『人文書のすすめ』公開中

本日午前、『人文書のすすめ』のPDF版を公開しました。

『人文書のすすめ』って何かって?

では説明しますと、人文会という出版社の集まりがあります。読んで字のごとく、人文書を中心とした専門書を刊行している出版社で作っている団体で、人文書の普及を目的として活動している団体です。

その人文会が昨年で創立50周年を迎え、その記念フェアを全国いくつかの書店で開催しました。そのフェアで読者向けに「ご自由にお持ちください」として製作したのが『人文書のすすめ』です。新書サイズの小冊子になります。

この『人文書のすすめ』、小冊子とはいえ、内容はなかなか濃くて(手前味噌でスミマセン)、執筆陣も豪華です。内田樹、宇野重規、大塚ひかり、川添愛、木村草太、佐藤優、出口治明、ブレイディみかこ、松岡正剛、若松英輔の10名の方々に、ご自身の自分書にまつわる思い出と記憶に残った書籍を紹介してもらいました。

これがフェアの会場でも大人気、近所ではフェアを開催していない読者の方から「何とか手に入りませんか?」という問い合わせも多数いただきました。しかし、フェア会場で配布するという目的で作ったもので、特に刷り増しをする予定もなく、残部がなくなって以降は涙ながらにお断わりしていました。

しかしこのご時世、データはデジタル状態で保管しております。PDFで公開することは可能です。というわけで、本日、PDF版の公開となった次第です。この手の人文書好きな方はやはり紙媒体で手に入れたいと思うのでしょうが、申し訳ありません。このPDFで我慢ください。

PDF版の入手先はこちらになります。

今月のおすすめ本[2019年10月]

毎月恒例、今月のおすすめ本のご案内です。

今月の特集は、岩波新書の『独ソ戦』と一緒に並べるとよさげな書籍を集めてみました。新書と単行本ですと、なかなか併売しづらいと思いますが、是非お試しください。

インバウンドは大阪に学べ?

こんな章題のついた本を読んでいました。

このフレーズを見て、日中共に最近の若い人はピンと来ないのかも知れませんが、一定年齢以上の人、あるいは中国の現代史に関心をお持ちの方であれば「農業は大寨に学べ」という共産主義華やかなりしころのスローガンを思い出すのではないでしょうか? 恐らく著者もそれを意識して章のタイトルとして採用したと思うのですが、果たしてどれだけ通じているのか……

で、インバウンド、つまり日本にやってくる中国人をもっと取り込みたいと考えるのであれば、そのヒントは大阪にあるということです。しかし、大阪の人がどれくらいこの本を読んでいるのでしょうか?

で、何の本かと言いますと、『中国「草食セレブ」はなぜ日本が好きか』です。

上に揚げた第5章だけを読むと大阪にどれだけ商機が転がっているかというヒントにあふれていますが、それ以外の章は、80年代以降生まれの中国人が、それ以前の中国人とどれほど異なるかということが書かれています。特に、95年以降に生まれた人は、特に違うようで、むしろ日本人などに近い考え方を持っているようです。

となると、付き合い方とか商売の仕方なども変えていかないとならないですよね。しかし、広い中国、いくらインターネットの発達で地域差が少なくなったとはいえ、やはり本書に描かれているのは都会とか、それなりの都市に住む若者のことなんだろうと思います。

2019年10月1日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー