クセジュは何処へ置くべきか?

とある書店のデザインの棚。そこに見覚えのある本が!

文庫クセジュの『100語でわかる色彩』です。

実はこの本、新刊なんですが、出足好調なんです。たぶん、こういう風にデザインの棚から売れているのだと思います。

文庫クセジュを置いている書店は少ないと思います。置いてあったとしても、ほとんどの書店では、新書コーナーの片隅に文庫クセジュのコーナーがあって、新刊が出たらそこに並べられているだけなんだと思います。

でも、こんな風にデザインの棚に持っていくと、俄然、本も生き生きしてくるように感じられます。クセジュって、こんな風に内容に合わせて置く(並べる)場所(棚)を変えてみるのもアリだと思いますし、是非そうしていただきたいものです。。

 

ちなみに、クセジュの少し横に並んでいる『配色の設計』の著者ジョセフ・アルバースは、あたしの勤務先の『デザインについて』の著者アニ・アルバースの夫です。ですので、こちらも一緒に並べてもらえると嬉しいのですが……

なお冒頭で「とある書店」と書きましたが、青山ブックセンターの六本木店です。

Good Newsなのか、Bad Newsなのか?

ここ数年、小田急線沿線の営業担当であるということは、このダイアリーで何度も書いていますが、その小田急線、この3月にダイヤ改正があります。

長いこと工事をしていた代々木上原から登戸までの複々線化工事が終了し、朝のラッシュ時の混雑緩和が劇的に(?)緩和され、それに伴うダイヤ改正なんだそうです。

急行が増発とか終電が遅くなるとか、そういったダイヤ改正ならそれほど混乱しませんが、今回の場合、今まで複線だったところが複々線になるわけで、ダイヤの柔軟性が大幅に上がりますから、かなり大がかりな改正になりそうです。

あたしのように日常的に使っていても、通勤では使っていない人間と、朝夕の通勤通学に使っている人とでは、このダイヤ改正に対する感想もずいぶんと異なるものになると思います。世間では狛江に準急が停まるということで狛江市のTwitterが盛り上がったというニュースも目にしましたが……

さて、あたしにとって一番嬉しいのは、登戸に快速急行が停まるようになることです。小田急線沿線の営業回りをして、帰路はだいたい登戸で南武線に乗り換えて、というのがパターンでした。相模大野とか町田方面からの場合、快速急行では新百合ヶ丘の次は下北沢になってしまうので、あえて急行を選ばないとなりませんでしたが、これからは快速急行で構わないわけですから、これは非常に嬉しいです。

ただ、これまで快速急行が停まらなかったのが不便だったのかと問われると、それほどでもありませんでした。快速急行の後にはたいてい急行が走っていて、一本やり過ごせばよいだけでしたから、快速急行が停まらなくて不便というほどでもありませんでした。もちろん停まってくれた方が楽といえば楽なのですが(汗)。

ただ、それはあたしにとってのことであって新百合ヶ丘以西に住んでいる人にとってはどうなのでしょう? もちろん、そういう人の中にはこれまでも登戸で南武線に乗り換えて通勤通学をしていた人もいたでしょうから、そういう人にとっては途中で急行に乗り換えなくて済むのはグッドニュースだと思います。

しかし、快速急行を使っている新百合ヶ丘以西の住人の大半は新宿まで行く人だと思います。そして、そういう人たちのために途中を通過する快速急行が走り始めたのだと思います。それなのに途中の登戸に停車するなんて……

実際、どの程度の需要があるのでしょうね?

もちろん、登戸に停まっても、そこから先(新宿方面)が複々線になったので、所要時間は却って短くなるはずだと思いますが、やはり駅に停車するかしないかというのは、心理面で大きいと思います。

あと一か月ほど先になりますが、蓋を開けたらどうなりますことやら。

高い本だけではありません!

先日、内容見本のパンフレットをご紹介した近刊『落語登場人物事典』ですが、本書はなんと、本体価格が24000円もする巨冊です。

この値段ですと、気軽に手が出るものではありませんね。なので、もう少し廉価な書籍をご紹介します。

 

落語と川柳』『ぜんぶ落語の話』の二点です。これらは一般的な単行本ですので気軽にお求めいただけるはずです。

前者は、なぜ落語では川柳がよき脇役なのか、昭和の名人志ん生や文楽らが集った「鹿連会」の模様から、噺のネタで使用される具体的な作品まで、読売新聞川柳選者がその魅力と役割に光を当てた一冊です。

後者は、噺家のさまざまな物語を中心に、戦争前後の落語界の変遷、演劇や俳句との関係などを重層的に織りなす、通をも唸らせる高質なエッセイです。

これでもまだ高い、という方には新書判のハンディな『落語名人伝』『落語風俗帳』という書籍もありますので、懐具合と相談しながらお求めいただければ幸いです。

こちらも前者は、落語の起源を江戸初期の豊かな話芸のなかに求めて、安楽庵策伝や霧の五郎兵衛などの創始者の姿を、当時の時代背景のなかに描き、その後に続く名人と称される多くの噺家の芸と人物をたどり、不世出の名人圓朝、さらに昭和の名人にまで、豊富な資料を駆使した著者多年の労作です。

後者は、仏教が庶民生活に浸透していた江戸時代に生産された、いわゆる古典落語には、仏教が当然入りこんでいますが、仏教信仰の薄い今日では、仏教語やその習俗についてわからない人が多くなっています。64の古典落語を仏教宗派別に分類し、咄の中に出る仏教語や行事や慣習をわかり易く解説したユニークな本です。

ところで『落語登場人物事典』をご注文の際に一文字違いの『落語登場人物辞典』を注文なさらないよう、ご注意ください。いえ、別に両方買われても構いませんし、出版社としてはその方が嬉しいですが……

承前であり、承前々でもある?

前のダイアリーで亜紀書房の創業50年について触れましたが、このところ良質なノンフィクション作品を世に送り出している(もちろんそれだけではないですが!)同社で最近店頭でひときわ目を惹かれたのがこちら。

イスラム国 グローバル・ジハード「国家」の進化と拡大』です。全部を知っているわけではありませんが、亜紀書房ののフィクションとしてはかなり高めの価格で、それに見合うだけの厚みもあります。これぞ決定版的なノンフィクションです。

 

が、イスラム国ならあたしの勤務先だって負けてはいません。亜紀書房のお隣に、あるいは近いところにこんな本はどうでしょうか? 『ブラック・フラッグス(上・下)』は、ザルカウィの生い立ちからバグダディのカリフ制宣言まで、ISの変遷と拡大の背景を描いたピュリツァー賞受賞作です。

  

まだまだありまして、『21世紀のイスラム過激派』は、イスラム原理主義組織の成り立ちや歴史的背景から、組織に属さない「ローンウルフ」の若者まで、過激化するメカニズムを解き明かした一書、『「イスラム国」の内部へ』は、初めてIS領内を取材した西側ジャーナリストによる、戦闘員や警官、医師へのインタビュー、民衆の生活の記録など第一級のルポです。『危険な道』は、世界の諜報機関さえ居場所を知らなかったアルカイダ幹部と48時間にわたって過ごした元アルジャジーラ記者が9.11の真相を語ります。

そして、直接にイスラム国を扱ったものではありませんが、いまとなっては歴史的名著とも言える『倒壊する巨塔(上・下)』もお忘れなく。