こう見えて研修してます、その二

研修旅行の二日目です。

宿泊は、新阪急ホテルアネックス

以前は、よくあたしも泊まっていたホテルです。

いや、よくどころか、ほぼ定宿でした。

しかし、この一年ほどは宿泊料が上がったのと、それ以上に予約が取れなくなってしまい、今回は久しぶりの宿泊となりました。

このホテルは阪急電車梅田駅のすぐ隣に建っているので、電車の音がうるさいと感じる人もいるかと思います。

しかし、鉄道オタクにはこの窓からの景観、たまらないのではないでしょうか?

もちろん、この阪急電車側とは逆側にも客室はあるわけで、どちらの側になるかによって宿泊料が変わるのか否か、あたしは知りません。

上述したように、鉄ヲタであれば電車側の部屋が嬉しいでしょうけど、興味のない人には電車の音がうるさいだけになってしまいますから難しいところです。

ご覧のような写真を撮りましたが、窓の汚れまでがきれいに写ってしまっています。これは如何ともしがたいところです。フォトショ加工をすれば汚れを除くこともできるのかも知れませんが……

二日目は梅田を離れ、りんくう泉南まで足を延ばしました。

あたしは既に二、三回訪れていますが、行く度に「南国」という気分になります。大阪の市街からは数キロしか南へ下がっていないはずですが、開放的な街並み(何もないだけ?)と海が見える眺望がそういう気分にさせるのだと思います。

今回は、このりんくう泉南でお昼時となり、フードコートでローストビーフ丼をいただきました。天気もよかったので、屋外デッキで海と関西国際空港を眺めながらのランチです。

左の写真、よく見ればローストビーフ丼だとわかっていただけると思いますが、一見すると、新発売のスイーツのようにも見えませんか? テラス席で海がバックにあるからだと思いますけどね。

りんくう泉南の後は再び市街に戻り、難波です。

右の写真は、最近話題になっているエスペラント語をもうプッシュしているジュンク堂難波店の語学書の棚です。

確かに、これがエスペラント語コーナーだとは思えないようなデコレーションです。

もちろんあたしの勤務先の新刊『ニューエクスプレスプラス エスペラント語』もしっかりと並んでいます。お気づきでしょうか?

しかし、こういうところからエスペラント語人気が高まるというのも不思議な時代になった者だと感じます。

それにしても、エスペラント語の学習書って、意外とあるものですね。ここへ来るとそれを感じます。

そして、大阪を後にしてJRで滋賀へ。

京都までは新快速、そこで乗り換えた湖西線の車両は左の写真のようでした。

「忍電車」って何でしょう?

あたしは知りませんでしたが、ずいぶん前から走っているのですね。どうやら周囲の人の反応が薄いわけです。

まあ、滋賀県ですから、甲賀忍者ですよね? それくらいの知識はあります。

ちなみに乗った電車はすべての車両がこれだったわけではなく、京都寄りの何両かはごくごく普通のJRの車両で、中程から滋賀寄りの車両がこの「忍電車」でした。

二枚目の写真だと、もう少しどんな感じの塗装(?)、ラッピング(?)なのかがおわかりになるかと思います。

車両の外観は蒔絵のような感じです。

漆塗りの黒に金箔を貼ったかと一瞬思わせるようなデザインですが、もちろんそんなことはないでしょう。

車内の中吊りは暖簾のような布が下がっていて、いわゆる広告はなく、車内に掲示されているのは忍者としての注意書きのような者ばかりです。

行楽客が初めて乗るぶんには楽しめると思いますが、こうして通勤時間帯にも普通に走っていると、地元の利用者はどう思うのでしょう?

もう慣れっこで、何も感じないのでしょうか?

