物見遊山的な……(^_^;)

今回の研修旅行は、研修旅行という名の通り、あくまで研修がメインです。各地の書店や図書館を訪問し、そこで書店員や司書の方と情報交換、意見交換をし、実際にその目で見て耳で聞いて話をして、今後の仕事に役立つものをお互いに得ることが主眼です。

とは言っても、旅の愉しみは美味しいものを食べたり、名所旧蹟を巡ったりすることでもあります。研修旅行のスケジュールに追われ、その土地のよさを知らずに帰京してしまっては、実は地元の方にもガッカリされてしまうものです。というわけで、あたしの個人的な愉しみを少しだけご披露します。

まずは二泊目の土佐御苑の夕食(宴会)です。

ご覧のような和食で、高知ならではの新鮮な鰹をいただきました。この時季は初がつおではなく戻りがつおなんですよね。初がつおに比べて脂がよく乗っていて、こちらの方が好きだという方も多いそうです。

三日目の朝、天気も回復し、早起きして朝風呂に入り、食事も早めに済ませたので、出発までに小一時間ほどの時間が作ることができました。そこで旅館の周囲を少し散策です。

まずは高知と言ったらこれ、はりまや橋です。

日本三大がっかりスポット、などと揶揄されることもありますが、やはり高知へ来たら一度は行ってみないとならない場所だと思います。

それで、がっかりしましたか? と問われたら、予想ほどにはがっかりしませんでした、というのがあたしの正直な感想です。メインの道路が拡幅されたので、ご覧のようにはりまや橋はその脇にひっそりと架かっていました。

ほとんど公園として作り込まれた川に架かっているので、街の人がこの橋を使うことはまずなさそうです。観光客が写真を撮るためだけのスポットという感じが残念さを増幅しているのだと思います。

そんなはりまや橋交差点の路傍にはアンパンマンのオブジェがありました。

あたし、訪れるまで知らなかったのですが、著者のやなせたかしさんは高知の出身なのですね。だから、市内には至るところにアンパンマンがいます。「そんなことも知らなかったのか?」と言われそうですが、そもそもあたし、子供のころにアンパンマンに親しんで記憶がないので、ほとんどアンパンマンとは無塩で生きてきてしまいました。そうなると必然的にキャラクターにも著者にもそれほどの思い入れを持つことはありませんし、知識を蓄えようという気も起こらず、今日に至ってしまったのです。

土佐御苑を出て、まずははりまや橋に向かいましたが、まだ出発までには時間があります。どうしようかと思い、高知城の方へ向かうことにしました。やはりお城が好きですから。

その途中に高知大神宮という神社があり、よさこい神社とも書いてありましたが、その庭に鶏が飼われていました。「裏庭には二羽鶏がいる」なんて口の中でつぶやきながらちょっと覗いてみました(笑)。

また立志社跡地の碑も見かけました。

立志社ってなんだっけ? 確か日本史で出て来たような気がするけど…、というくらいの知識でしたが、つまりは明治初期の民間結社ですよね。それくらいの知識しかありません。申し訳ないです。しかし、この碑だけでは当時を偲ぶにも偲びようがありませんね。

そして更に西へ歩き続け、ようやく高知城に到着です。

天守閣などいわゆるお城としての主たる部分はまだ開園前の時間でしたのでパスし、いわゆる城跡公園をちょっと散策しただけとなりました。高知城は江戸時代以来の本丸御殿が残っているお城として有名なので、時間があれば是非見学したかったところです。

最近は天守の再建、復元論議も各地でありますが、本丸御殿の復元を進めているところもありますね。高知城は御殿があるわけですから非常に貴重なのですが、何故か国宝には指定されていません。重要文化財だそうです。

そして大手門、高知城では追手門と呼ぶようですが、そこを通って外へ出て来ました。門はなかなか立派な構えで、どっしりとして風格を感じます。門を手前に遠くに見える天守閣を撮ってみました。快晴の空に天守がよく映えています。

そろそろ旅館に戻らないとちょっと時間が厳しいかなという感じになってきたので、旅館へ帰還です。

途中、その日行く予定のオーテピア高知図書館の前を通り、ぶらぶらと歩いていたらこんな建物が目に入りました。

これが何なの? という方もいらっしゃるでしょうが、あたしくらいの世代ですと壁に貼ってある看板がどれも懐かしくて仕方ありません。いくつか知らないものもありましたが、しばし眺めてしまいました。

