今日の配本(17/12/21)

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「名は体を表わす」というように「オビはその本を表わす」という感じ?

近刊『移民の政治経済学』のオビには大きく「移民は商品ではない、生身の人間だ」と書いてあります。いまさらながら当然のことと言えば当然ではありますが、意外と忘れられがちな点なのかも知れません。奴隷貿易の時代、新大陸に連れてこられたアフリカ人ならともかく、今の時代、こんな考えはありえないと思うものの、この視点が抜け落ちていると著者は警鐘を鳴らしているのでしょう。

本書、どんな本なのか? こういった分野はからきしなので。出来上がってきた見本のページをめくってみました。その最終章、「第十章 いったい誰の肩を持つの?」の書き出しはこうです。

本書もこれで最後の章だ。そろそろ次の質問をするころだろう。結局、これまでの議論を総括すると何が言えるのか? どういった教訓を我々はこれまで学んできたのか? それらは信頼できる教訓なのか? またそれらの教訓は、我々がこれから実行すべき移民政策について、何を示唆するのか?

こういう問題提起を承け、著者は以下のように述べています。

私は本書を通じて、三つの基本的なテーマを強調してきた。

その三つとは以下のものです。

まず第一に、移民がどういった存在かについては対立する二つの見方があり、そのうちの一つは明らかに間違っている。移民は単なる労働投入、つまりロボットのような労働者ではないのだ。…(略)…受け入れ国の社会的、政治的、文化的な側面に影響を与えることのない存在ではないのだ。

(略)

第二に、移民の経済効果に関して多くの実証研究があるが、それらは将来の移民の流入がどのような影響をもたらすかを予測する上で役に立つ単純な公式を与えてくれるわけではない。移民をロボットのような労働者と見なさず人間として見たとき、社会で何が起こるかは移民を受け入れる地域の政治的、文化的、経済的な環境に左右されるということを、我々は認めなければならない。

(略)

最後に、移民のように政治的な論争の対象になる問題に対する専門家の意見には、懐疑的になる方が賢明だ。移民受け入れは「我々全員にとっていいことだ」という学界の通説は影響力が強いため、具体的にどのようにして移民の影響に関してある結論が導き出されたのか、細部まで注意深く調べることは必要不可欠だ。

うーん、なかなか面白い論議です。ここを読むと本書のスタンスと言いますか、どういうところを問題としている本なのかがうっすらとわかるようです。

このところ移民に関する書籍はたくさん出ています。文化的なアプローチや政治的なアプローチの本もありますが、本書は経済学的なアプローチになるかと思います。これらを集めればフェアでもやっているかのような状況ですが、移民に関する議論に一石を投じる書となるのではないでしょうか?

 

早速にポップが登場!

インスタ映えする語学書として社内で大評判の『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』が書店に並びはじめました。

既にご覧になって、手に取っていただけたでしょうか? あっ、買っていただけましたか、と書いた方がよいのでしょうか?

上の写真は、紀伊國屋書店新宿本店の8階、語学書売り場、フランス語の平台です。あ他紙の勤務先の刊行物2点にポップが飾ってあります。もちろん担当の方のお手製です。深謝!

今回の新刊のポップもとても素晴らしいです。本当にありがたいことです。

朝日新聞三点盛り

書評よりも、得てしてこういう記事の方が実際の販売に繋がったりするものですが……

まずは土曜日の朝日新聞朝刊「折々のことば」から。

シェイクスピアの『リチャード三世』からの引用で、使われているのはもちろんUブックス版、小田島雄志訳です。

そして夕刊社会面にはこんな記事が。

今週いよいよ一般公開、上野動物園のパンダ、シャンシャン。個人的には、和歌山にだってパンダはたくさんいるのに、上野、上野と騒いでいることに鼻持ちならない気分なのですが、1月半ばに『読むパンダ』という本が出ます。本邦初、パンダに関するさんソロジーです。乞うご期待!

そして最後に今朝の朝日新聞の広告。

青山学院大学と東京外国語大学のコラボ広告です。この記事に関心を持たれた方には、ここに登場の立石先生を中心に編んだ『言葉から社会を考える』をお薦めいたします。

今日の配本(17/12/18)

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はじめての海外文学よりも、何冊目かの海外文学を選んだあたし、そして何度目の青空か?

