都市農業の明るい(?)現状

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。都市で農業をやることの意義が見直されてきたのでしょうか? とてもよいことだと思います。

都市で農業と言えば『シティ・ファーマー』です。2014年11月刊行ですから、もう5年も前の書籍です。残念ながら現在は品切れです。

刊行当時も既に役所や企業が開いているレンタル菜園などが少しずつ脚光を浴び始めていて、食の安全という観点や食育という点からも注目している人、実践している人が増えてきているという感触がありました。

しかし、こういう動きが更に加速しているとなると、本書も重版の可能性が出て来ますかね? しかし、どうせなら記事にもある世界都市農業サミットに間に合わせないとなりませんでしたね。

わが家の「中国の歴史」たち

岩浪書店から新書の新シリーズ「中国の歴史」が刊行されました。

まずは第一巻『中華の成立』が発売になりましたので早速入手しました。最新の研究成果を取り入れた、新しい中国通史になるのでしょう。期待大です。

全五巻予定で、今後は『江南の発展』『草原の制覇』『陸海の交錯』『「中国」の形成』と続くようです。今回の第一巻で唐代までを描き、それ以降を四巻で詳述するわけですね。中国史というと、どうしても戦国秦漢や三国志、世界帝国・唐王朝といったイメージが先行しがちですので、むしろそれ以降に重きを置いた中国通史はとても楽しみです。

ところで、こういった中国史、もちろん学術書もありますが、一般向けの書籍もこれまで多数刊行されています。わが家の書架を探してみましたら、こんなのが出て来ました。

まずは、同じ岩波新書の『中国の歴史』(全三巻、貝塚茂樹著)です。昨今の中国史専攻の学生さんですと貝塚茂樹の名をどれくらいご存じなのでしょうか? 学界では有名な四兄弟ですが……

続きましては、岩波文庫です。

那珂通世『支那通史』(全三巻)です。「支那」なんていう、今だったら出版社が自主規制しそうなタイトルですが、著者の時代にはこれが当たり前、中国のことをごくごく普通に「支那」と読んでいた時代の著作です。

わが家に架蔵しているのは古書肆で手に入れたものではなく、帯を見ればおわかりのように、復刊されたときに買い求めたものです。岩波文庫や岩波新書は時々こうしてかつての名著を復刊してくれることがあるのでありがたいです。

続いては、再び新書に戻って講談社現代新書です。

同新書で「新書東洋史」というシリーズが刊行されていました。ラインナップを見ればおわかりのように、メインは中国史で全10巻の半分を占めています。

ただ、中国史だけでなくインドや東アジアなどアジア全体を扱った通史としてかなり先駆的なシリーズであったと思います。岩波新書が中国史を新たにスタートしたわけですから、現代新書もアジア史の新しいものを出してくれませんかね?

そして文庫に戻って中公文庫です。

「中国文明の歴史」というタイトルが他との違いを出そうという表われなのでしょう。全12巻です。もともとは新人物往来社から刊行されていたものを改題して中公文庫化したものです。

続いては講談社の函入り上製本「中国の歴史」です。

これは全巻セットで神保町の古書肆で手に入れました。どこかの図書室の廃棄本だったようで、奥付のところに蔵書印が捺されていました。ただし状態はよく、月報もついたもので、この状態から予想するに当該図書室では誰一人借りた人がいなかったのではないかと思われます。

上掲の「中国の歴史」にもそれなりに図版は入っていますが、判型を大きくし、カラーでさまざまな図版(写真や図表)をメインで編集しているのが、こちらの「図説中国の歴史」です。同じく講談社からの刊行です。

出版のくわしい状況などは知りませんが、この講談社の二つのシリーズは同時に企画されたのでしょうかね? 前者が文字を中心とした教科書、後者がその資料図版集という風に見えてしまいます。たぶん、講談社としてもそんな位置づけだったのではないかと思いますが、どうなのでしょう。ちなみに、こちらも同じく神保町の古書肆で購入しました。

以上が日本国内で観光された「中国の歴史」ですが、以下に本場・中国で出されたものをご紹介。

まずは「二十五史」です。あたしが学生時代は「二十四史」と言われていましたが、そこへようやく「清史稿」が刊行され、それを加えて「二十五史」という呼称が浸透し始めました。このシリーズもいち早く「二十五史」を名乗っています。

底本は確か「武英殿本」だったはずです。四庫全書で有名な、北京故宮の中にある武英殿です。ですので、このシリーズの本文は、武英殿本をそのままリプリントしたもの、いわゆる影印本になります。

最後にご紹介するのは中国史を学ぶ者が必ずお世話になる中華書局の二十四史、いわゆる「評点本二十四史」あるいは「点校本二十四史」です。

こちらは現在の活字で組んであり、固有名詞には傍線、作品名には破線が付いていて、句読点も施された、学生にも非常に読みやすいものになっています。一応わが家の書架には『史記』から『清史稿』までの二十四史ならぬ二十五史が揃っています。いくつかは人名作品などもありますが、こういう書籍たち、あたしが死んだらどうしたらよいのでしょうね?

2019年11月23日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー