どこでどう間違えた?

ネット書店のアマゾンのサイトで、ノーベル文学賞を受賞した「オルガ・トカルチュク」と入力して検索すると右のような結果が現われます。

邦訳は、あたしの勤務先から出ている『昼の家、夜の家』と『逃亡派』だけなので検索結果には問題ありません。これで正しいのです。気になるのはタイトルの後です。

『昼の家、夜の家』の後にはカッコに入って「エクス・リブリス」とあり、『逃亡派』の後には同じく「EXLIBRIS」とあります。この両書は、あたしの勤務先の海外文学シリーズ「エクス・リブリス」の一冊なので、それを明示するために(エクス・リブリス)と加えてあるのは親切だと思いますが、『逃亡派』の方は何故わざわざ欧文で入っているのでしょう?

ちなみに、同じように丸善&ジュンク堂書店のウェブサイトhontoで検索してみた結果が左です。

両書とも(エクス・リブリス)とカタカナです。欧文表記はありません。これだと「エクス・リブリス」で検索をかけると、このシリーズ全体を検索することができるはずです。

しかし、hontoで念のため「EXLIBRIS」で検索をしてみると、同シリーズの何冊かはタイトルの後に欧文で(EXLIBRIS)と入っているものがヒットしました。つまり、一つのシリーズなのに、シリーズ名の表記が統一されていないのです。

うーん、どうしてだ? と思って更に紀伊國屋書店のウェブサイトでも同じように検索してみました。それが右です。

どうでしょう? やはりカタカナと欧文と分かれてしまっています。そしてややこしいことに、アマゾンとはカタカナと欧文の表記が逆になっています。

こういった書誌情報というのは、出版社が提出したデータを流用していると思います。各ネット書店で多少は手を加えることがあると思いますが、タイトル回りは一番肝心な部分ですから迂闊に手を着けることはしないと思いますし、そもそも一点一点そんな作業をしていたら時間がいくらあっても足りません。

となると、あたしの勤務先が最初に登録したデータが間違っていたのでしょうか? でも、あたしの勤務先では欧文は使っていません。どこかで誰かが意図的に欧文のシリーズ名を加えたとしか思えないのですが、それはいったい誰なのでしょう?

届かない!

最近になりまして、自宅で使うボディソープを「hadakara 泡タイプ クリーミーソープの香り」に変えました。

泡ではなく液体タイプは以前から使っていて、洗ったあとの肌の感じがとてもよいので、こんどは泡タイプにしてみたわけです。

ところでこの製品、手に取って肌にクリームを塗るかのように使うのですが、思いのほかよく伸びます。使い心地は悪くありません。しかし、背中はどうやって洗うのでしょう。

右手。左手を上から下から横から伸ばしてみましたが、これで背中をくまなく洗えているのか不安です。スポンジのようなものを使っても柄の付いたものでなければ背中の真ん中まで届かないのは同じことです。やはりボディ洗浄用のタオルを使うべきなのでしょうか?

このてのボディソープ、てのひらに泡を取って体を洗っているようなCMも見かけますが、背中ってどうしているのでしょうね? それとも最近の若い方は手が長いので背中の真ん中まで余裕で届くのでしょうか?

今日の配本(19/11/25)

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日本経済新聞で『房思琪の初恋の楽園』が紹介されました

昨日の日経の読書欄です。

房思琪の初恋の楽園』が紹介されました。

少し前の、李琴峰さんの評もそうですが、本書は紹介するのが難しい小説だと思います。「おもしろい」と言ってしまうと、この切なく苦しい、そしてあまりにも忌まわしい作品世界を茶化しているように聞こえてしまいますし、こういう作品を「おもしろい」と表現するのもどうかと思います。

ただ、そういう意味の「おもしろい」ではなく、「極めて興味深い」「読み始めたら止まらない」という意味で「おもしろい」を使うのであれば、まさしくそのとおりだと言えます。

裏切りと地獄とか、そんな評が多いのに「初恋の楽園」とは皮肉なタイトルを著者はつけたものです。果たしてファン・スー・チーに二度目の恋は訪れるのでしょうか?

ドラマの影響?

今朝、昨日の朝日新聞のサンヤツをご紹介しましたが、本日のサンヤツにも見逃せないものがありました。

木村拓哉主演のTBS系ドラマ「グランメゾン東京」の影響なのでしょうか? あるいはこれらの書籍がドラマの参考文献となっているのでしょうか?

