もう少し整理したいと思うのですが……

同じ本を2冊、時に3冊買ってしまうことがあります。

もちろん一時に買うのではなく、店頭で目にして「あっ、買っておかなきゃ」と思って買うのですが、いざ自宅へ持ち帰って書架に収める段になると同じ本がそこに置いてある、という具合です。

「どうして買った本を覚えていないの」と問われれば、「しょっちゅう本を買っているから」としか答えようがありません、いろいろ買っているので「これはまだ買っていないだろう」と思ったつもりが、既にちゃんと購入済みだったというわけです。

ふだんは手に取らないようなジャンルの本であればそういうことも少ないのですが、興味のあるジャンルの本だとこうした間違いを犯してしまいます。特に中国関係ですとその傾向が強いです。複数買ってしまうよりも、まだ買っていなかったことを恐れているのでしょう。

自覚があるので、最近はその場では買わずにタイトルをメモし、一度家に帰って自宅の書架を確認してから買うようにしていますが、それでも買ってみたら「やっぱり持ってた」ということがあります。なんでそうなるのか、さらに考えてみますと、本が多すぎるから全部を把握し切れていないためだとわかります。

上の写真は、廊下に置いてある書架です。もう自分の部屋は満杯なので、天井に達するほどの薄型の書架を置いていますが、ご覧のようにもういっぱいです。おわかりのように、薄型の書架ということもあって、文庫や新書が多いのですが、一応はレーベルごとに並べています。

しかし、これだけ増えてくるとレーベルごとに置けなくなってきます。端の方や上の方の棚はいろいろなレーベルがごっちゃに置かれていたりします。そうなると、既に買ってあった本なのか、まだ買っていない本なのかがわかりづらくなってしまうのです。

以前にもアップしたことありますが、あたしの部屋の書架は既にこんな状態です。写っているのは、ほぼ中国で発行された本です。中国で発行された書籍は、ここに写っている量の数倍もの分量があたしの部屋に置いてあります。

そして下の写真。これも以前に一度書きましたが、あたしの部屋の書架に置いてある文庫や新書です。写っているのは、昔懐かしい装丁の、講談社現代新書です。

このようにレーベルごとで並べていたのですが、足りなくなって新しい書架に置くようになり、それが積もり積もって、どのレーベルがどの書架にどれくらい置いてあるのか、把握しきれなくなっているのです。

上の写真は中公新書です。これも既にこの書架は満杯なので、一枚目の写真、廊下に置いてある書架にかなり並んでいます。こうして2か所くらいにまとめられればよい方で、岩波文庫などは4か所くらいに分かれてしまっているので……(汗)

上の写真は、中華書局の「二十四史」の棚。これも前にアップしたことがありますね。人名索引や地名索引なども数十冊はあります。最近は、こうした中国発行の書籍は買わなくなって久しいですが、これらをいつの時点で処分することになるのか……

こんな状況なので、どの本がどこに置いてあるか把握しきれなくなっているのです。中国発行のものは、だいたい経史子集でまとめるようにしているのと、最近買っていないのでまだましですが、それでも中国へ行くことがあったら、古い時代の北京や上海の写真集とか、買っちゃうんだと思います。

カズオ・イシグロはガイブンなのか?

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが売れています。昨日の営業回り、ようやく重版分が入荷したようで、お店の一等地に並んでいるのを見かけました。何人もの人が手に取っていました。

  

いろいろと翻訳は出ていますが、目立つのは『日の名残り』『わたしを離さないで』『忘れられた巨人』の三作品。売れているのもこの三つに集中しているのでしょうか?

お店の方に話をうかがうと、売れているのは確かなのですが、昨日入荷した冊数がかなり少なかったとのこと。あたしが回っていたのが郊外の書店ばかりだったので、そんな結果だったのでしょうか? 都心の大型店ならば十二分な量の入荷があったのでしょうか?

ここ数年、日本であまり知られていない作家、だから翻訳もあるのかないのかわからないような作家の受賞が多かったので、今年は久々に「売れる」作家の受賞で書店も活気づいているのはわかりますし、業界人としては嬉しいことだと思います。ただ、疑問に思うことも。

カズオ・イシグロはガイブンなのか?