今日は表参道ではじめての海外文学のイベントがあったそうですが、あたしはパス。

昨日もイベントだったので、土日二日続けてはツラいなあと思ったのが不参加の理由の一つですが、それよりも読みかけの海外文学を読んでしまおうと思ったのが最大の理由です。

読んでいたのは『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』で、あと3分の1か4分の1くらい残っていたのを、本日一気に読了しました。

最後は爽やかな青空で終わるこの作品。青空って、見上げる人の気持ち次第でいろいろな表情を見せてくれるものです。そもそも青空を見上げるような余裕のない生き方をしている人のための作品だったような気もします。

だからなんですが、乃木坂46の「何度目の青空か?」が思い出される後半、そして読後感でした。騙されたと思って、このMVを見ながら本作を読んでみてください。あるいは本作を読んだ方、この乃木坂46のMVをご覧になってみてください。ただし、公式チャンネルでは、MVは既にショートバージョンしか公開されていないので、あたしが感じたものを同じように感じていただけるか、非常に心許ないですが……

閑話休題。

この『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』は韓国の作品です。このところ、あたしも韓国の作品を何作か読んでいるのですが、書店店頭を見てもちょっとした韓国文学ブームだと思います。いわゆる韓流ドラマや韓流映画の流れと重なるのか、それとは異なる動きなのか、そこまではわかりません。ただとにかく翻訳作品がつづていることは確かです。

そして韓国以外にも、香港や台湾、そして大陸中国の作品も陸続と出版されていて、ここへ来て、なにやら東アジア文学のムーブメントでも起きているような錯覚を覚えます。実際にブームが起きているのでしょうか? もちろん個人的には大歓迎です。

そして、あたしは次に『チェロと私と牧羊犬と』を読むつもりです。これは中国の作品です。

あたし、実はブックカバーを付けるという習慣がないのですが……

サキに、いや間違えた、先にご紹介したサキの特製ブックカバー、あたしもいただいたので付けてみました。

 

ビフォー、アフターのような写真ですが、既刊も含めた4冊にかけてみました。

実はあたし、このダイアリーで書いたことがあったかもしれませんが、ブックカバーでしません。本屋で本を買ったときに、「カバーをお付けしますか?」と書店員さんに聞かれても「結構です」と答えますし、「袋も要りません。そのままで構いません」と言うこともしばしばです。

ただ、そのままだと店内では万引きしたと誤解されかねないので、書店員さんはレシートを本に挟んでくれます。そして「店内ではレシートを挟んだままにしておいてください」と、まるで採血した後に「しばらく脱脂綿の上から軽く押さえていてください」と看護婦さんに言われるような感じです。

別に、書店のブックカバーを付けてもらわないのはお気に入りのマイブックカバーがあるから、というわけではありません。そもそもブックカバーをするという習慣がないのです。ですから、カバンに入れて通勤途中や営業回りの途次に読む文庫本や新書は、かなりボロボロになることもあります。まあ、文庫や新書はボロボロになる前に読み終わることが多いですが……

単行本は、営業回りの邪魔になるので自宅で読むことが多いですが、時には持ち歩いて読むこともあります。これも持ち歩くくらいなので比較的薄めの本ですから、やはり数日で読み終わりますので、そこまでボロボロにはならずに済んでいます。

人によっては、それくらいの汚れや痛みもイヤだという人もいるようですが、持って歩いて読む以上、そこは気にしません。本当に大切な本は自宅で丁寧に扱います。写真集やイラスト集のような美術系のものを持って歩き、常に電車の中で眺めているなんて、まずあたしはしませんから!

カバーをする人の中には、汚さないためではなく、どんな本を読んでいるか知られたくないから、という人も多いようですね。もしかすると、こっちの方が理由としては多いのでしょうか? あたしの場合、それが理解できません。

これは出版社の営業だからかも知れませんが、自分が気に入って読んでいる本、面白いと思って読んでいる本は、できるならより多くの人にも読んでもらいたいものです。そのためには、この本が面白いですよと伝えなければなりません。ブログなどでそういう感想を書くのも一つの方法ですが、それでは伝播にも限界があります。

なので、あたしは電車の中などで、できるだけタイトルなどがわかるようにカバーを掛けずに本を読むようにしているのです。子供が教科書などを座席に座った膝というか太腿の上に広げて読んでいることがありますが、あれでは表紙が見えませんからいけません。たとえ座っていても、本はできるだけ高く掲げるように持って、できるだけ多くの人に表紙が見えるように読みたいものです。

腕が疲れて下がってきたときには、この季節ならではの咳をする振りをして、本で口元を押さえるようにして、「エヘン」と咳払いをすれば顔の位置まで本を持ってきますから効果的です。