ちょっとアップで撮ってみましたが、これらの看板なら知っている方も多いのではないでしょうか? あたしが子供のころは街のあちらこちらで見かけたものです。

ここはレトロな雑貨屋さんだったのでしょうか? 時間が時間だけに営業しているようには見えませんでした。ぶらぶら歩いていたので、ここがどこだったのか思い出せませんでしたが、帰京後に改めてネットを調べてみましたら、「ホルモンけぶりや」という料理屋でした。グーグルマップで検索してみてください。

さて、そんな高知であたしが気に入ったのは、カツオではなくこちら、リープルです。

コンビニであれば、セブンだろうとローソンだろうとほぼ間違いなく売っていました。味はヤクルトのような、パンピーのような、フルーツ牛乳のような、そんな感じです。高知市民のソウルフードならぬソウルドリンクのようなものらしいです。東京では見たことないですね。

グルメ(?)の話になったので、今回の旅行中に食べたものを文字でご紹介します。

まずは二日目の昼食、「resort dining SeRelaxer」です。金高堂本店の目の前にあるビルの二階です。食材はほぼ県内産で賄っているようで、とても美味しくいただきました。

特に仁井田米のごはんが香りよく、美味しかったです。調べてみると、四万十の方で採れるお米のようです。お昼からついつい食べ過ぎてしまいそうなランチでした。

続いては、最初にも写真でご紹介した土佐御苑の夕食です。こちらもどれもこれも美味しかったです。改めて高知というのは食べ物が美味しい土地だということに気づきました。

メニューにある「土佐りぐり寿司」というのが初耳です。ネット調べてみてもよくわからないのですが、たぶん「田舎寿司」のことだと思われます。「りぐり」というのも調べがつかないのですが、土佐弁には「りぐる」という単語があるそうです。意味は「方法・材料を吟味して選ぶ」だそうです。日常的な具材を選んで寿司のようにして食べた、というところからの命名なのではないでしょうか?

最後に、その土佐弁をちょこっとお勉強。

土佐御苑に置いてありました。街の人の会話を聞いていても、土佐弁という感じはあまりせず、どちらかと言えば関西弁のような雰囲気でした。

書店の方もあたしたちが東京から来たとわかっているので、あまり方言バリバリでは話さなかったからかも知れませんが、それほど聞き取れないという感じはまるでありませんでした。ひろめ市場などでもお店の人の話している言葉がそれほど方言という印象もなかったのですが、土佐弁の現在はどうなっているのでしょう?

見つけるとちょっぴり嬉しくなります

研修旅行中に見つけた、自分の勤務先に関わるものを少々ご紹介します。

と、その前に、今回の研修旅行の概略地図を載せておきます。こうしてみると移動距離は結構なものになりました。

まずは文庫クセジュです。

雲の上の図書館の検索機で検索をかけたらヒットしました。「えっ、文庫クセジュなんて所蔵しているの?」というのが正直な感想でした。書棚の番号を見ると文庫・新書コーナーにあるようなので探してみましたが、なかなか見つかりません(汗)。ようやく見つけたのがこちらです。まあ、これだけでも置いてくれているだけありがたいと思わなければなりませんね。

続きましては、白水Uブックス。同じく雲の上の図書館です。

こちらは文庫・新書のコーナーではなく、海外文学の棚の一画に置いてありました。文庫クセジュ同様「これだけか……」と思う反面、これだけでも置いてくれていてありがとうございます、という気持ちになります。そもそも単行本でも海外文学は圧倒的に少なかったですから、Uブックスまで揃えるなんて難しいでしょう。

最後は高知大学生協。

事前に文庫クセジュのフェアをやってくれているのは知っていたので、「さて、どこでやっているのかな?」と思っていたら簡単に見つかりました。

新書コーナーで、ご覧のように大々的に展開中です。ふだんは文庫クセジュは置いていないはずです。どうしても決められたスペースで各社の新書を置くとなると、文庫クセジュまでは置けないというのが正直なところでしょう。

でも、逆に文庫クセジュのようなマイナーな新書だからこそ、普段から棚に置いてあるよりも、一年一度こういった形でフェアとして並べてもらった方が目を惹きますし、売り上げ的にも効果的なのではないかと思います。実際に、数点売れているようでしたし。