ということです。彼が日系人であることは間違いありません。両親の仕事の関係でイギリスへ渡り育っただけで、彼自身がハーフだとかクオーターだとかそういうことはなく、血筋で言えば紛うことなき日本人です。単に、日本が二重国籍を認めていないので、英日両方の国籍を持つことができず、仕方なくイギリス国籍を選んだ、ということらしいです。

ですから、彼を日本人作家と見做し、日本人が受賞したと喜びたくなる気持ちは十分に理解できます。しかし、それと作品とは別です。ハヤカワ文庫からでている彼の作品はすべて翻訳です。どれ一つとして日本語で書かれたものではありません。作者のことを知らなければ純然たるガイブン作品です。

内容に日本的なところが見受けられるとしても、それは彼に限ったことではなく、他の海外作家にも日本を題材に書いた作家や作品は多数ありますし、中には日本人以上に日本の本質を切り取ったような作品だってあります。なので、それを持って「日本人作家」「日本人の受賞」と言うのには、なんとも言えない違和感を感じています。

ただ、今年は理系分野で日本人のノーベル賞受賞がなかったので、メディアとしてはどうしてもここに飛びつきたくなる気持ちはわかります。それに長い出版不況にあえぐ業界としても、「日本人が受賞」と謳った方が本がよく売れることも事実でしょう。

問題はそこです。

過去のノーベル賞、等し並みに語ることはできませんが、受賞のニュース、そして書店からの注文殺到、という流れは同じですが、その後実際にどのくらい売れるのか、売れたのかと言いますと、実はそれほど芳しいとは言えません。もちろん、ノーベル賞がなかったらまるで売れていなかった作品が再び売れたという点では喜ばしいのですが、作りすぎて大量の在庫を抱える羽目になった、というのでは却ってマイナスです。

ノーベル文学賞の場合、作品ではなく作家に与えられるので、今回のカズオ・イシグロのように翻訳がいくつも出ているものでは、それをどのくらい増刷するか、早川書房は悩んだことでしょう。ガイブンだと、とりあえず一冊は読んでみようという読者はそれなりにいると思います。その点はさすがノーベル賞です。しかし、一冊読んだ後にもう一冊、と手が伸びるかどうか、というところが判断の難しいところです。

あたしからすると、作品が面白いか否かが肝心なのであって、日本人作家だからとかガイブンだからというのはほとんど判断材料にはなりませんが、実際の売れ行きを見ていると日本人のものと海外のものとでは、そのあたりに顕著な差ができるものです。ガイブンは一定のガイブン好きが手に取ったらパタリと止まる、というのが過去のデータから見えてきます。

いや、日本人作家のものでもさほど変わらないのではないかという意見もあるでしょうし、そこまで実証的なデータを持っているわけではないので断言はできませんが、あえて言うなら、翻訳権がない分、相対的に日本人作家の作品は安く、従って読者からすれば買いやすい、ということは言えます。

さて、カズオ・イシグロです。しばらくは売れ続けると思いますが、一か月か二か月、そうですね、正月休みに読もうという方も多いでしょうから、年末くらいまでで実売がどのくらい伸びるのか、業界的にも楽しみであります。しかし、文庫本なので、売っても売っても利益は薄いでしょうね(涙)。

死んだ!

この夏、クワガタをもらったと、以前書きました

小学生の時以来の昆虫飼育、この歳になっても、それなりに心躍るものですね。

が、悲しいことに、じきにオス、メスそれぞれ一匹が死んでしまいました。飼い方が悪かったのか、と言われても、小学生以来なので、それに小学生の時だって決して気を遣って飼っていたわけでもないので、ノウハウなんてありません。カブトムシ、クワガタムシ用のエサをホームセンターで買ってきて与えていただけです。

オスが一匹だけになってしまったクワガタ。

その後、妹のところの姪っ子が欲しがったので、夏にわが家へ遊びに来たときに持って帰らせました。そして、姪っ子たちは喜んで世話をしていたようです。

先日、姪っ子たちの運動会を見物に母と二人、妹の家へ行きましたが、その時もクワガタは健在で、元気に籠の中を歩き回っていました。

それが、昨日、妹から連絡があり、朝起きたら死んでいた、とのこと。クワガタの寿命がどのくらいなのか知りませんが、長生きと言えるのでしょうか、それとも越冬させることもできたのでしょうか?

ダイソンのような出版社になれるのか?

11日付けの朝日新聞経済面に載っていた記事に、こんな一節がありました。

イオンは8月下旬、自主企画商品(PB)114品目を平均1割程度値下げした。春も大規模な値下げをしたが、対象商品以外の売れ行きは伸び悩んだ。イオンリテールの岡崎双一社長は「お客に目を向ければ、今後も(値下げを)必ずしていかなければならない」とさらなる値下げを見据える。

安くしないと売れない、そういう循環が定着し、政府がいくら景気がよくなっていると言っても、国民は誰も信用していないのがわかります。

書籍の場合、そこまで値段に敏感ではないと思いますが、そのぶん業界全体がこの十年以上冷え込んだままです。それによって得られるものなどを考えると、書籍の値段は決して高いとは思いませんが、数百円はおろか数十円、数円単位でしのぎを削っているスーパーなどから見れば、薄っぺらいのに数千円もする本は、とても消費者に振り向いてもらえない商材なのかも知れません。