今日の配本(18/10/25)

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こう見えて研修してます、その一

水木金と、二泊三日の人文会研修旅行。今年は大阪、京都という大都市を回ります。

その初日は梅田界隈の書店を訪問。

左の写真は、紀伊國屋書店梅田本店の海外文学コーナー。まもなく公開予定の「ライ麦畑で出会ったら」の割引き鑑賞チケット付で書籍が販売されていました。

「ライ麦」と「キャッチャー」、どちらの方が売れているのでしょうか? ちょっと気になります。

続きましては、丸善&ジュンク堂書店梅田店の文芸書、タレント写真集の棚。

なんと、欅坂46からの卒業を発表した今泉佑唯の写真集の隣にサイン色紙が飾られていました。

ずみこ、同店を訪問したのですね。なんといって、このお店のタレント写真集の棚は壮観ですから。

下の写真のよに、タレント写真集ということになっているのは建前で、どう見たってここは「乃木棚」そして「坂道棚」になっています。

もともとはジュンク堂書店千日前店の閉店以来、NMB48を強く押していたとおぼしき同店ですが、この数年は完全に坂道派になっています。(千日前店はNMB劇場と同じ建物にあった書店でしたから……)

大阪なんだからもう少しNMB48を推さなくてよいのだろうかと心配になるほどの坂道派ぶりです。ファンとしては嬉しい限りですが、あと数年もすると、この坂道棚も他のアイドルに取って代わられてしまっているのでしょうか。そう思うとちょっと悲しくもあります。

それはともかく、ここには写真集のみを並べているわけですが、ファンとしては乃木坂ちゃんたちが出ている雑誌も一緒に並べてもらえると、この一箇所で買い物が済んでしまうので楽なのですが(汗)。

それに雑誌もある程度集めておいてくれると、買い漏らし、買いそびれ、買い忘れのチェックにもなるので、ファンとしてはありがたいんですけどね。

やはり、書店としては書籍と雑誌は扱いが異なるので致し方ないのでしょうか?

最近ちょっとガイブンがイイネ!

黄泥街』の受注、止まりません。

大型店などでは10冊単位で追加注文が舞い込みます。

でも、この作品、お涙頂戴の感動作でもなければ、勇気や希望がもらえるような作品でもありません。

でも、かえってそんなところがコアな海外文学ファンには喜ばれているのかも知れません。

その一方、ジャック・ロンドンの『マーティン・イーデン』も売れています。

これだって、いわゆる感動ストーリーというタイプの作品ではありません。ただ、底辺から自分の腕一本、いやペン一本でスターダムにのし上がったマーティンの生き様は勇気や希望を与えてくれるところはあります。その点で言えば、感動作と言えなくもないですし、結末は、あたしにはとても切ないものに感じられました。

こういったガイブンの影に隠れるどころか、堂々と四つに組んで売れているのが温又柔さんのエッセイ『台湾生まれ 日本語育ち』です。

日本人なのか台湾人なのか、そんなアイデンティティーの揺らぎがよく描かれた、エッセイストクラブ賞受賞作。単行本が大ヒットして、その後、在庫僅少、そしてほぼ品切れ状態となり、それでも書店や読者からのリクエストや問い合わせは続き、先頃、その後の三篇を追加してUブックスとして再登場した作品です。

案の定、待ちかねていた読者、単行本を手に入れられなかった方々が殺到しているようです。また三篇追加というのも、単行本を持っている人に対しても「こっちも買っておこう」という気持ちが働いているようです。

こんな風に、ここへ来てちょっと文芸ジャンルに勢いが出て来ました。上に紹介した三作は十人十色ならぬ三冊三色、それぞれ同じ文芸ジャンルとはいえ、かなり傾向の異なる作品です。

それぞれがそれぞれに読者を獲得していて、こちらとしてはとても嬉しい限りです。

そしてまもなく『西欧の東』という新刊が発売になります。

これはブルガリア出身の作家の短篇集ですが、『黄泥街』や『マーティン・イーデン』のような、尖ったところはなく、実に読みやすい作品集です。

両書を読んだ後には、ホッと一息つけると言ったら誤解を招くかも知れませんが、ほのぼのするような作品が読みたいなあという方にはお薦めです。

いや、決してほのぼのという作品というわけではなく、ヨーロッパにおける東西分断だとか、そういった社会に翻弄される人々のささやかな営み、幸せが描かれているのです。

よくもまあ、これだけ短い期間に、バラエティー豊かな海外文学作品が連続して出ているものだと、自分の勤務先ながら感心してしまいます。

どちらも重版出来

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仕事なのか行楽なのか?

