそろ切り替えの時期でして、そのタイミングでノートパソコンに変わるのです。在宅ワークの時は、そのノートパソコンを使うというのがデフォルトになるのです。リモートデスクトップは廃止のようです。

在宅ワークは毎日ではありませんが、翌日が在宅の場合はノートパソコンを持ち帰らないとなりません。特にあたしのように書店営業がメインの場合、ノートパソコンをカバンに入れ、それを持ったまま書店回りになります。これはキツいです。肩掛けカバンはちょっとしんどいでしょう。今回はリュックに絞ってカバンを探そうと思っていますが、これというのがなかなか見つからないんですよね。

消えるばかり?

今朝の朝日新聞です。東京駅前にある八重洲ブックセンター本店が来年3月に閉店に閉店になるそうです。建物の建て替えだそうですね。少し前から噂には聞いていましたが、公式発表になったようです。

いずれ建て替えが終わったら再オープンするのでしょうけど、やはり業界としては寂しさを感じます。

ところで八重洲ブックセンター本店は書店単独のビルなのでこういうニュースになりましたが、実は都内ではもう一つ、大きな書店の閉店が年明けにあります。渋谷の丸善&ジュンク堂書店渋谷店です。

こちらはテナントとして入っている東急百貨店本店の営業終了に伴うものです。これだけの規模の書店が二つも、年明けに都内からなくなるというのは大きなことです。ただ今の出版界の景気を見ていますと、数年後にまた書店が復活するのか不安です。

本を刊行するのも報道の一種なのかもしれない

数ヶ月前に、テレビでミャンマー情勢について伝えていました。世間では、ロシアによるウクライナ侵攻がトップニュースで連日取り上げられ、世界的にもこの武力侵攻に対する介入、制裁が発動されています。

その一方で、もう一年になる軍事クーデター以降のミャンマー情勢については、最近ではほとんど報道されません。最近になり日本人ジャーナリストが拘束されたというニュースが飛び込んできて、「ああ、そうだ、ミャンマーも情勢不安なんだ」と思い出した方も多いのではないでしょうか?

あたしが見たテレビ番組も「ウクライナにばかり世界の関心が注がれて、ミャンマーは忘れられている」という、現地で抵抗運動を行なっている人々の声を紹介していました。どうしても自分の身近の出来事でないと忘れがちになってしまうものです。昨今の旧統一教会と政治家の問題にしても、「最近は報道もされていなかったから」という政治家の「言い訳」がずいぶんと聞かれましたね。

そんな中、岩波新書から『ミャンマー現代史』が刊行されました。そういうテーマの本を刊行するというのは、テレビや新聞が報道するのと同じように大切なことだと思います。現在の書店店頭はウクライナやプーチン、ロシアに関する本が、それこそ雨後の筍のように並んでいます。よくもこの短期間にこれだけ出したものだと、つくづく感心します。

しかしその反面、ミャンマー情勢に関する本がこの間どれだけ刊行されていたでしょう? そんな中での岩波新書、さすがは岩波書店だと思います。

また新しいシリーズが起ち上がった?

こんな本を買ってみました。亜紀書房の『ひこうき雲』です。この数年大流行の「韓流」ですね。

カバーには《キム・エランの本》とありますが、「あれっ、このシリーズ、もう何冊か出ているよね?」と思ったら勘違いでした。何冊か出ていたのは《チョン・セランの本》でした。どうも、韓国の人の名前は覚えられません……(汗)

それにしても亜紀書房も頑張りますね。《チョン・セランの本》も既に5冊出ていますし、それ以外にも《となりの国のものがたり》という韓国文学のシリーズも9冊刊行しています。韓流にはそれほどの鉱脈があるのでしょう。

ただ、出版社としては売れるか売れないかが肝心なのでしょうが、韓流好きにとってはいろいろな韓国文学が紹介されることは嬉しいことではないでしょうか? 最近は中国のSF作品もたくさん紹介されるようになってきましたし、世界中のいろいろな国・地域の作品が読めるようになるとよいと思います。

