今日の配本(24/07/19)

ヨーロッパの地政学
安全保障の今

ジャン=シルヴェストル・モングルニエ 著/中村雅治 訳

これまでのヨーロッパの枠組みを捉え直し、中東欧地域や、北大西洋でつながる「西欧」まで広げて国際政治を考察する。

ラテン広文典[新装復刊]

泉井久之助 著

初級から上級まで、すべての学習者に贈るラテン語文法書の最高峰。豊富な例文と精緻な解説で、ラテン語が生きた言葉として蘇ります。

今日の配本(24/07/17)

ふくすけ2024
歌舞伎町黙⽰録

松尾スズキ 著

薬剤被害を受けた親子とともに暴走していく「純愛のドラマ」が、全面大幅改稿! 毒と哀切にまみれた、怒濤のダークエンタテインメント。

筑摩書房が厚い!

最近は気付くと筑摩書房の本を買っている気がします。それだけあたしの琴線に触れるタイトルが多いということなんでしょう。

そんな中、最近購入した『日中15年戦争』がかなり分厚い一冊でした。なんでもかつて他社で刊行されていた上中下の三巻本を一巻にまとめてしまっているのだとか。それでは厚くもなるはずです。

もともとちくま学芸文庫は分厚いタイトルが多い印象を持っていましたが、本書はその中でも一、二を争う厚さなのではないでしょうか。きちんと調べたことはありませんが、そんな気がするくらい分厚い一冊です。

ちくま学芸文庫に比べると薄いものが多いちくま新書ですが、こちらもここ数年は分厚いタイトルが増えているように感じます。最近ですと、『アッシリア』や『アフリカ哲学全史』などは、そもそも新書ではなく、単行本の上製で刊行すべきタイトルなのではないかと思います。

数日前の新聞記事にもありましたが、文庫が1000円の壁を突破して数年が経とうとしています。この間、読者の間にも文庫や新書が安くてお手軽という意識は薄くなり、厚みのあるものだったら、それなりの定価になるという新(?)常識が定着しつつあるようです。そうなると出版社も値段を上げやすくなりますし、それに応じて分厚いタイトルも作りやすくなっているのかも知れません。

そういう流れがよいことなのか否か、俄には判断できません。もちろん資材など諸々の価格が高騰しているので、書籍だって正当な対価をもらわなければ出版活動が成り立ちません。もともと本は安すぎた、という意見も聞かれます。その一方、文庫や新書の性格を考えるのであれば、1000円の壁突破はよいとしても、際限のない高価格化や頁数増加は一考すべきなのかも知れません。

と、他社のやり方に口を出す資格など、平気で500頁を優に超える上下本を毎月のように刊行している出版社勤務のあたしにはありませんが、分厚くなる文庫や新書に対して、筑摩書房の単行本は、ご覧のようにますます薄くなっているような気がします。

というわけで、本日のダイアリーのタイトルを見て「厚い」じゃなくて「熱い」じゃないの、と思われた方もいらっしゃると思いますが、あえて「厚い」で書いた次第です。

読書習慣の継承

災害級の猛暑と言われていますが、それでも外回りに出かけております。写真は、そんな外回りの途次に見かけたフェアです。

有隣堂伊勢佐木町本店です。ご覧のように《書物復権》フェアが展開中です。しかし、よくご覧ください。同じフェア台で《小中高生へのおすすめ本》フェアも同時開催中なのです。

純然たる大人向けの《書物復権》と小中高生って、どうなの? そう思われる方も多いでしょう。あたしもそう思いました。でも、よくよく考えると、このフェア二つは実によく考えられたもののようです。

《書物復権》を楽しみに待っていてくれる方であれば、本が好きな方であるのは間違いないでしょう。そういう方がフェアの書籍を見ていて、横に並んでいる本を見つけて「おや、小中高生向けの本か……」と思い、さらに「子供にも一冊買って行ってやるか……」と思うのはごくごく自然な流れだと思います。そして、買ってもらった本を読んだ子供たちのうち何人かは、本が好きになって、数年後には《書物復権》に並んでいる本を読んでくれる、買ってくれるような人に成長しているはずです。

そんな読書体験、読書習慣の継承が生まれそうな、そんなフェアではないでしょうか。