本の場合、安い方が売れるという傾向は確かにありますが、安くしたから売れるわけでもないですし、高いからと言って売れないわけでもありません。読者がその値段に見合うと判断してくれれば、それが適正な価格ということになります。もちろん読者の見做す適正価格というのあれば、諸経費などから割り出される出版社側の適正価格というのもあります。

「たくさん作れれば安くできる」というのはどの業界でも同じですが、たくさん作って安くしたからといって、そのぶん売り上げが伸びるとは限らないのが難しいところです。単純に価格が半分になったからといって売り上げが二倍になるかといえば、決してそんなことはなく、多少値段の差があっても、あるジャンルの書籍の売れる冊数というのは、ものすごく影響力のある紹介でもない限り、だいたい同じところに収束します。2200円の翻訳小説と2400円の翻訳小説で売り上げにそれほどの差がないのであれば、出版社としては2400円で売った方が利益が大きくなりますから、そちらを選択することになります。

繰り返しになりますが、つまりはその価格に見合う内容の本であるか否か、ということです。本が売れないのは業界全体の話ですから、となると文庫や新書のように安く大量にという路線もあるでしょうが、高価格で部数を絞り確実に利益を上げるという方法もあります。売れ残った大量の在庫を抱えるのはどの出版社も避けたいところですから、予想される読者プラスアルファ程度の初版部数に絞り込み、それでどれだけの高価格に耐えられる本なのか、ということになりますが、こう書いていると、なんとなく家電のダイソンを思い出します。

ダイソンは、中国や韓国のメーカは言うに及ばず、日本メーカーの製品よりもはるかに高価格の製品を作っています。とりあえず使えればよいという人だったら絶対に手を出さないような価格です。それでも売れています。それは価格に見合う性能だからです。

本も同じように、価格に見合う内容であれば、少しくらい高くても買ってもらえるというのは事実です。あたしの勤務先は中国や韓国のメーカーの路線を取ろうとしているのか、それともダイソンになろうとしているのか……

文庫本と図書館。たぶん新書も同じこと?

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。

これまでも「無料貸本屋」と揶揄され、出版社から槍玉に挙げられることのあった図書館。確かに、数千部や数万部を売っている大手出版社からすれば、その何割かが図書館で済まされてしまうと大きな痛手でしょう。

でも学術書、専門書のように、なんとか頑張って1000部、1500部の初版部数で頑張っている出版社からすれば、そのうちの300部から500部前後を図書館が購入してくれるのであれば、非常にありがたいと考えるのも道理です。この議論は出版社の出版規模によって考え方の差が大きいと思います。

とはいえ、あたしも「文庫や新書くらいは本屋で買いなよ」と思う方です。この10年くらいでしょうか。不景気と言われるようになり、電車の中で本を読んでいる人が手にする文庫本、図書館のラベルが貼ってあるものが目立つようになりました。以前は、単行本などでは時々見かけることはありましたが、この10年、文庫や新書を図書館で借りて読んでいる人が増えたなあという印象です。

文庫、新書のように安く大量に作っている商品は、大量に売れてくれないと赤字になってしまうのは子どもでもわかる理屈です。その売れてくれるはずだった部数のかなりの部分が図書館で借りられていると考えたら、確かに見過ごすことはできないでしょう。

景気がよかったころは図書館で借りられている部数なんか気にならないくらい本屋で売れていたから問題が表面化しなかっただけでしょうが、昨今はそうは言ってられなくなったということですね。ただ、図書館よりもスマホの方が脅威ではないかと思うのですが。

ロシア革命百年、盛り上がってますか?

昨日の朝日新聞夕刊。

個人的には、あまりロシア革命をアピールするよりも、共産主義とは何であったのか、マルクスの理想は奈辺にあったのか、そういった視点で捉えていました。

だからこそ、ピケティや格差社会といったところにも射程が広がると思うからです。あまりロシアというかソ連を強調すると、スターリニズム的な強権主義、個人崇拝、共産党独裁というマイナスイメージばかりになるので、なぜそうなってしまったのかを考究する方が、いまロシア革命を取り上げる意味があると思うのです。来年はマルクス生誕二百年ですし。

で、朝日新聞の記事に載っていた写真。あれはジュンク堂書店池袋本店の棚でしょうか? あたしの勤務先の本がチラホラと見え隠れしていますね(汗)。

別に、あたしの勤務先は左寄りの出版社というわけではないのですが、なぜかこのところソ連ものが増えているような……。この後も刊行予定がありますし(汗)。

社内の流れとしては、第二次大戦を中心とした「近現代史もの」という刊行の中でのソ連、ロシア関連書なのです。ですから、決してロシアものばかりではなく、同じくらいドイツものも出しているんですよ!