雨のち晴れ

では、雲の上の図書館から市街へ戻って以降の研修旅行を簡単に振り返ってみます。

大雨の中、梼原町から戻ってきて立ち寄ったのは、高知大学生協です。キャンパスは市街から少し郊外に離れたところ、いかにも地方の国立大学らしいキャンパスでした。

生協の書籍売り場は写真のような感じで、見慣れた大学生協の風景です。医学以外はこの校地に集約されているのか、文系外にも理系の書籍も並んでいました。

半分くらいが文房具など物販で、お弁当なども並んでいました。ちょうど昼休み時間帯に重なってしまったので、多くの学生で店内は賑わっていました。書籍を買いに来た(見に来た)学生もいたと思いますが、我々が背広姿で大挙して占拠していたので引き返してしまったかも知れません。申し訳なかったです。

昼食を済ませたら、市街にある金高堂の本店へ向かいました。アーケード街の中にあるお店で、そのアーケード街も平日の昼間とはいえ、十分に賑わっていました。

金高堂本店は、夏に朝倉ブックセンターからスタートしてた人文書フェアがまだまだ真っ最中です。ご覧のように広いスペースを使って、正面入り口を入ったすぐの場所で大々的に展開していました。

筑摩書房や創元社、平凡社などは今回のフェアでなくとも日頃からお客様も見慣れた出版社だと思いますが、それ以外の出版社ですと、高知のお客様も「こんな出版社聞いたことない」「名前は知っていたけど、本を見たのは初めて」というケースも多かったのではないでしょうか?

ここまで売れ行きを伺うと、値段の高い安はあまり関係なく、こちらの印象としては「こんな高い本が売れたんだ」「こんなシブい本に興味を持っているお客さんがいるんだ」という感じです。嬉しい誤算と言ったら高知の方に失礼かも知れませんが、まだまだ地方の可能性を垣間見た瞬間でした。

金港どの店内の柱で、一見するとポスターのように展示されていたのが、大量のマッチ箱でした。ポスターではなく、実際の街箱を並べているのです。大きさが微妙に異なるマッチ箱をきれいに並べるのはかなりの手間暇がかかったようです。

マッチ箱って、最近は見かけなくなりましたが、昔は喫茶店や飲み屋に行けばレジのところに大量に置いてありました。百円ライターやチャッカマンに押されてどんどん消えていってますね。寂しい限りです。そう感じたからなのでしょう、金高堂が協力して『マッチと街』という本が刊行されています。

二日目の訪問、見学は以上で、宿は土佐御苑という老舗旅館でした。料理も美味しく、楽しい晩でした。本来なら高知に二泊ですから同じ宿に泊まればよいものを、何やらこの時季に学会があったようで、市内のホテルや宿を押さえるのに苦労があり、二泊別の宿となってしまいました。

そして研修旅行三日目。昨日の雨から一転、南国土佐そのままのよい天気に恵まれました。

朝の早い時間はまだ雨が残っていたのですが、急速に回復し、太陽も顔を出し、夏が戻ってきたのではないかと感じるくらいの天気になりました。

そして本日の訪問先は、金高堂朝倉ブックセンターです。

その前に、朝倉ブックセンターのすぐ近くになる金高堂外商部にもお邪魔してご挨拶。その後の訪問となりました。

ご覧の通り、なんとマンションの一階が店舗です。郊外型の店舗でこういう立地は珍しいですね。このお店は、夏から人文書フェアをやってくれていて、少し前に終了、フェアは昨日訪問した本店に移っています。

しかし、フェアをやっていた残り香のように、少し本を残してくれています。フェアの結果を見ますと、やはり市街地に位置する本店とは売れ方、ケイコウに若干の違いが見えます。朝倉ブックセンターの方が比較的一般的、柔らかめの本が売れていたように感じました。

お店自体は広々としていて、郊外の住宅街にある書店としては十分な広さでしょう。もっとコミックや雑誌、DVDや文具などを中心にしている郊外型の店舗を見慣れた目には、極めてオーソドックスなお店に感じられました。なんといっても棚の高さがお年寄りやこどもにも優しい低さです。「いったい手が届くのか?」というくらい高い棚に慣れていた昨今、こういう本屋は昔懐かしく感じられます。

郊外にあった朝倉ブックセンターを後にして、再び市街地の中心部、オーテピア高知図書館を訪問。ここが今回の研修旅行の最終訪問地です。

ここは、図書館としては県立図書館と市立図書館が一緒になっている珍しいタイプの図書館です。珍しいというよりもここしかないのではないでしょうか? その他にも障害者のための「声と点字の図書館」やプラネタリウムも併設した「みらい科学館」も同じ建物に入っています。

まだ新しく、広く明るい図書館で、大勢の利用者で賑わっていました。前日に訪問した雲の上の図書館とは役割などが異なるので非常に対照的で興味深かったです。金高堂の本店がすぐお隣と言ってよいような場所にあり、さらにはグルメタウンのひろめ市場もすぐそば、ちょっと歩けば高知城という好立地です。周囲に県立高校などもあり、ここに知の拠点である図書館があるのは好都合だと思われます。

雲の上まで行って来ました?