人口比で考えると

昨日で文教堂赤坂店が閉店になりました。

何年か前までは赤坂あたりも営業担当でしたので、同店も何回も通っていました。近所にはもう一件、金松堂という街の本屋さんもありましたが、それも文教堂よりも前に閉店してしまいましたね。

冒頭でリンクを貼った記事にも書いてありますように、

オフィス街という立地条件から、特に昼休みの時間帯は多くの人でにぎわい、3台のレジ前に行列ができた。距離的に国会が近く、首相就任前の岸田文雄首相や、首相在任中の菅義偉前首相が来店したこともあるという。徒歩数分の距離にTBSホールディングスがあり、利用客にはテレビ関係者も多い

というのは営業回りで訪問したときに文教堂でも金松堂でも聞いた話です。「TBSで領収書をお願いします」なんていう場面がしょっちゅうあったのでしょうね。あたしの勤務先に限らず、堅めの本を出している出版社の本も以前はよく売れていました。そういうお客さんが大勢周囲にはいた、働いていた、ということなのでしょう。

同じく記事にあるように「赤坂店の周辺では、飲食店が軒並み営業休止に。在宅勤務が広がり、人出も減った。海外からの観光客が激減したことも響いた」ようですが、それ以前から、本をよく買ってくれるサラリーマンが定年退職で減ってしまっていたようです。在宅勤務の広がりで、往時と比べ赤坂あたりは昼間人口がどれくらい減っているのでしょうか?

この手の「街から本屋が消えた」というニュースでは地方が取り上げられることが多いです。本屋が一軒もない自治体も話題になります。確かにそれはそれで深刻な問題なのですが、周辺人口(昼間の就業人口も含め)で考えると、東京の方が実は深刻なのではないか、という気がしています。

セルフレジ

最近はいろいろなお店でセルフレジが設置されるようになりました。コンビニなどでは必ずあると言ってもよいくらいです。気づくと本屋さんでもセルフレジを見かけるようになりました。

そこで気になるのはスリップです。セルフレジでスリップはどうしているのだろうか、と思ってしまうのです。

書籍にはスリップというものが挟まっているのをご存じでしょうか? 本屋さんで立ち読みをしているときに「邪魔だなあ」と思った経験はありませんか?

右の写真に写っている、本の上の部分から丸い頭を出しているのがスリップで、かつてはどの本にも挟まっていました。レジで会計の時に店員さんが抜き取ってしまうので、本を買ったときにももう挟まっていませんから、じっくり見る機会は少ないと思います。

最近はこのスリップが最初から挟まっていない書籍も増えてきましたので、セルフレジでスリップをどうしたらよいのかなんて悩む必要もないのかも知れません。でも本屋で見てみればわかるように、まだまだスリップが挟まっている書籍は多いです。セルフレジを使う場合、このスリップは抜き取らないといけないのでしょうか、それとも挟まったまま持ち帰ってよいのでしょうか?

このスリップについては抜き取ろうと抜き取るまいと、どちらでもそれほど大きな影響はないかも知れませんが、もう一種類、常備スリップが挟まっている書籍も本屋には置いてあります。この常備スリップって、本を買ったときにそのまま持ち帰られたらマズいと思うのですが、セルフレジを設置している本屋さんってどう対応しているのでしょうか?

最近の勤務形態

コロナの第六波はピークアウトしたのか、それともまだまだ上がるのか、素人にはわかりませんが、あたしの勤務先も先日来、少し対策を強化しました。

営業部の書店回りについては、先方の意向を最優先に、ということになっていて、いくつかの書店からは本部を通じて訪問営業を控えるようにと言われています。ただ、やはりオミクロン株は比較的軽症という認識が強いからなのか、来ないでくださいという書店はほとんどなく、書店が入っているショッピングモールやテナントビルもうるさく言うところはありません。

だからといって気を緩めるわけではなく、こちらもマスク着用、手指の消毒は欠かさず、書店の方とのおしゃべりも短時間で手際よく、を心がけています。もしかしたら、無症状で既に感染しているのかも知れませんしね。

