デカルトです

ちくま学芸文庫から『デカルト入門講義』という新刊が出ました。同文庫書き下ろしのようです。デカルト哲学の全体像を俯瞰するための一冊のようです。

となると思い出されるのが、文庫クセジュの『デカルト』です。同書は

本書は、省察的熟考という隘路の向こうに遠望される〈無限なもの〉すなわち〈神〉の人間による知解可能性に依拠して、哲学史の産物である〈カルテジアニズム〉という従来のデカルト理解を破砕し、その多面的な哲学の全体像を豊富な引用文とともに新たに鳥瞰かつ虫瞰する。懇切丁寧な訳注を付す。

という内容です。是非併せて読んでいただきたいペアです。ついでにUブックスの『方法叙説』もどうぞ!

フェアもやっています

朝日新聞に、サントリー文化財団の記事が載っていました。今年で40周年なのだそうです。

サントリー学芸賞と言えば、人文系では押しも押されぬ賞ですし、人文科学分野における同財団の貢献は計り知れないものがあると言えるでしょう。

というわけで、神保町にある東京堂書店ではそれを記念したフェアもやっています。

大阪の書店でも同様のフェアが企画されているとのこと。続報をお待ちください。

思い出していただけましたでしょうか?

本日の天声人語に大阪で起きた母子餓死事件のことが載っています。

その事件に着想を得て、舞台を台湾の台北に移して小説に仕立てたのが『ここにいる』です。貧乏な母子家庭が食べるものもなくて餓死したという単純な事件ではないようで、著者・王聡威さんなりの解釈で事件の背景が描かれています。

実際の事件の方も、いったいどうして起きてしまったのか、よくわからないところが多々あります。食料さえ与えればよかったという簡単なことではないようです。

今日の配本(19/3/18)

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もしかすると書評よりも効く?

今朝の朝日新聞の文化・文芸欄です。

先日刊行がスタートした『金子兜太戦後俳句日記』のことが取り上げられています。記事中にもありますように、全3巻、半年に一冊のペースですので、一年後の来年2月に第三巻が刊行になって完結の予定です。

書評よりも(読書欄で紹介されるよりも)、こういう記事で紹介された方が売り上げに聞いたりすることがままあります。特に金子兜太さんのファンであれば、こういう記事もしっかりと読んでいるでしょうから、これから「よし、買ってみよう」という方も多いのではないかと期待しております。

そして、かなり後になってから、「新聞にこういう本が載っていたんだけど……」という客注が書店に舞い込む可能性も高いです。書店の方も書評に載った本はあらかじめ注文しておいたり、タイトルくらいは記憶に留めているでしょうが、こういう記事で紹介されたものまではフォローしきれていない場合もあると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

席を譲ってあげるべきだったのでしょうか?

営業回りの電車内でのことです。

昼下がりですし、都心部でもないので、比較的空いた車内。あたしは座席座って本を読んでいました。気づくと、赤ん坊を抱いた若い母親が立っているのに気づきました。赤ちゃんは、おんぶ紐と言うのでしょうか、最近の製品の呼び名は知りませんが、とにかく紐で前に抱っこしています。

立ったままだと辛いだろうか席を譲って上げようかと思った刹那、更に幼稚園くらいに通う女の子がの姿が飛び込んできました。姉妹ってことなのか、お姉ちゃんだって、まだまだ抱っこしてもらいたい年頃だろうなあと思われます。

さて、ここであたしは逡巡。

この若いお母さんに席を譲ると、恐らく、十中八九、そのお母さんは自分が座るのではなく、幼稚園児くらいの女の子を座らせようとするでしょう。あたしとして幼子を抱えたお母さんに座ってもらいたいのですが、女の子を座らせてお母さんが立ったままではあたしの本意ではありません。ここは厳しいようですが、お姉ちゃんなんだから立っていなさい、と言いたいところです。

ただ、結局、あたしが逡巡している間に、その親子3人は降りてしまいました。昨今は、まずは子供に座らせる親が多すぎます。今回見た子は立っていたお姉ちゃんもまだ幼いので座らせて上げたい気持ちはわかります。しかし、小学生、それも高学年くらいでも祖父母を立たせて座席に座っている子供が多すぎます。いや、甘やかしている両親や祖父母が多すぎます。

ガラガラに空いた時間帯の車内でなければ、少なくとも小学生以上は座らない、座らせないという風に、あたしが子供のころはしつけられましたが、いまは時代が変わったのですね。

翻訳が異なります!

海外文学のシリーズ《エクス・リブリス》の最新刊は『郝景芳短篇集』です。

郝景芳て誰? という方がほとんどかもしれませんが、早川書房のヒット商品『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』の表題作「折りたたみ北京」の著者です。

『折りたたみ北京』はさまざまな中華SF作品のオムニバスで、ケン・リュウの英訳から翻訳したものですが、今回の『郝景芳短篇集』は郝景芳の短篇のみで構成されていて、なおかつ中国語原文からの邦訳になります。収録作品は「北京折りたたみの都市」「弦の調べ」「繁華を慕って」「生死のはざま」「山奥の廃療院」「孤独な病室」「先延ばし症候群」の7作です。

ちなみに、カバー装画はきたしまたくや、郝景芳はハオ・ジンファンと読みます。

是非是非お隣に……

集英社新書から『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』が刊行になります。今日が発売日だったと思います。

で、著者の名前に注目です。

はい、中川裕さんです。『ゴールデンカムイ』の監修もされている斯界の第一人者です。

そんな中川さんの著作が、上の写真の『ニューエクスプレス アイヌ語』です。コミックやTVアニメの影響で「アイヌ語に触れてみたい」という需要が高まっていまして、本書も売れに売れています。

コミックの隣に語学書? 新書と語学書を一緒に並べるの? と疑問に思われる方も多いかと思いますが、騙されたと思って、一冊だけでもよいですから並べてみてもらえませんか?

何が導き出されるのでしょうか?

とある書店員さんは、お客様が買った書籍のスリップをまとめておくそうです。そうすることによって、どの本とどの本が一緒に買われたかがわかり、そこから客の購買傾向などいろいろなものが見えてくるのだそうです。

これをコンピューターにやらせているのが、アマゾンなどネットショップで「この商品を買った人はこちらも買っています」といった表示なのだと思います。正確性ではネットなのでしょうが、どこまでお客様の個性などをつかめているのでしょう? やはりスリップを実際に触るからこそ見えてくる風景ってのがあるのではないか、などと思ってしまいます。

それはともかく、上掲は本日購入した書籍3点です。いみじくもすべて岩波書店のもの。この三冊からベテラン書店員さんは何を読み取るのでしょうか? あるいはもしあたしがこの三冊をアマゾンで買ったのだとしたら、「『文化大革命五十年』を買った方は『平成の藝談』も買っています」なんてお勧めしてくるのでしょうか?

この春、都会へ上京してくる女性たちへ

 

《エクス・リブリス》シリーズの中に『ブルックリン』という作品があります。映画にもなりました。映画の方は、アカデミー賞にノミネートもされていたはずです。

ストーリーは、アイルランドの片田舎から大都会ニューヨークのブルックリンにやって来た少女が、そこで働き、恋をし、都会に揉まれながら、少しずつ大人へと成長していくという、こんな風にまとめてしまうとありきたりと思われてしまいそうですが、それでもとてもよい作品です。

この時季は田舎から東京や大阪などへ出て来た女性も多いと思いますので、こんな作品は如何でしょうか?