研修旅行二日目はあいにくの雨でした。そんな中、まず向かったのは高知市街からバスで約90分。もう少し行けば愛媛県という梼原町です。

なんでそんなところへ行ったのかと言いますと、写真の施設「雲の上の図書館」を見学にです。こう言っては失礼ですが、行くまでは「因習に縛られた、人跡未踏の限界集落」のようなところをイメージしていました。

確かに、道中は人家も稀なところも多く、四万十川の源流になるのでしょうか、清流沿いにしがみつくように建つ民家が散見されるようなところをバスで走っていきました。正直、ここで暮らすのは大変だなあと思いましたが、図書館の周辺は町の中心部になるからでしょうか、建物も多く、ほどよく賑わいのある場所でした。

そして、雲の上の図書館です。

なんでこんな遠く離れた図書館へ向かうことにしたのかと言えば、その建物が隈研吾の設計になると聞いたからです。一度は見ておくべき建物だということで、はるばる出かけて行ったのです。

建物の外観は、確かに木を多く使っているのが目立ちますが、だからといってどうなの、と建築に疎いあたしには、やや目を惹く建物だなあという印象でした。

ところが、中へ入った途端印象が一変しました。

まず靴を脱いでスリッパに履き替える、あるいは裸足で入るのです。これは木の温もりを感じて欲しいからだそうです。確かに靴下を脱いで歩きたくなる内部です。子供なら裸足で走り回るところでしょう。

そして板張りの床も温かみがあって素敵なのですが、天井から降りてくる無数の角材。これはメインの柱を幹に見立て、そこから生い茂る枝を表わしているそうですが、もちろん耐震的なこと、強度なども考慮に入れた設計なんだそうです。

入り口から広がる大きな階段状のスペースが圧巻ですが、エントランスにはグランドピアノが置かれ、この階段がちょっとしたコンサートやイベントの座席としても使われるそうです。

こどもの本のコーナーも、書棚から床まですべて木なので、とても落ち着ける、くつろげる場所になっています。

写真の真ん中あたりに「す」という表示が見えると思いますが、この雲の上の図書館では書棚を管理する棚番号に平仮名の「いろは…」を使っているそうで、こどもの本のコーナーの棚がちょうど「す」に当たっていたわけです。

二階の一画に文庫・新書コーナーがありました。ご覧のように、こちらも木の棚です。各社の文庫や新書が整然と並んでいて、とても格好よかったです。

ここの棚番号は「ゑ」のようですね。

ここに限らず、書架にはまだ空いているスペースが散見されましたので、しばらくは蔵書が増えても問題なさそうですが、出版点数が増えている昨今、あっという間にいっぱいになってしまうのではないでしょうか? もちろん、この町の住民構成などを考えると、あまり専門性の高い本まで揃える必要はないのかも知れませんが。

上述のこどもの本のコーナーのすぐ近くにあったのがこちら、新聞コーナーです。

新聞各紙を閲覧できるようにしているのは図書館の定番ですが、ここであたしの目を惹いたのはこの新聞の収納書架です。

上部は最新の新聞の閲覧台になっていて、その下の引き出しがバックナンバーが入っています。この引き出し、閉まっている状態ではとてもここに引き出しがあるとは思えないようなデザインで、ちょっと押してあげるとスルスルと前にスライドしてくるのです。とてもオシャレでした。

新聞ですから書籍ほど重くはありませんが、それにしても引き出しの開閉はとてもスムーズでした。そして、やはり木の温もりがやさしくて温かいです。

そして、この図書館でもう一つ目を惹いたと言いますか、珍しいと思ったのは書籍に貼ってあるシールです。

ご覧のように、カラフルなドット模様です。これを専用の機械で読み取れば書誌情報などがわかるようになっているそうです。他の図書館では見たことのないこのシール、一般的な図書館で見るものですとバーコードがほとんどだと思いますが、これからはこちらに変わっていくのでしょうか?