外回りはそんな感じなのですが、あたしの勤務先、社内密がなかなか解消されません。そんなに狭い事務所に大勢が押し込められているわけではないですし、空気清浄機も置いてあるので、あまり神経質になる必要はないと思いますが、やはり何かあったときのために社内の出社人数をもう少し減らしたいと個人的には思っています。

なので、あたしは先週から、週に一日の在宅勤務の他に、もう一日在宅勤務を増やしまして、ただ増やした在宅勤務日もずーっと在宅しているわけではなく、朝のうちにメールのチェックなどを済ませたら、昼前から外回りに出るようにしました。いわゆる直行直帰というやつです。これなら社内の出社人数を減らすことができます。

先週もそうでしたが、今週も明日は直行直帰を絡めた在宅勤務日の予定です。本というモノを扱う以上、誰も出社しないという訳にはいきませんが、どうして皆さん、会社に来たがるのでしょうね。もっと在宅を増やすべきだと思いますけど。

必要とされているのかしら?

朝日新聞の夕刊にこんな記事が載っていました。

「紙の書籍 販売額15年ぶり増」だそうです。

嬉しいニュースです。

コロナ禍で本を買う人が増えているという話は2020年にも聞かれましたが、ここへ来て本の値段が上がっていることも販売額を押し上げた一因のようです。とすると、本の晩売冊数は減っているのでしょうか?

それはともかく、このコロナ禍で出版社の営業も書店訪問を自粛している期間がありました。2020年などは数ヶ月にわたって書店を訪問できないこともありましたので、あたしたちは開店休業状態でした。同業他社の営業マンと話をしても「とっか書店へ行ってみた?」というのがあいさつ言葉になっていたくらいです。

その一方、実は書籍の売り上げ、特に専門書に関してはほとんど落ちていない、という話もしばしば聞かれたものです。もともとが小さな数字なので、上がりも下がりもしないし、少しくらい上がったり下がったりしても目立たないのかもしれません。

しかし、そういう数字が明るみに出したのは「では、出版社の営業っていままで何をしていたのか?」ということです。書店に営業に行かなくても売り上げが落ちないのであれば、交通費を使って書店に出向く必要はありません。

しかし、本当にそれでよいのでしょうか? 行かないでもできる営業が今後の主流になるのでしょうか?

やはり、ちょっと寂しいですね

書原高井戸店が来年の1月10日で閉店になるそうです。

と言われても、地元の人でないとわからないかも知れませんね。東京は杉並区にある本屋さんのことです。緒言と言えば『書店ほどたのしい商売はない』という本を出版している社長の下、東京の主に西部、多摩地区に数店舗を構えていたチェーンで、ずいぶん前に閉店した阿佐ヶ谷店が特に有名でした。

いまでこそバリアフリーなどと言われていますが、書原は通路も狭く、書棚にもすき間がないくらいビッシリと本が差し込まれているお店で、レジ前の一等地に積んであるから新刊だと思ったら、ずいぶん前に出ている本で、スタッフの方が個人的に推しているからそこに置いてあるような、とにかく個性的なお店でした。

そんな書原の店舗の一つが高井戸店で、高架になっている井の頭線高井戸駅の下にちょっとした商店街があり、そこに入っていた書店です。そしてなぜかこのお店は書原ではなく広和書店という屋号で営業していました。

あたしが高井戸に住んでいたのは小学校に上がる時から大学4年生まで、いわゆる一番多感な時です。本が欲しい時は、まずはこの本屋に来て本を探すのが決まりでした。子供心には、とにかくどっちを見ても本だらけ、子供にはとても難しくて歯が立たない本もあれば、子供向けの絵本や学習参考書も所狭しと並んでいて、あたしの人生最初の本屋体験のお店でした。

その後、何の因果か出版社の営業となり、中央・京王沿線を担当になってからは、仕事として何度も足を運んだお店です。書店の規模の大小に関係なく、多くの書店が廃業、閉店しているこのご時世、慣れているようでいて、自分にとって思い出の書店の閉店というのはやはり寂しいものですね。