こういうのをメディアミックスと呼ぶのでしょうか?

今夜のNHKの「クローズアップ現代+」の特集は「中国とアフリカ~習近平体制が目指す「一帯一路」~」とあります。番組のサイトには以下のように内容が紹介されています。

3月に国家主席に再選された習近平国家主席。圧倒的権力を掌握し、2期目となるむこう5年間、中国を率いることになった。その習近平国家主席が力を入れているのが、中国とアフリカ、ヨーロッパをつなぐ巨大経済圏構想「一帯一路」の実現だ。いま中国はアフリカへの進出を加速させ、現地での影響力を急速に拡大させている。去年8月には東アフリカのジブチに海外ではじめての基地の運用を開始。さらにケニアやエチオピアに鉄道を敷設し、物流の大動脈を築くとともに、国の安全を支える基幹システムも輸出、国造りそのものに深く関与しはじめている。中国の狙いはどこにあるのか? アフリカの現場に密着する。

中国のアフリカ進出はこのところ雑誌でも時々特集が組まれたりしているので、日本人にもそれなりに知られているとは思います。NHKの「クロ現」が満を持して取り上げるということなのでしょうか?

となると思い出されるのは、あたしの勤務先から出ている『中国第二の大陸アフリカ』です。

一見するとタイトルの意味が取りづらいかも知れませんが、上掲のような事実を踏まえると逆によく理解していただけるのではないでしょうか。本書について、サイトの内容紹介には次のようにあります。

1996年に江沢民国家主席(当時)がアフリカ六カ国を歴訪して以来、中国は国家ぐるみでアフリカ進出を本格化させてきた。中国の対アフリカ貿易額は突出し、民間投資額もアメリカに迫る勢いだ。さらに、新天地を求めてアフリカに渡った中国人は、この10年で100万人を超えるといわれている。本書は、カラオケバーを経営する売春宿の女将から銅山開発に成功した起業家に至るまで、中国移民が追い求める「アフリカン・ドリーム」の実像を、サハラ以南10カ国を巡って詳細に描いたルポである。著者は中ア双方で『ニューヨーク・タイムズ』の支局長を務めたベテラン・ジャーナリスト。両者に渦巻く野望、欲得ずくの協力・依存関係、蔓延する腐敗と偏見――「ビジネス」という視点だけでは見えてこない人びとの日常の姿を通して、アフリカで急速に存在感を増す中国の「人としての顔」を浮かび上がらせる。そこに新植民地主義の影を見ることもできるが、同時に、経済的、文化的相互交流が盛んな新世界を展望することも可能だ。本書は中国とアフリカの関係を新たな視点で見直し、歴史地図に位置づける試みである。『ニューヨーク・タイムズ』ほか有力紙誌が絶賛。

恐らく、テレビだけでは伝え切れていない部分が描かれているはずです。言ってしまえば、テレビの特集と書籍、映像と文字のシンクロです。メディアミックス、相互補完とはまさにこういうことを指すのではないでしょうか?

あっという間だと思います

東京の九段にあるイタリア文化会館で「イタリアブックフェア」が始まっています。

上の写真はそのパンフレットです。会期が14日までですので、興味がおありの方はお早めにどうぞ!

そして、そのパンフレットの中にも書いてありますが、同意開催で須賀敦子没後20年の記念展示も行なわれています。こちらも貴重な展示品が見られますが、やはり会期が14日までですので、ファンの方はこちらもお急ぎください。

笑いながらも真剣に

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読書と現実がオーバーラップして……

土俵上で倒れた市長の救護ために女性が上がったことで、土俵から降りるようにとアナウンスが流れたというニュース。欧米のメディアが日本の男尊女卑、男女不平等を指摘するニュースとして配信していたり、別の女性市長が土俵に上がれず、土俵下で挨拶をしたことなど、いろいろ出て来ています。

土俵と女性については過去にも何度か議論があったので、相撲協会もそれなりに考えているのではないかと思いますが、女性が土俵に上がってもよいのか否か、いろいろと考えさせられます。

ちびっ子大相撲大会などが全国各地で行なわれていますが、そこには女子児童も参加していますから、当然のことながら土俵に上がっています。もちろん子供の相撲と力士の大相撲を一緒にするなと言われそうですが、でも同じ相撲じゃない、という言い分だって十分に説得力があります。むしろ、女性の穢れは生理の血が不浄だと言われることが多いですから、ちびっ子相撲などの児童は初潮前なので「不浄な女性」にカウントされず、だから土俵に上がっても構わない、という立場なのでしょうか?

あたし個人としては、何でもかんでも男女平等で昔からの伝統を変えてしまうのはどうかと思う人間なのですが、今回のような緊急事態は別として、女性市長の挨拶などあらかじめわかっているときは土俵上にカーペットを敷くなどして対応することもできるのではないかと思います。あるいは男女を問わず、現役の力士と行司以外が土俵に上がるときはあらかじめ聖水のようなもので手を洗い口をすすがなければならない、というルールでも設ければ男女を区別する必要はなくなると思うのですが……

ただ、九州の宗像神社のようにそもそも人間の立ち入りを原則禁止しているところもあるわけで、これまでの伝統というのもそれなりに大事にしたいな、とも思うのです。男女不平等を伝える欧米のメディアも、ではローマ教皇や枢機卿が男性のみに限られることについて何も言わないのか、という疑問もあります。

 

いまのあたしは、「男女平等でなくてもいいじゃない」という方にちょっと流れ気味です。それはたぶんこのところ『イスラム教の論理』『イスラーム主義』といった、シスラーム関係の本を読んでいるからかも知れません。

