「戦争を考える→戦争を読む」ガイブンの新刊2点

奥のほそ道』は未読なのですが『ぼくの兄の場合』は読了しました。一方を読んでいないのに語るなと言われそうですが……

 

実はこの二点、どちらも先の大戦をテーマにしている作品なのです。

ただ、そのアプローチはまるで異なります。

『ぼくの兄の場合』は戦争に行った兄と、その兄の残した日記を頼りに戦後、それを追体験する弟。戦争が身近でありつつも距離をおく弟の姿。カラッとしたものを感じます。

一方の『奥のほそ道』は泰緬鉄道の建設現場が舞台です。熱帯のジャングル、体にまとわりつくような湿度、捕虜の苛酷な状況。まさしく戦争という世界。

どちらも史実をベースにしつつもフィクションとして描かれています。「戦争を考えるフェア」と言うと人文書コーナーの専売特許のような雰囲気もありますが、こういう作品も混ぜてもよいかと思いますし、あるいはこういう作品を集め、文芸書コーナーで「戦争を読むフェア」をやってもよいのかも知れませんね。

反逆児に、出会ったら~サリンジャー関連映画が2本~

最近『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』という邦訳新刊も刊行されたサリンジャーですが、明けて2019年は生誕100年にあたります。

誕生日が1月1日なので、明けたら即アニバーサリーですが、この冬はちょっとしたサリンージャー祭りになるのではないでしょうか? 映画が2本、公開を控えています。

まずは「ライ麦畑で出会ったら」です。

これは監督の実体験を基にした作品のようです。サリンジャーに、『ライ麦』舞台化の許可を求め会いに行こうとする主人公の話です。果たして、サリンジャーに会えたのでしょうか? 舞台化の許可は取れたのでしょうか?

もう一本は「ライ麦畑の反逆児」です。

こちらは晶文社の『サリンジャー 生涯91年の真実』を原作とした、サリンジャーの評伝になります。

  

どちらも公開がとても待ち遠しい作品です。もちろん、サリンジャーと言えば、何はともあれ『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、つまり『ライ麦畑でつかまえて』ですから、映画を見に行く前に、あるいは見た後には是非。

二冊も紹介されていましたが、あえて四冊お薦めします!

土曜日に移った朝日新聞の読書欄。本日はこちら。

リチャード・フラナガンの『奥のほそ道』です。フラナガンと言えば、前作『グールド魚類画帖』もよく売れた作家です。本作もこれで更に勢いがつくことでしょう。ただいま重版中です。

 

ところで、本日の紙面はこれだけではありませんでした。

文庫クセジュの『家族の秘密』も紹介されています。

 

タイトルからですと、どんな内容の本だと思うのでしょう? 著者には同じく文庫クセジュに『レジリエンス こころの回復とはなにか 』という著作もあります。二冊併せて是非どうぞ。