さて、これまでの写真の中によーく見ると写り込んでいたこちらの生き物(?)に気づかれた方はいらっしゃいますでしょうか?

 

これは雲の上の図書館のマスコットと言いますか、キャラクターの「くもっぴー」です。

イラストとして、館内の看板や表示にこっそりと顔を覗かせている以外にも、人形として館内の天井からぶら下がっていたり、書架のすき間に座っていたりしています。その名の通り、雲を擬人化(?)したものです。うるるとさららではありません!

雲の上の図書館の書架を見ていると、こんなジオラマが書架にはめ込まれているのに気づきます。

つい魅入ってしまうジオラマですが、これらはすべて海洋堂の作品だそうです。なんでも海洋堂の創業者が、こちらの方の出身だということで製作をお願いしたそうです。

こんなところで海洋堂とお目にかかれるとは! そう言えば、海洋堂ホビー館四万十なんて言うのがあるそうですね。

といった雲の上の図書館見学でした。あいにくの雨が恨めしい反面、木の温もりを感じさせる建物と雨がマッチしているとも言えました。来てよかったと思える施設でした。

その後は高知市街に戻り、高知大学生協と金高堂本店を訪問し、宿にチェックインいたしました。

高松? 香川? 讃岐?

23日水曜日から25日金曜日まで人文会の研修旅行に行ってきました。今回の旅行先は香川と高知です。

まずは空路、羽田から高松へ飛び、宮脇書店の南本店を訪問しました。宮脇書店の総本店と本店は過去に訪問したことがありましたが、南本店は初の訪問、見学でした。

ご覧のように、あたしの予想をはるかに上回る建物でした。市街の繁華街にある本店に比べるとこちらは郊外型、ロードサイド店です。

あたしの勤務先の書籍は、配本があまり多くないのか、棚にはあまり見かけませんでしたが、この規模と賑わいですので、棚に置いてあればしっかり売れるお店だと感じました。

総本店、本店とうまい具合に住み分けと言いますか、カラーの違いがはっきりしていて、出版社によっては売れ方にかなり違いが出るのではないでしょうか。それも出版の面白さです。

そんな南本店を訪問した後は、高松駅にほど近いサンポート・マリタイムプラザ内にある郷屋敷で昼食をいただきました。

この郷屋敷、以前の研修旅行で高松を訪れたときに、郊外にあるお店で食べたことがあります。郷屋敷という名前のとおり、立派な建物だったのを覚えています。

その味が、駅前のデパートのような場所でいただけるとは、ありがたいものです。食事は写真のとおり、うどんを外すわけにはいきませんね。美味しくいただきました。

食後は、宮脇書店の総本店、そして本店、その後ジュンク堂書店高松店を見学し、バスで一路南下、高知へ向かいました。

高知に到着して、ホテルで地元書店の金高堂の方々との懇親会という一日目でした。

選択ミス

四国から帰京しました。

昨日の土砂降りとは打って変わり、まさしく「南国土佐」という言葉にふさわしい日差しの高知県でした。

しかし、逆に関東地方が大雨に見舞われていることはニュースで知っていたので、「果たして我々が帰るころは大丈夫か?」というのが参加メンバーの気持ちでした。そして、工程をこなし、帰京も目前になってくると話題は「果たして予定どおり飛行機は飛ぶのか?」「そもそも東京からの到着便が遅れるのではないか?」「我々が羽田へ着く頃はよいとしても、天候のために着陸できなかった飛行機が羽田上空に溜まっているのではないか?」という風に変わっていきました。

案の定、あたしたちが乗るべき飛行機の到着が 遅れ、出発が30分 遅れました。途中、羽田上空が混んでいるということで静岡上空で旋回して時間潰しをしていました。まだ雲が取れず揺れそうな関東へ近づくよりも、安定している静岡上空で待機する方がよいのでしょう。

結局羽田は一時間の遅れでした。ここまでは織り込み済みでした。夕方の東京なのでモノレールと電車を乗り継いで帰るのはちょっとしんどいと思い、うまいタイミングで武蔵小金井か国分寺行きの高速バスがあればそれに乗ろうと考えました。道路が多少混んでも構わないや、という気持ちでした。

で、国分寺行きがあと30分後に出発でしたので、これは幸いと切符を買いましたが、いざ乗り場に並ぶと、道路混雑で5分ほど遅れて到着・出発となりました。やはり金曜日の夕方は混んでいるのかと思いつつ乗り込みました。

