今日の配本(24/01/26)

日本に導かれた運命
隣に住む、隣で働く外国人との真の多文化共生をめざして

よぎ(プラニク・ヨゲンドラ) 著

インド出身の元江戸川区議で、茨城県立土浦第一高等学校・附属中学校校長を務めるプラニク・ヨゲンドラ(通称よぎ)氏が書き下ろした待望の自伝的エッセイ。ユニークな半生を通して、異文化理解から多文化共生へとつなげるための手がかりを探ると同時に、日本の教育問題について考えるきっかけを提示する。

穴持たずども

ユーリー・マムレーエフ 著/松下隆志 訳

舞台は1960年代のモスクワ郊外。殺人を重ねながら魂や死、彼岸の世界を追求する主人公フョードル・ソンノフ。彼がねぐらとするレベジノエ村の共同住宅には、世界を不条理で満たさなければ気がすまない異常性癖をもつ妹クラーワと、フォミチェフ家の人々――父のコーリャ、日がなごみ溜めを漁る長女リーダ、快楽の産物として子どもが生じることが許せない婿パーシャ、自らの疥癬を食す長男ペーチャ、現実を「見てはいない」次女ミーラ――が住まっている。

今日の配本(24/01/25)

テーマで学ぶノルウェー語
読む・聞く・書くの総合レッスン

青木順子 著

ノルウェー語を学びながら、ノルウェーの社会、文化、歴史、国民性など多面的に触れ、理解してもらうために18のテーマを各課で学べるようにしました。各課はノルウェー語テキストと日本語訳、単語リスト、文法解説と練習問題で構成されています。複数課おきにテーマ別の語彙のコーナーも設けました。「ノルウェー愛テスト」や「コラム」で息抜きもしつつ、テキスト、語彙、文法解説、練習問題でノルウェー語の読解力・表現力の基礎を完成させましょう。初中級者対象。

ビザンツ帝国の歴史
政治・社会・経済

ジャン=クロード・シェネ 著/根津由喜夫 訳

330年5月11日、コンスタンティヌスが自らの名前を授けて創建した「新しいローマ」は、1453年に陥落するまで、千年以上にわたって存続した。のちにビザンツと呼ばれるこの帝国は、いかにして存続できたのか? 政治・社会・経済・軍事・宗教・外交面など、どのように体制を整え、古代末期から中世へと移行していったのか?

フェア、やってます!

既に昨年のうちにスタートしていますが、南大沢の東京都立大学生協で、あたしの勤務先のフェアを開催中です。この時季は試験などもあり、学生が学校に来る機会が減ってしまいますが、その一方で先生方が公費で書籍を買える年度末になるので、売り上げも期待したいところです。

そして都立大生協に続いて、年明けからは中央大学生協でもフェアが始まりました。写真は、開催中のフェアの模様です。これだけの規模のフェアは久しぶりですね。

分厚くて、値段もそこそこ張ってしまう書籍から、比較的お手軽な語学書まで、ほぼすべてのラインナップが並んでいます。先生、学生、そして職員の皆さまに是非立ち寄っていただければと思います。

ところで、この中央大学生協のフェアを見に行ったら驚きました。なんと、お隣では岩波書店のフェアが開催中だったからです。畏れ多くも天下の岩波書店さんと同時開催とは、気恥ずかしいものです。

売り上げでは岩波書店には勝てないと思いますが、逆に岩波書店のフェアを目当てで来店した方が、うちのフェアにも目を向けてくれると嬉しい限りです。フェアの終了はどちらも同じなので、少しでも食らいついていければなあ、と思っています。

それにしても各大学、コロナが明けてキャンパスに学生が戻ってきて、かつての賑わいが復活していますね。だからこそ、こういうフェアも実施できるわけで、フェアの開催は他の大学にも広がっていくだろうと思います。

今日から公開?