ドラマのヒットに合わせて書店店頭でちょっとフェアをやるのであれば、あたしの勤務先からもこんな本が出ていますので、ぜひ一緒に置いていただきたいものです。

まずは『レストラン・サービスの哲学 メートル・ドテルという仕事』です。同書の内容紹介には

「メートル・ドテル」とはレストランにおけるサービスの責任者。経験豊かな著者が、この職種の歴史や精神、仕事としての醍醐味をわかりやすく紹介。食に関わる人たち必読の一冊。

とあります。続きましては『シェフの哲学 食の探求から三つ星レストランの運営まで』です。こちらは

本書は、パリのレストラン「グラン・ヴェフール」の料理長、ギィ・マルタンが、自らの職業、食材・料理・レストランの運営について具体的に記述した、いわば料理の思想書。

といった内容の一冊です。いかがでしょう? どちらもドラマの参考文献としてふさわしいのではないでしょうか?

美しい村って

昨日の朝日新聞の第一面下、いわゆる「サンヤツ」にこんな広告が載っていました。

東海教育研究所の『フランスの一度は訪れたい村』と『増補版 フランスの美しい村を歩く』の二点です。

あたし、不勉強で東海教育研究所という版元、初めて知りました。社名からすると、主に学習参考書などを刊行しているように思えますが、ウェブサイトを見るとそういうわけでもなさそうです。東海大学ともつながりがあるのでしょうか?

まあ、そういう詮索は置くとして、「フランスの美しい村」、どこかで聞いたセリフではありませんか? そうです、今年度の雑誌「ふらんす」の表紙テーマがそれなのです。

ちなみに、雑誌「ふらんす」の表紙連載担当は粟野真理子さん。集英社から『パリから一泊!フランスの美しい村』を刊行されています。

それにしても、フランスの美しい村ってフランス政府公認のものなのですね。日本でも百名山など、山や滝などを全国から選んでいるのはありますが、村自体を選ぶというのはありましたでしょうか? 風景ならあったと思うのですが、それと似たようなものと考えればよいのでしょうかね?

こういった「三大某々」とか「某々百選」というのは、江戸時代にはガイドブックが刊行されていたように古くからありましたが、世界中どこにでもあるものなのですね。

都市農業の明るい(?)現状

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。都市で農業をやることの意義が見直されてきたのでしょうか? とてもよいことだと思います。

都市で農業と言えば『シティ・ファーマー』です。2014年11月刊行ですから、もう5年も前の書籍です。残念ながら現在は品切れです。

刊行当時も既に役所や企業が開いているレンタル菜園などが少しずつ脚光を浴び始めていて、食の安全という観点や食育という点からも注目している人、実践している人が増えてきているという感触がありました。

しかし、こういう動きが更に加速しているとなると、本書も重版の可能性が出て来ますかね? しかし、どうせなら記事にもある世界都市農業サミットに間に合わせないとなりませんでしたね。

わが家の「中国の歴史」たち

岩浪書店から新書の新シリーズ「中国の歴史」が刊行されました。

まずは第一巻『中華の成立』が発売になりましたので早速入手しました。最新の研究成果を取り入れた、新しい中国通史になるのでしょう。期待大です。

全五巻予定で、今後は『江南の発展』『草原の制覇』『陸海の交錯』『「中国」の形成』と続くようです。今回の第一巻で唐代までを描き、それ以降を四巻で詳述するわけですね。中国史というと、どうしても戦国秦漢や三国志、世界帝国・唐王朝といったイメージが先行しがちですので、むしろそれ以降に重きを置いた中国通史はとても楽しみです。

ところで、こういった中国史、もちろん学術書もありますが、一般向けの書籍もこれまで多数刊行されています。わが家の書架を探してみましたら、こんなのが出て来ました。

まずは、同じ岩波新書の『中国の歴史』(全三巻、貝塚茂樹著)です。昨今の中国史専攻の学生さんですと貝塚茂樹の名をどれくらいご存じなのでしょうか? 学界では有名な四兄弟ですが……

続きましては、岩波文庫です。

那珂通世『支那通史』(全三巻)です。「支那」なんていう、今だったら出版社が自主規制しそうなタイトルですが、著者の時代にはこれが当たり前、中国のことをごくごく普通に「支那」と読んでいた時代の著作です。