この夏から営業担当地域が増えて、神奈川県下ほぼ全域を担当することになりました。

すると、湘南ですとか鎌倉ですとか、行楽のニュースで耳にするような場所も担当することになります。

こういう場所って、訪れても、なんとなく仕事で来ているような感じがしないんですよね。

もちろん遊びに来ているわけではないことは重々承知していますが、街全体の空気と言いますか、雰囲気と言いますか、駅に降り立った時の周囲の様子がまさに行楽地であって、あたしの心も隙あらば仕事モードから離脱しようとしています。

うーん、これではいかん、と思いながら営業していますが、考えてみると京都へ出張で行く時なんて、まさに仕事なのか観光なのかわからなくなりますね。

報復合戦は決して終わることはない?

アメリカのトランプ大統領が中距離核戦力(INF)全廃条約を終わらせるつもりだと発言したというニュース。この人のアメリカファースト、自分ファースト、詰まるところは国際政治感覚音痴ぶりは今に始まったことではありませんが、先人たちが築き上げてきたものをいともあっさりと……

 

とりあえず、こんな本を読んでみるのは如何でしょうか?

ピュリツァー賞受賞のノンフィクション、『死神の報復(上) レーガンとゴルバチョフの軍拡競争』『死神の報復(下) レーガンとゴルバチョフの軍拡競争』です。

本書のタイトルだけ見ますと、ゴルバチョフとレーガンが互いに核開発を競争していたように思われるかも知れませんが、実は二人ともなんとか軍拡の流れを止めようとしていたというのです。

1970代後半、ソ連は西側に大きな脅威となる「大陸間弾道ミサイル」を開発、80年に実戦配備した。83年、米はこれに対抗し、レーガン大統領が「スター・ウォーズ計画」を提唱した。レーガンは反共主義者であったが、ソ連指導者たちに私信を送り続けていた。ソ連が先制攻撃を仕掛けてきたら、従来の核抑止理論は役に立たない段階に至っていると考え、「核の全廃」しか道はないという理想を抱いていた。一方ゴルバチョフも、新時代の到来を内外に訴えた。レーガンとの首脳会談では意見が合わなかったが、核戦争に勝者がないという一点で、利害の一致を見た。ソ連崩壊後、焦眉の急は、旧ソ連に眠る核・生物兵器など「冷戦の置き土産」だった。頭脳や原材料・機材の流出を阻止すべく、米ではある「秘密作戦」が進行していた……。「核兵器のない世界」は実現できるのか? 冷戦の「負の遺産」を清算できるのか? 20世紀の冷戦における軍拡競争、核・生物兵器をめぐる諸事件を、米ソ・国際政治の動向から、人物の心理や言動まで精細に描く。作家は『ワシントン・ポスト』紙でレーガン/ブッシュ両政権を担当、モスクワ支局長を務めた記者。

ウェブサイトに載っている内容紹介は上記です。まさしく手に汗握る傑作ノンフィクションです。

あえてなのか、それとも無意識に写り込んでしまったのか?

左の写真は、けやき坂46の二期生、小坂菜緒ちゃんがブログにアップした写真です。先日の握手会の時のスナップです。

16歳という年齢には不釣り合いなほど大人びた雰囲気が写真からは漂ってきますが、二期生期待のエースというポジションのようです。

ただ、あたしがこの写真で気になるのは、彼女の容姿でもスタイルでもなく、もちろん衣裳でもありません。気になってしまうのは足元です。

「段差あり」という注意書きのシールというか、掲示というか、とにかくそれです。

握手会というのは、幕張メッセとか、東京ビッグサイトとか、パシフィコ横浜とか、関東周辺ではそういう場所で行なわれることが多いのですが、お客様や来場者から見える場所はそれなりに飾ってありますが、裏へ回るといかにも作業場という、色気も何もない場所だったりします。彼女に限らず、アイドルが握手会会場で撮ってブログにアップする写真というのは、背景がこういう感じのものであることが多いです。

いろいろと写ってしまうと差し障りのある物が置いてあったりするので、こういったコンクリート打ちっ放しの場所をバックに写真を撮っているメンバーが多いので、これもそんな一枚なんだと思いますが、片足のつま先を意図的に「段差あり」に乗せているようにも見えます。

ブログには他にも同日の写真がアップされていますが、その中の二枚も同じ場所で撮ったとおぼしき写真で、やはり足元に「段差あり」が見えます。

右の写真では少し距離をおいてたたずんでいますが、やはり「段差あり」を意識しているように感じられます。「踏んじゃおうかな、やめようなか……」と言う気持ちが見受けられます。

