結局どうすれば……

中公新書の新刊『移民の経済学 雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか』を読みました。移民は受け入れるべきか、受け入れるべきではないのか、様々な論点から解説してくれます。世界の研究動向を紹介した上で、日本の場合だとどうなるのか、経済学の専門家でなくともわかりやすく書かれていました。

しかし、データの取り扱い方によって移民のプラス面、マイナス面があり、ちょっとした変数によってまるで異なる結果が出てしまうようです。ですから、著者は移民賛成派、移民反対派それぞれが自分に都合のよいような結果を導き出せることを再三再四指摘して注意を促しています。

となると、門外漢で、「つまり、どうすればよいのかしら?」と思っているあたしのような人間からすれば「結論がないじゃ亡いか」と言いたくもなります。しかし通読した感じたのは、国はあくまでグランドデザインを描くにとどめ、細かなところは各地域の実情を踏まえて条例などを策定する方がよいのではないかと思いました。移民と言うとアジア、アフリカ、南米など発展途上国からやって来る得体の知れない人たち、というイメージが先行しがちですが、欧米から来る人だっていますし、来る人の教育レベルも千差万別ですから、そもそも移民という言葉で一括りにしてよいような問題ではありません。

そのことがわかっただけでも収穫かなと思います。ただ、グローバル化する社会ですから、異なる国の人が同じ場所に住むようになるのは世の趨勢だと思います。だったら反対するよりも共生するための方策を考える方が建設的かなと感じました。
なお、本書が巻末に挙げる参考文献はすべて欧文のものなのですが、一点だけ邦訳のあるものがあり、それがあたしの勤務先から出ている『移民の政治経済学』でした。是非とも併読していただきたいものです。

ちょっとご紹介

昨日の朝日新聞夕刊です。

カラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」に関する記事が載っていました。

カラヴァッジョと言いますと、現在は品切れですが、『カラヴァッジョ 灼熱の生涯』という本を出していました。2000年の刊行物ですからもう20年も前になります。内容は

その特異な性格ゆえに数奇な一生を送ったことで知られる、マニエリスムの巨匠カラヴァッジョ。教皇の肖像画家でありながらお尋ね者の殺人犯といった天才画家の人間像に、最新の史料と研究を使って迫る伝記。

といったものです。カラヴァッジョについては、日本でも何冊か本が出ていますが、もう本書復活の日はないでしょうかね?

デビュー七周年

乃木坂46の「7th YEAR BIRTHDAY LIVE」が届きました。デビュー七周年の記念コンサートで、一年目からずっと続いている冬の風物詩です。

毎回、その時までの全曲を披露するのが恒例です。シングルはもちろん、カップリングやアンダー曲はもちろん、各ユニットやソロ曲などが歌われます。最初の二回くらいはまだ曲数も多くなかったですが、三回目は冬の西武ドームで数時間にわたるコンサートが行なわれました。そして四周年以降は一日では終わらず数日にわたって行なわれるようになりました。

今年も、まもなくナゴヤドームで四日間にわたって八周年のバスラ(バースデーライブの略)が行なわれます。その前に七周年を発売しないといけないとスタッフも頑張ったのでしょうか? この七周年のバスラはなーちゃん(西野七瀬)の卒業コンサートを兼ねていましたが、今年は別途卒コンも行なわれるのでしょうが、バスラとしてはまいやん(白石麻衣)の最後になります。

なーちゃん、まいやんの二人が卒業すると、乃木坂も長かった第一章が幕を閉じる感じがしますね。

なお、今回の円盤、あたしはヨドバシカメラで購入したので、特典のクリアファイルはこちらの図柄でした。各販売サイトによって異なるクリアファイルが特典になっていましたのでコンプリートするヲタもいるのでしょうね。

いただきもの

先週の京阪ツアーの折、大阪の難波にある波屋書房を訪問しました。難波の賑やかな商店街にある町の本屋で、料理書が充実していることで有名な書店です。あたしの勤務先も料理書を少しは刊行しているので、時間がある時には顔を出すようにしています。今回は新年最初ということもあり、ご挨拶も兼ねて伺ったのです。

いつものように挨拶を済ませ雑談に花が咲いていると、正月に発行された毎日新聞をいただきました。「どうぞ読んでください」と渡されたその紙面、一面に大きく波書房の皆さんが載っていました。正月早々の夕刊紙面に掲載されたものだそうです。

あたしが手にしたのは1月も末ですし、このダイアリーを書いている今日は立春という時季になってしまいましたが、正月早々ほっこりする記事です。たぶん、大阪版のみの掲載だったのでしょうね。

このあと21時から

今宵、21時からNHKのBSプレミアムで映画「戦場のピアニスト」が放送されます。

アカデミー賞受賞作品の特集放送のようです。

そして、このタイトルを見ると思い出されるのが『「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校 ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯』です。

ウェブサイトの内容紹介には次のようにあります。

映画『戦場のピアニスト』では、ユダヤ系ポーランド人ピアニストのシュピルマンが戦禍を免れ、ワルシャワ陥落直前、ドイツ人将校に発見されて絶体絶命という緊迫したシーンがある。ところが、そのドイツ人将校は、ピアニストの彼にピアノを弾かせて励まし、食料を運んで命を救った。本書は、まさにその「ドイツ国防軍将校、ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯」を描いた歴史読物だ。

さあ、今夜映画を見たら、本書が読みたくなるのではないでしょうか?