渋滞はあたしの予想以上でした。羽田周辺はもちろんの頃、首都高の分岐・合流のところで渋滞が何か所もあり、首都高四号線の永福を過ぎるまではスムーズに走れない状況でした。

そこからは順調でしたが、結局自宅へ帰り着いたのは9時を回った頃でした。これなら羽田で素直にモノレールに乗った方がはるかに早かったです。バスもほぼ満席でのんびりゆったりという感じではなかったですから……(涙)。

今日の配本(19/10/24)

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処女地です

研修旅行です。

羽田から高松へ飛び、高松の書店を訪問した後、一路南下。

と思いきや、まずは西へ向かうのですね。四国の東西の中央に近いところまで西進して進路を南に取りました。そこからはほぼ真っ直ぐ南下したようです。途中で吉野川も目にすることができました。

さて高知県は初めて足を踏み入れました。本格的な書店訪問は明日以降ですが、どんな旅の思い出が作れますでしょうか……

カバーのイメージ

近刊の『房思琪の初恋の楽園』のカバー、どう思われますか?

下に貼ったリンクのイメージには帯がありませんので、公式サイトのイメージを見ていただくと帯も入っています。そこには

先生、わたしのこと愛してる?

とあります。内容紹介には「美しい房思琪は、13歳のとき、下の階に住む憧れの五十代の国語教師に作文を見てあげると誘われ、部屋に行くと強姦される。」とありますから、どんな作品なのかはおよそ類推が着くと思いますが、邦訳版のカバーは作品を読んでから、あるいは半ばまで読んだ上で眺めると、非常に象徴的なものになっています。

もしあたしがこの作品を編集者として担当していたら、日本人ならおおた慶文、中国人なら平凡&陳淑芬の描く美少女のイラストを使ったのではないかと思います。そんなイメージを抱きながら読んでいました。主人公が可憐な美少女であればあるほど、この作品の苦しさ、読後感のモヤモヤした感じが表わせるのではないかと思うのです。ちなみに原書はこんな装丁です。

本作、原書が出てからも反響が大きく、既に翻訳者である泉京鹿さんが朝日新聞のGLOBEで紹介されていました。泉さんもこの中で

性的虐待、性暴力被害に女性たちが声をあげた「#MeToo」の世界的なムーブメントがもう少し早く起こっていたら、著者の林奕含は命を絶つこともなかったかもしれない。現在、筆者が翻訳中だが、読んでいるだけでも苦しい。気が付くと、息をするのを忘れている。

と書かれていますが、短絡的に#MeTooやフェミニズムに結びつけるのでなく、もっとさまざまな角度から読み解ける作品ではないかと思います。たとえば、一定年齢以上の男性であれば自分が「李国華」だったとしたら。思春期の男子なら自分の彼女が房思琪だったら、あるいは房思琪がクラスメートで彼女のことを好きになっていたら。女性なら、もちろん房思琪に重ね合わせて読むこともできるでしょうが、親友の劉怡婷や同じマンションに住む許伊紋の立場だったら。そして彼女たちの父親、母親だったとしたら。

本書が実話に基づいていると作者が書いているその実話が作者自身に起こったことであるか否かは別として、事実ではなくとも何かしらの真実を伝えていると感じられる作品です。

立川でそんなことやっていたのね!

新聞の折り込み広告、伊勢丹立川店のものが今朝の朝刊に入っていました。何気なく見ていましたら、「アール・ブリュット立川2019」の文字が。

アール・ブリュット?

知っている人は知っているのでしょうが、そもそも「何、それ?」という方も多いのでは? ネットを調べてみましたら、こんな情報がありました。

伊勢丹立川店では、10月23日(水)~28日(月)に、障がいのあるアーティストによる作品を展示します。伊勢丹立川店では、芸術支援、地域コミュニティへの貢献の一環として、アールブリュット立川実行委員会様と協力し、「アール・ブリュット立川2019(※)」を開催します。5回目を迎える本年は、10月23日(水)から28日(月)までの期間に、地元多摩地域在住の29名の作家による48点の作品を展示します。障がいのあるアーティストが自由な発想で表現した作品は、5階特別室、2階ギャラリースクエア、エスカレータサイドなどで無料でご覧いただけます。

へぇー、もう5回目なんですね。迂闊にも知りませんでした。

で、思い出されるのはちょっと前に刊行した文庫クセジュです。「アール・ブリュットって何?」と思われた方に是非一読をお薦めいたします。