なんであたしが「段差あり」という言葉が気になるかと言いますと、この曲です。

けやき坂46のデビューアルバム「走り出す瞬間」のリード曲「期待していない自分」です。

この曲の歌詞の冒頭に

道の途中で躓いて
振り返って見ても何もない
わずかな段差でもあれば
言い訳できたのに

という部分があるのです。そう、「段差」です。

小坂菜緒もこの曲に参加していますので、この歌詞は当然知っているはずですし、既に何度も歌っている曲です。

どう考えても、この曲、この歌詞を踏まえて、あえてこの場所で写真を撮ったのではないかと思うのですが、如何でしょう? ブログでは何も触れていませんが……

ちなみに、MVの中では「段差」の部分ではなく、「言い訳できたのに」の部分で映っているのが彼女です。

大江ではなくŌe

朝日新聞に、司修さんが大江健三郎について書いている文章が載っていました。

司さんと言えば、あたしの勤務先からは『本の魔法』や『絵本の魔法』などがありますが、ここでは『Ōe 60年代の青春』をご紹介しないとなりませんね。

一見するとタイトルが何を表わしているのか、もしかすると読み方すらわかりにくいかも知れませんが、わかってしまえばなんてことはないでしょう。大江健三郎のことです。

以下はウェブサイトに載っている本書の内容紹介です。

大佛次郎賞を受賞した『本の魔法』では、実は著者と最も関係が深いと思われる大江健三郎について言及されていなかった。370ページを超える本書に目を通せば、読者はその理由がわかるだろう。著者が手がけた装幀で、最多を誇るのが大江の作品である。二人はほぼ同世代。大江10歳、著者9歳のときに敗戦を経験し、同時代を歩んできた。1970年に『叫び声』の装幀を依頼されて大江と出会い、以来、作品の深い読みが反映された装幀で大江の代表作が次々と世に送り出された。大江作品は、小松川高校事件(女子高生殺害事件)、安保闘争、浅間山荘事件、狭山事件、原爆と原発事故による被曝、沖縄、在日朝鮮人の問題など、常に実際の事件や社会問題と想像力が結びついたものである。本書で大きく取り上げる『叫び声』と『河馬に嚙まれる』には、大江が追究してきたテーマのすべてが網羅され、不気味なほど現代につながる。著者は装幀をした時代を振り返り、大江作品を改めて多方面から精読し、国家や組織などと対峙する「個人」の魂の声に突き動かされながら、小説からだけではわからなかった事実を引き出していく。著者ならではの視点と感性で大江文学から現代への鮮烈なメッセージを摑み取る、渾身の書き下ろし!

如何でしょう、朝日新聞の記事を読んだ人であれば、本書を手に取ってみたくなるのではないでしょうか?

ちなみに、あたしの勤務先から刊行されている司修さんの著作は、上記の三冊以外に『戦争と美術と人間 末松正樹の二つのフランス』と『孫文の机』があります。

他社からも著作が多いですし、装丁を手がけた作品となると膨大な数になりますので、とりあえず紹介はこのくらいにしておきます。

テニスの本も出しています

朝日新聞読書欄の特集ページはテニスでした。やはり大坂なおみ選手の活躍があればこそでしょう。

テニスというと、あたしなどは往年のスポ根マンガ「エースを狙え」を思い出します。そのせいで「女子高生の青春と言えばテニス部」なんていう先入観を持ってしまいます。

それはさておき、あたしの勤務先はサッカーに関する本は何冊も出していますが、テニスに関する本も少し前に出したところなのです。

ラブ・ゲーム テニスの歴史』です。

副題のとおり、テニスの発祥から説き起こした、テニスファン必携の一冊です。

翻訳書なので少々お値段が張ってしまいますが、テニスの歴史やそれに伴う社会・文化について、これだけまとまった本は他にはないと思います。著者はフェミニズムなどの著作もある社会学者である点も、興味深い視点を提示できていると思います。

個人的には、朝日新聞の特集ページで是非とも取り上げていただきたかった一冊なのですが残念です。

冗談ではありますが、左の写真ような同書の装丁を「テニスの王子様」のキャラに変えていたら載せてもらえたでしょうか?