イスラム教はご存じのように厳然とした男女の区別、欧米流に言えば差別が残っています。同性愛などももちろん禁止です。そんなイスラームについて書いている本を読んでいると、そういう価値観を欧米流の価値観で否定するのではなく、彼らには彼らなりの価値観があり、それに従って生活しているのだということがわかります。一方的な西洋流の価値観の押しつけが結局のところ過激派によるテロを招いているのだと思います。

なので、今回の騒動を見聞きするにつけ、確かに男女平等は基本だと思いつつ、古来からの伝統にまであまり杓子定規に当てはめてしまうのはどうか、という思いが出てしまいます。「今回は人の命がかかっているのだ」と言ったところで、イスラームのように「来世で神様のそばへ行ける」と考える人たちなら、一概に命が何よりも大切とは考えないのかも知れませんし。

ここまで考え方や立ち位置が異なっていても、それでも同じ人間なんだから話せば理解し合えるようになるのでしょうか、という素朴かつ根源的な疑問も湧き起こってきます。

割と冷静に見られた?

乃木坂46の「5th YEAR BIRTHDAY LIVE」のBlu-ray、初日を見終わりました。

初日はななみんの卒業コンサートです。

もっと、涙、涙のコンサートになっていたのかなと予想していましたが、恐らくななみん自身が出来る限り笑顔を振りまいていたので、メンバーも必死にこらえていたのでしょう、お涙頂戴的なものにはなっていなかったというのが印象です。

もちろん、まいやんやさゆりん、いくちゃんにあしゅ、涙をこらえるのに必死な表情は見て取れましたし、最後は滂沱でしたね。

しかし、このコンサートから一年以上が経つのかと思うと時の流れの速さを感じます。

ななみんは、乃木坂46が一番いいときに辞めた、と初めは思っていましたが、その後も乃木坂46は坂道を上っています。レコード大賞も取り、東京ドームでのコンサートもやり、まだまだ残っている課題は多いですが、いつの間にか公式ライバルであったAKB48をも凌駕している現在です。自分が辞めた後に失速しなかったグループを見て、ななみんも満足しているのではないでしょうか?

さて、バースデーライブはまだ続きます。二日目、三日目は三期生が加わって、初々しい、これからの乃木坂を感じさせるコンサートになったのではないでしょうか。まだまだ楽しみは続きます。

ノンフィクションが苦手なら、文芸からアプローチ

先程書いたキング牧師と公民権運動のこと。

書店店頭でのフェアとなると、小さい書店はともかく、ある程度の規模の書店になると「海外事情」といったコーナーでの展開になるかと思います。集まる書籍もそのジャンルのものが大多数ですから仕方ないとは思います。

ただ、正面からキング牧師を扱ったものではありませんが、こんな作品もあります。

  

地下鉄道』『ネバーホーム』『地図になかった世界』の翻訳小説です。それぞれ出版社のサイトには

ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。アメリカ南部の農園で、苦しい生活を送る奴隷の少女コーラ。あるとき、仲間の少年に誘われて、意を決して逃亡を試みる。地下をひそかに走る鉄道に乗り、ひとに助けられ、また裏切られながら、自由が待つという北をめざす。世界的ベストセラーついに刊行!(『地下鉄道』早川書房)

南北戦争がはじまって、インディアナの農場で暮らしていたコンスタンスは夫のバーソロミューに代わって、北軍への入隊を決意する。名前をアッシュとかえて、男性の格好をして。女性にやさしい「伊達男アッシュ」とも呼ばれ、勇敢に戦い続ける。女であることがばれないかとおびえながら、野営地ですごし戦闘と行軍をくりかえす。夫と手紙のやりとりをし、亡くなった母と語り合う。(『ネバーホーム』朝日新聞出版)

南北戦争以前、「黒人に所有された黒人奴隷」たちを描いた歴史長篇。日々の暮らしの喜怒哀楽を静かに語り、胸を打つ。ピュリツァー賞ほか主要文学賞を独占した話題作。柴田元幸氏推薦!(『地図になかった世界』白水社)

とあります。どれもアメリカの南北戦争前後の時代を扱った作品です。こういう作品を通して黒人奴隷の問題、人種差別の問題を考えるのもよいのではないでしょうか? 海外事情などのノンフィクションを読み慣れていない方にはお薦めです。

とりあえず邦訳はまだこれだけ

今朝の朝日新聞の国際面です。

またまた中国のいちゃもんですかね?

この記事にある呉明益さんの作品はたくさんありますが、邦訳は『歩道橋の魔術師』だけのはずです。雑誌などに抄訳が載ったりしているのかまでは知りませんが、単行本として出ている邦訳はこれだけだと思います。

記事で問題となっているのは『自転車泥棒』という作品ですね。邦訳が待たれます!

50年経っても? 50年くらいでは?

アメリカのキング牧師が亡くなって、昨日でちょうど50年だったそうです。こういう方面には疎いので、アメリカ各地の追悼デモを伝えるニュース映像を見て知りました。

もちろんキング牧師の名前は知っていますし、黒人差別撤廃に向けて行動した人であるということも知っています。が、正直に言ってその程度の知識しかありません。キング牧師が凶弾に倒れて50年。アメリカの黒人差別、人種差別はいまだ根深く残っているような気がします。

 

こういうタイミングで『MARCH(1) 非暴力の闘い』や『マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士』を出してくる岩波書店はさすがだと思います。

「公民権運動」という切り口で本を集めてフェアもできそうですね。キング牧師関連なら、子供向けの本もあったはずですし、アメリカの黒人差別に関する本はたくさん出ているはずですから。

 

あたしの勤務先ですと『懸け橋(ブリッジ)(上) オバマとブラック・ポリティクス』『懸け橋(下) オバマとブラック・ポリティクス』『コーネル・ウェストが語るブラック・アメリカ』といったところが公民権問題を扱った書籍になりますので、是非ともよろしくお願いいたします。