二十代を思い出す?

今朝の朝日新聞に載っていた記事です。冷泉家時雨亭叢書が完結したそうです。

と言われても、それって何? という人がほとんどかも知れません。

まあ、本屋さんに並んでいるのをほとんど見たことありませんからね。たぶん紀伊國屋書店やジュンク堂書店でも店頭には置いていないのではないでしょうか? それとも、これは完全に予約販売で、注文のあった人にだけ販売しているのでしょうか?

図書館でも、文系の大学図書館は置いているのではないかと思いますが、公立だと県立図書館クラスでないと所蔵していないと思います。

ただ、あたしの場合、非常に懐かしいです。

別に時雨亭叢書に含まれる典籍を学生時代の研究で使っていたわけではありません。二十代のころ作業のお手伝いをしていた小松茂美先生のお宅に、配本のたびにこの叢書が届いていたことを思い出したのです。

当時はまだ、この叢書の刊行が始まって間もないころ、あたしが手伝いをしていたとき、その時点で刊行されていたのは20点になるかならないか、くらいだったと記憶しています。

それでも、あの冷泉家の文書か、それがこういう形で気軽に見られるようになるなんて、と少し興奮しながら、函から出して眺めた記憶があります。

そんなこんなが思い出されるシリーズです。

よくわからないけど面白い?

勤労感謝の日の本日、午前中のラジオ文化放送に谷口功一さんが出演されていました。

スナックについて、まだまだわからないことが多いようですね。こりゃ、第二弾、第三弾の『日本の夜の公共圏』を出さないとなりませんね。

しかし、そうなると「研究序説」ではなくなってくるのでしょうか?

見間違えてしまうほど似ている!

最近、店頭で比較的よく見かける本に『台湾人の歌舞伎町』があります。なんとなく気になっているのですが、買おうか買うまいか思案中です。

 

歌舞伎町はともかく、台湾というのが中国好きの琴線に触れるのかと思いきや、もちろんそれもありますが、この本にどことなく親近感を抱いてしまう理由がわかりました。『娯楽番組を創った男』です。

えっ、この本がどうしたのかって? たぶん、この画像を見ただけではピンと来ないかも知れませんが、実際に両書を店頭で見ていただければわかっていただけるのではないでしょうか? この二冊、実によく似ているのです。もちろん内容ではありません、見た目です。それも表紙と言うよりも、棚に挿してあるときに見える背が実によく似ています。

内容的には似ているわけではありませんので、読者が重なるとも思えませんが、なんとなく気になってしまう理由が、自分の勤務先で出している本と見た目が似ているからだというのは、出版社に勤めている人間ならありがちなことではないでしょうか?

白黒写真に黄色のタイトル文字、帯も黄色。それだけなら他にもありそうですが、タイトルの書体、明朝体ですが、これもどことなく似ていますね。

一緒に並んでいるのかしら?

店頭でこんな本を見かけました。

書肆心水の『ベルクソン『物質と記憶』を診断する』です。まだ刊行から一か月も経っていない新刊ですね。

で、研究者なら原語で読んでしまうのでしょうが、一般読者は原典に当たろうと思ったら翻訳を探すことになるわけです。しかし翻訳原典が品切れで手に入らないということもままあるのが悲しいところです。

 

しかし幸いなことに、本書に関しては「岩波文庫」版と「白水社・新訳ベルクソン全集」版の二種類が入手可能なようです。

今日の配本(17/11/22)

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パク・ミンギュさんの作品のもとになっているものとか

洗濯物を干しているのではありません。これでも紀伊國屋書店新宿本店の文芸書コーナーです。晶文社の新刊『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』の特製Tシャツです。著者、パク・ミンギュさんの直筆サイン入りです。先週末のトークイベントで書いていただいたものです。

気づくと、読書芸人で『ピンポン』が取り上げられていたりと、いま韓国文学がちょっとしたブームです。

 

という話はひとまずおき、先週末のパク・ミンギュさんのトークイベントを軽く振り返ってみます。

パクさんは、デビュー作『三美スーパースターズ…』が日本で刊行されることになってとても嬉しいと話されていました。確かに、日本での翻訳の刊行順は韓国での出版順とはずいぶん異なりますからね……

野球をモチーフに韓国社会を活写した本作、どうして野球をテーマにしようとしたのかとの問いには、自分たちは丁度韓国のプロ野球に熱狂した世代だそうで、だから野球をテーマに書きたかったそうです。三美とヘテの2チームが候補として考えていて、後者では光州事件を題材に、面白くも悲しい物語を考えていたそうです。

しかし、そちらではなく三美をテーマに書くことにしたそうで、経済危機の時代、リストラの嵐が吹き荒れ、がむしゃらに働いてきた世代が一日にして職を失う時代を描くことにしたそうです。誠実で勤勉な世代のサラリーマンが国や会社を信じて働いていたのに、一通のメールでリストラされ転落する人生、当日パクさんが勤務していた会社の近所の公園に、そんなリストラされたサラリーマンたちが一日中たむろしていたそうです。その姿を見て、パクさんは一念発起、会社を辞めて作家活動に専念したそうです。

パクさんの子供時代、韓国はまだまだ開発途上国で、軍部独裁時代でした。現在では当然と思われているようなことも当然ではなく、そんな息苦しかった時代を語れる最後の世代が自分たちだ、とのこと。野蛮ではあったけど苛酷な競争はなく、貧しかったけれど皆が助け合っていた時代、そんな時代を描きたかったそうです。

人は苦しいときに、それに耐えられるように何かを発明するもので、当時の韓国人はロマンによって野蛮さに立ち向かっていた、70年代はロマンチックのある時代だった、とはパクさんの弁。

しかし、その後、世の中はよくなっていったけど(経済的には)、競争しないといけない時代になってしまい、ロマンも失われてしまった。学校でも生徒に順位を付けるようになり、軍事教練も行なわれるようになった。だから自分は学校をサボってばかりいたそうです。

とまあ、そんなところが本作、そしてパクさんの創作の原動力のようでした。

ポーランドBOOKフェア

紀伊國屋書店新宿本店で、ポーランドBOOKフェアが始まりました。2階文芸書売り場、お隣で「読書芸人」の選書フェアを展開中なので、そのついでにというと失礼かも知れませんが、こちらのフェアも熱心にご覧になっているお客様が多いように見受けられます。

あたしの勤務先の刊行物も数店選んでいただいておりまして、真ん中あたりに鎮座しています。

ポーランドって、ちょっと調べると、日本人でもそれなりに知った名称が出てくるはずですが、「ポーランドで思いつくものは?」といきなり聞かれると、咄嗟には言葉が出て来ない人も多いのではないでしょうか?

たぶん、ポーランドで日本人に一番知られているのはアウシュヴィッツではないかと思います。ただし、アウシュヴィッツとポーランドがどこまで結びついているのかは疑問で、アウシュヴィッツと言えばナチス、ヒトラーという連想が働きますから、かつてのあたしがそうだったように、アウシュヴィッツがドイツにあるものだと思い込んでいる日本人も多いかも知れませんね。

そんなポーランドに、こういう機会に触れてみるのもよいかと思います。

こんな人たちが一堂に会している書架って、どうなのよ?

いやー、わが勤務先ながら、「これってどうなのよ?」と思ってしまいます。

何って? 上の写真です。このたびレーニンの評伝を刊行したので、これでスターリン、マルクス、トロツキーが揃い踏みです。それも上下本ばかり。

あたしの勤務先って、別に思想的にそういう会社ではないのですが、なぜかこんな風に揃ってしまいました。まあ、今年はロシア革命100周年なので、丁度よいと言えば丁度よいのかもしれません。

あるいは、レーニンと並べるなら、毛沢東とかポル・ポトと一緒がよいのでしょうか? 共産国家を打ち立てた巨頭たちです。しかし、そうなると金日成やカストロなどの評伝も出さないとならないのでしょうか?

ちなみにヒトラーやムッソリーニの評伝も出していますから、個性派のリーダーの評伝がよっぽど好きな会社と言えるかも知れません。

定期的に記事が出る話題、ということは人々が常に気にしているってことですよね

アエラ最新号の特集は「大学のサバイバル能力」だそうです。

となると、『消えゆく「限界大学」』を忘れてもらっては困ります。

雑誌と書籍って、書店ではなかなか一緒に並べにくいものではありますが、この手のコーナーを作るときには、雑誌担当者は書籍のことを、書籍担当者は雑誌のことも思い出していただけると幸いです。