著者のことではないとするならば……

関西ツアーもあと一日です。やはりあっという間でした。

さて、この四日間、書店の方といろいろな話をしました、恐らくあたしが一番熱く語っていたのは新刊『房思琪の初恋の楽園』についてだと思います。だって、それくらい多くの人に読んで欲しいと思うからです。

改めてどんなストーリーなのかを紹介しますと、舞台は台湾の高雄。ちょっとした金持ちたちが暮らすマンションが舞台です。そこに住んでいるのが主人公の美少女・房思琪と本書の語り手となる幼馴染みです。時には住人たちが仲良くホームパーティーなどを開く脇和気藹々としたマンションでの生活。そんなマンションに全国的にも有名な人気先生夫妻が加わります。主人公たちの勉強をみてあげようということになり、二人の両親は「こんな有名な先生に教えて漏れるなんて……」と浮かれモード。二人の少女も嬉しく先生の元へ通い始めます。

ところが、早くも主人公の美少女ぶりに目を付けた先生は、言葉巧みに二人を別々に教えるように誘導し、ある日とうとう主人公をレイプします。その後も二人の関係は続きますが、主人公たちが高校進学となって台北の進学校へ入ることになります。台北で二人はルームシェア的にマンションで暮らし始めるのですが、両親とすれば不安もあります。ところが、先生が自分が台北でも押しているので週に何日かは台北に行くから子供たちの様子を見てあげようと申し出ます。両親は渡りに船、喜び安心して子供たちを台北に送り出します。しかし、台北には先生の別宅であるマンションがあり、主人公はその部屋の鍵を渡され(本書のカバー写真をご覧あれ!)台北でも先生のマンションへ通う生活を送ります。そんな中、主人公はとうとう幼馴染みに先生との関係を告げるのです。

自分がレイプに逢わなくてよかったと安堵する反面、どうして自分にはしようとしてこなかったのかというささやかな嫉妬、そして親友の苦しみに何も気づかなかったもどかしさ。恐らく幼馴染みの子にはいろいろな感情が生まれたと思います。

高尾のマンションには、マンションオーナーの息子の新妻で、主人公ら二人が姉のように慕う女性もいますが、彼女は夫からDV被害を受けていて、いつも長袖の服を着ています。世間的にはリッチな連中が住んでいると思われているマンションも実態はそんなところ。そして高校生活を終え大学に入るようになるとき物語は大きく動きます。

主人公は先生と縁を切り、新しい生活へと一歩を踏み出すのでしょうか、あるいは著者と同じように命を絶ってしまうのか、それとも……

本書は実話を基にしているということで、著者自身に起きたことなのではないかと、台湾ではセンセーショナルに取り上げられたようです。そして本書刊行の二か月後に著者はみずから命を絶ってしまいました。果たして実話とはどういうことだったのでしょう?

あたし自身、こんな風に本書について、営業トークをしていたのですが、そのうちに主人公が著者なのではなく、主人公の幼馴染みが著者だったのではないか、という気がしてきました。はっきりとした根拠があるわけではないのですが、そんな風に感じられたのです。

まだ行けていないところ

朝から首里城火災のニュースに驚いていますが、関西ツアーの四日目です。つまり今日と明日で終わりです。

毎回そうなのですが、四日目になると、ここまでの三日間で回った書店と回っていない書店を確認し、残りの二日間でどうこなすかを考えないとなりません。勤務先のお金を使ってツアーに出ている以上、きちんと仕事はこなさないとなりません。

もちろん、書店の方のシフトの都合で逢えたり逢えなかったりはありますが、それは致し方ありません。次の機会といたしましょう。

日数をかければ訪問できるお店は増やせますが、当然そのぶんツアー代もかさむので、費用対効果を考えると月曜から金曜の五日間、あるいは土曜までの六日間がベターだと考えていますが……

さて、昨日は一日京都へ行っていましたが、まだ回り切れていないので、今日も再び京都へ行きます。上洛と表現してよいのでしょうか? 京都は大阪と異なり、雨に濡れずに回れる書店が少ないので、一番気になるのは天気ですね。