映画というのは、たいてい金曜日から公開になりますね。本日19日金曜日から公開になったのは実写版の「ゴールデンカムイ」です。

コミックもアニメも大ヒットした作品なので実写版はどうなるでしょう。コミック原作が好きだった方の中には実写を嫌う人もいるかと思います。その一方、コミックやアニメは読まないし見ないけど、出ている役者さんが好きだから実写映画は見てみるか、という方もいるかと思います。

そしてコミックが売れに売れていたころから、それにつられて売上を伸ばしていたのが、あたしの勤務先が刊行している『ニューエクスプレスプラス アイヌ語』です。著者の中川先生が「ゴールデンカムイ」のアイヌ語とアイヌ文化の監修をされているので、コミックの参考文献にも本書が載っています。

その影響たるや絶大なもので、売上がそれ以前の2倍から3倍に跳ね上がりました。やはり作品を見て読んでアイヌ語に興味を持った方も多かったのでしょう。本書にはCDも付いていますし、CDプレーヤーを持っていない方には音声アプリでのダウンロードにも対応していますので、アイヌ語を耳で味わうことも可能です。

そしてもう一点、こちらは2021年に刊行したものですが、『第七師団と戦争の時代』です。タイトルだけ見ると、「これがなにか?」と思われる方も多いでしょう。しかし「ゴールデンカムイ」に馴染んでいる方であれば「第七師団」という単語に反応せざるを得ないようです。

今回の映画のサイトにも「杉元&アシㇼパVS.第七師団VS.土方歳三」と大きく書かれています。三つ巴の闘いの一角を「第七師団」が占めているのです。そして「第七師団」を扱った手軽な書籍がないこともあり、「ゴールデンカムイ」ファンの間で本書が読まれているようなのです。

そういうわけで本書も、もちろん日本史の棚に置かれている本ではありますが、「ゴールデンカムイ」を推している書店では、コミックと一緒に並べているところも多かったと聞いています。もちろん上掲の『アイヌ語』もです。

今回の実写版映画公開に合わせて、コーナーを作っている書店がありましたら、改めてこの二点の展開をよろしくお願いいたします。

今日の配本(24/01/18)

清朝滅亡
戦争・動乱・革命の中国近代史一八九四―一九一二

杉山祐之 著

日清戦争から宣統帝退位に至るまで、個性豊かな主役・脇役の人物像に焦点を当て、激動の時代を生き生きと再現した壮大なドラマ。

街の書店の心意気!

東京の郊外、「多摩の渋谷」とも呼ばれる町田を中心に展開している書店・久美堂。小田急線の町田駅前にある本店の一階でこんなフェアをやっていました。

はい、岩波文庫フェアです。在庫のあるものほぼ全点が並んでいるようです。さすがに、あたしが探しているのは数年前から版元品切れになっているようなので並んではいませんでしたが、このフェアは壮観でした。

都心の大型店へ行けば、岩波文庫がほぼ全点並んでいる書店もいくつかあると思います。でも、そういう大型店ではなく、都心でもない郊外の街の書店でこれだけの岩波文庫が並ぶのは滅多にないことだと思います。

このフェア、一階のレジ前でバーンとやっているのですが、店長曰く、昨年の春から、この場所を使ってこういうフェアを連続して行なっているそうです。講談社学術文庫やブルーバックス、ちくま文芸文庫、平凡社ライブラリーなど、なかなか攻めたフェアを二か月ずつやって来て、売上が絶好調なのだそうです。非常に手応えを感じているとのことで、いろいろな版元から「次はうちでやらせてください」との声がかかっているそうです。

フェア台にはこんなメッセージパネルが飾ってありました。「久美堂でのフェアに寄せて」とありますから、岩波書店側が用意したものでしょう。出版社と書店が一緒になって盛り上げようという意欲が見て取れます。

写真をご覧いただければわかるように、スタート時にはビッシリと並んでいたはずの棚のあちこちに隙間ができています。それだけ売れているということなのです。町田という立地は、確かに新宿や横浜に気軽に出られる場所ではあります。町田や周辺には大型書店がないので専門書を買いたい人は都心へ行ってしまう傾向があるそうです。

ただ、都心にも横浜にも滅多に出かけないという地域の方も非常に多いようで、だからこそ時々こういうフェアを開くと多くの人が楽しみにやって来るのでしょう。二か月ごとですから、たまに本屋を覗くくらいの人であれば、来るたびに「何か面白いフェア、やってる」と思ってもらえると思いますし、現にお客様から「次は何やるの?」と聞かれることもあるそうです。