東へ西へ

絶好の行楽日和というのは今日のような日を言うのでしょうか? 朝こそ少し寒かったものの昼間は日差しが燦々と降り注ぎ、天気予報は未確認ですが、恐らく春のような陽気になったのではないでしょうか?

そんな日曜日、母を連れて上野の東京国立博物館へ行って来ました。目的は「出雲と大和」展を見るためです。平成館の2階ワンフロアを使った特別展はいつもどおりで、日曜日ということもあって、そこそこの人出でした。

もちろん入場制限がかかるほどの混雑ではなく、混み合っていたのは最初と二番目の部屋くらい、後半は皆さんお疲れなのか展示物もじっくりと見られました。思いのほか国宝や重要文化財も多く、教科書で見たようなものも数件ありました。

こういうところへ来た時にお楽しみの一つはショップです。今回は特に何も買わなかったのですが、今回の展覧会のために作られたのか否かわかりませんが、ネクタイが売っていました。柄がいまひとつ惹かれなかったのと、お値段が8800円と少々高かったので諦めました。

そんなショップですが、当然置いてあると思った岩波新書の『出雲と大和』が置いてありませんでした。他にもいろいろと書籍は並んでいたのに、展覧会と同じタイトルの書籍が並んでいないなんて! タイトルは同じでも展覧会の展示内容と同書の内容に違いがあったのでしょうか? いや、岩波書店の本なので、何らかの大人の事情があったのかもしれません。ちなみに同書、本館のミュージアムショップには並んでいましたので、もしかすると平成館の2階ショップでは売り切れていただけなのかも知れません。

さて、見終わると、お昼の少し前です。上野公園の西郷さんのところ、UENO3153内にある「ねぎし」で久々に牛タンを堪能しました。やはり牛タンは美味しいです!

さてその後です。今日出かけたのは東博の展覧会を見るのも理由の一つですが、実はもう一つ、母の姉、あたしから見ると伯母さんのところへ様子うかがいに行くためでもありました。母の姉ですからもう80代も半ば、少し痴呆が出ているということで、母だってこの先何回逢えるかわかりません。お互いに元気なうちに逢っておきたいということで出かけたわけです。

その伯母の家は世田谷区の上野毛にあります。上野からは銀座線で表参道へ、そこで半蔵門線に乗り換えて二子玉川まで行き、大井町線で一つめになります。伯母さんは、ひとまずは元気そうで、母やあたしのこともわかっているようでしたが、ここ十年くらいの記憶がやや曖昧になっていました。とおに亡くなっている人をまだ生きていると思い込んでいたり、あたしら甥っ子、姪っ子の名前などもゴチャゴチャになっている感じです。まあ、仕方ないですね。

小一時間ほどお邪魔して辞去しましたが、果たしてあたしや母が訪ねたことを認識できていたのか、そして一時間後にも覚えていられるたのか、そんな気がします。

なんという奇縁!

先週の月曜から金曜までの京阪ツアー。

その折りに、いつものように京都大学生協ブックセンタールネにも立ち寄りました。このブックセンタールネの入っている建物は書籍売り場だけでなく、パソコン売り場やスーツ売り場もあり、2階には食堂もある、比較的大きな建物です。

その建物の入ってすぐのスペースでしばしば古書市が開催されています。やっている時は毎回覗いてみるのですが、今回こんな書籍が、なんと1000円で売っていたのでついつい買ってしまいました。

鈴江言一『中国解放闘争史』です。

鈴江言一と聞いてピンと来る人は中国近代史に相当詳しいのではないでしょうか? 恐らく多くの方が岩波書店刊『孫文伝』を思い出したことだと思います。もちろん、あたしもその一人です。

「鈴江言一の本か、安かったら買っておこう」と思って値段を確認すると1000円でしたから「これは買うしかない」と思って買い求めた次第です。函はちょっとボロボロですが、この手の本ではよくあること。古書としては状態はまあまあではないでしょうか。このくらいならわが家にもいくらだってあります。

さて、肝心の『孫文伝』も架蔵していたはずと思って確認してみると、なぜか2冊も所持しておりました。どうして2冊も買っていたのでしょうか? よほど安かったのか、最初に買った一冊の状態が悪かったのでもう少し増しな状態なものを再度購入したのでしょうか?

今とはなっては真相は闇の中ですが、ご覧のようにわが家には『孫文伝』が2冊ございます。

話は戻って『中国解放闘争史』です。

いつごろ刊行された本なのかと思って奥付を確認してみて驚きました。

別に戦後の刊行だったことに驚いたわけではありません。むしろ共産中国成立まで触れるのであれば1949年以降の刊行でないとおかしなことになりますから。

あたしが驚いたのはそこではなく、出版社である「石崎書店」です。浅学菲才にして石崎書店という名を知りませんでしたし、もちろん現在も続いている出版社だとは思えません。他にはどういう書籍を出していたのでしょうかね?

で、あたしが驚いたのは、その石崎書店の住所です。「神田小川町3-24」って、今あたしが毎日通っている場所なんですけど! これはなんという奇縁でしょう? そう思うとこの「石崎書店」と「岩波書店」もなんとなく似た感じがしてきますね。