とはいえ、上の写真のようにロシア、ソ連関連書だけを並べてもこれだけあるわけですから、書店でコーナーを作ったらそれなりに存在感を出してしまいますよね。

アピール力が足りない?

11月の上旬に、大阪で商談会があります。大阪駅前のグランフロントの中にあるホールが会場です。先日、冊子が出来上がってきました。

一応、今年も出展します。今年で三年目、いや二年目だったかしら? あたし一人、ポツネンと自社ブースでまどろんでいます(笑)。

東京でも今月下旬にあるのですが、こういう場で自社の商品をどうアピールすればよいのかが悩みの種です。ふだん訪問している大型展の方も来場されますが、過半は、いわゆる「街の書店」です。そういう書店に対して、値段も張るし、読者も限られている、わが勤務先の本をどう置いてもらうか。

周囲の、来場するなり書店員が殺到する他社のブースを尻目に、一日無聊を託つようなイベントです。ただ、毎年一つや二つ、うちの本を置いてみたい、試してみたいと言ってくださる書店の方が見えられます。そういう書店の方との邂逅は、立ちっぱなしの疲れを癒してくれるものです。

さて、今年はどんな風になりますか?

ようやくゲットしましたよ!

セブンネットで予約していた乃木坂46のニューシングル、受け取りに行ってきました。本来なら昨日のうちに手に入っているはずだったのですが、近所のセブンイレブンが受け取り場所ではなく、少し遠いセブンイレブンまで行って来ました。

なんでそうなったかと言いますと、購入時の受取店舗をしているときに、あたしが間違えて別の店舗を指定してしまったというケアレスミス。どうして他の店舗が表示されていたのかと言えば、以前、乃木坂とセブンイレブンのタイアップ弁当が売り出されたとき、最寄りのセブンイレブンでは販売してなくて(取り扱いがなくて)、やむを得ず少し遠いそのセブンイレブンを指定したことがあったのですが、そのデータが残っていたようです。

何はともあれゲットできたのでよかったです。上のように全部で5種類。特典映像付きのDVDが付属するType-AからType-D、そしてCDのみの通常盤です。通常盤以外にはランダムでメンバーの生写真が付きますが、それが以下の4枚です。

左から、なーちゃん、与田ちゃん、りりあん、れんたん。なんと3期生が3名という高確率、メンツもなかなかよい組み合わせで、あたし的には「アタリ」でした。

晶文社と? 藤原書店と?

晶文社のこんな新刊を目睹。

 

モラルハラスメント』です。実はあたしの勤務先にも同じタイトルの本があります。文庫クセジュの『モラル・ハラスメント』です。前者は「あなたを縛る見えない鎖」というサブタイトルからもわかるように「脱出法」を説くのが主のようです。ウェブサイトには

互いに親密だった関係が、恐るべき支配・被支配の関係に転化する。監視、脅迫、ストーカー行為、セックスの強要、虐待など、アメリカにおけるモラルハラスメントの事例を紹介するとともに、そこからの脱出方法を詳しく解説。LGBTカップル間のモラハラや、ティーンエイジャーにおけるモラハラ、ネットを使ったハラスメントの実態も! なぜモラハラは起きるのか? どうして関係を続けてしまうのか? どうしたら関係を終わらせることができるのか? モラルハラスメントの罠から自由になるための決定版指南書!

とあります。一方の後者は「職場におけるみえない暴力」がサブタイトル。職場でのモラハラを主としている本です。同じくウェブサイトでは

職場でのいじめ問題は、当事者間の問題として位置づけられ、社会的な規制が等閑視されている。コミュニケーションやメンタルヘルスの問題として扱うことが、労働条件の問題や労使関係の問題に位置づける視点を曖昧にし、職場のいじめ行為自体が労働者の人格権や自由への侵害であることを見逃してしまう。その背景には、この問題が正しい処方を欠き、有効な規制制度と救済制度を社会的に確立しないまま、個人の心がけや個人的責務の問題にすり替わっているからである。本書では、職場のいじめをモラル・ハラスメントとして位置づけ、実効的な規制制度と救済制度の確立を提唱する。諸外国での取り組みを紹介しつつ、職場のいじめ問題について解説。日本の現状についても言及している。

と紹介されています。どちらも「見えない」という言葉がサブタイトルに使われているところにモラル・ハラスメントの鍵があるように思えます。

続いて書店で目に付いた新刊は、藤原書店の『改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』』です。こちらも間もなくですが、あたしの勤務先から『サミュエル・ベケット』という本が出ます。ベケット入門という感じのもので、Uブックスですから大きさもお値段も手に取りやすいと思います。

ただ、あたしの勤務先はそれ以外にもベケット関連書は少なからず出しています。が、ここは同じUブックスの『ゴドーを待ちながら』をお薦めするのに留めておきましょう。