わが家に架蔵しているのは古書肆で手に入れたものではなく、帯を見ればおわかりのように、復刊されたときに買い求めたものです。岩波文庫や岩波新書は時々こうしてかつての名著を復刊してくれることがあるのでありがたいです。

続いては、再び新書に戻って講談社現代新書です。

同新書で「新書東洋史」というシリーズが刊行されていました。ラインナップを見ればおわかりのように、メインは中国史で全10巻の半分を占めています。

ただ、中国史だけでなくインドや東アジアなどアジア全体を扱った通史としてかなり先駆的なシリーズであったと思います。岩波新書が中国史を新たにスタートしたわけですから、現代新書もアジア史の新しいものを出してくれませんかね?

そして文庫に戻って中公文庫です。

「中国文明の歴史」というタイトルが他との違いを出そうという表われなのでしょう。全12巻です。もともとは新人物往来社から刊行されていたものを改題して中公文庫化したものです。

続いては講談社の函入り上製本「中国の歴史」です。

これは全巻セットで神保町の古書肆で手に入れました。どこかの図書室の廃棄本だったようで、奥付のところに蔵書印が捺されていました。ただし状態はよく、月報もついたもので、この状態から予想するに当該図書室では誰一人借りた人がいなかったのではないかと思われます。

上掲の「中国の歴史」にもそれなりに図版は入っていますが、判型を大きくし、カラーでさまざまな図版(写真や図表)をメインで編集しているのが、こちらの「図説中国の歴史」です。同じく講談社からの刊行です。

出版のくわしい状況などは知りませんが、この講談社の二つのシリーズは同時に企画されたのでしょうかね? 前者が文字を中心とした教科書、後者がその資料図版集という風に見えてしまいます。たぶん、講談社としてもそんな位置づけだったのではないかと思いますが、どうなのでしょう。ちなみに、こちらも同じく神保町の古書肆で購入しました。

以上が日本国内で観光された「中国の歴史」ですが、以下に本場・中国で出されたものをご紹介。

まずは「二十五史」です。あたしが学生時代は「二十四史」と言われていましたが、そこへようやく「清史稿」が刊行され、それを加えて「二十五史」という呼称が浸透し始めました。このシリーズもいち早く「二十五史」を名乗っています。

底本は確か「武英殿本」だったはずです。四庫全書で有名な、北京故宮の中にある武英殿です。ですので、このシリーズの本文は、武英殿本をそのままリプリントしたもの、いわゆる影印本になります。

最後にご紹介するのは中国史を学ぶ者が必ずお世話になる中華書局の二十四史、いわゆる「評点本二十四史」あるいは「点校本二十四史」です。

こちらは現在の活字で組んであり、固有名詞には傍線、作品名には破線が付いていて、句読点も施された、学生にも非常に読みやすいものになっています。一応わが家の書架には『史記』から『清史稿』までの二十四史ならぬ二十五史が揃っています。いくつかは人名作品などもありますが、こういう書籍たち、あたしが死んだらどうしたらよいのでしょうね?

2019年11月23日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

やはり架蔵していました!

東方書店の新刊案内でこんな本を見つけました。

侯景の乱始末記』です。

あれ、この本、どこかで見たことあるぞ? と思い、わが家の書架を探してみましたら、中公新書を並べてある一角にありました。

ずいぶん古い中公新書です。たぶん新刊ではなく古本屋で買ったものです。

この写真でおわかりいただけるでしょうか? 昔の中公新書はビニールがかかっていたのです。それも、ツルツルというよりは少しザラザラしたタイプのビニールカバーです。この手のタイプの中公新書、わが家の書架にも何冊か架蔵されています。すべて古本屋で買ったものです。

話は最初に戻って、こんどの『侯景の乱始末記』は志学社という版元から刊行されるようです。注文書を見ますと、やはり中公新書版の復刊であることが書かれています。

今後もこの手の復刊が続くのでしょか? だとしたらとても嬉しいことですが。

2019年11月22日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

ノーベル文学賞の二点、お待たせしました

ノーベル賞を受賞したオルガ・トカルチュクの翻訳2点、ようやく重版が出来上がりました。

 

昼の家、夜の家』と『逃亡派』です。

ここまで注文が伸びるとは、正直なところ予想外でした。来月には授賞式もありますし、買おうと思っている方はボーナス月だと思いますので、発表直後に買いそびれた方、この機会に是非お求めください。