格差社会

下の写真、いわゆるフェア拡材です。

左は《エクス・リブリス》創刊50点記念フェアのリーフレット、右は《クレスト・ブックス》のフェア用小冊子。

大きさの違いもさることながら、《エクス・リブリス》は二つ折りの4頁、《クレスト・ブックス》は16頁立ての中綴じ小冊子、お金がかかっているのがわかります。出版社の地力の差って、こういうところに現われるのでしょうか?

いや、大きければよいというものではないですし、ページ数が多くてもかさばる、という問題がありますから、どちらがよいというのではありません。そもそも大手も大手、新潮社の看板シリーズと比べるのが間違っているわけでして……

あっ、ちょっと卑屈になりすぎました(汗)。

ただ、《クレスト・ブックス》の冊子の方には、今後刊行予定の作品について訳者が語っているコーナーがあります。これまでを振り返るのもよいですし、そういう拡材なら簡単に作れますが、今後を語るのはファンにとっては楽しみが増えるので嬉しい記事だと思います。《エクス・リブリス》もそういうところは見倣っていかないとなりませんね!

少しは反響があるでしょうか?

昨日の朝日新聞の夕刊です。

夕刊なので関東ローカルな記事ですが、和田誠さんの展覧会があるそうです。会場はたばこと塩の博物館、「和田誠と日本のイラストレーション」です。

実は和田誠さんの本、あたしの勤務先でも多少は出していまして、この展覧会にふさわしいのは『四人四色』ではないかと思います。

 

上掲写真以外では、イラストの話ではありませんが、『連句遊戯』や『五・七・五交遊録』といったものも出しております。

この機会に如何でしょうか?

一見何のつながりもないようですけど、実は併せ読むとよいのかな、と思ったりするのですが、如何でしょう?

下旬に刊行予定の『家族をテロリストにしないために』は副題が「イスラム系セクト感化防止センターの証言」と言います。これは実際にフランスにある組織の名前です。どんな本なのか、ウェブサイトの梗概を引用しますと

フランスでは、ISのような過激派組織に洗脳される若者が増加し、大きな社会問題となっている。著者は、子どもを組織に取り込まれて苦悩する約400の家族に接し、その恐るべき実態を分析した。第1部では、組織による洗脳や取り込みの手口が具体的に説明されている。イスラム系セクトのメッセージはインターネットによって流布され、段階を追って巧妙に若者を洗脳していく。食品・薬品やエコロジーへの批判、消費社会のスキャンダルなど、組織が作成する動画を通じて、若者は「世界は嘘だらけで退廃している」という思いを抱く。自室という安全な空間で、次々とパソコン画面をクリックしていくうちに、その思いは「世界をよくするために何かをしたい」「自分はそのために選ばれた人間なのだ」と変容し、より攻撃的で過激な思想へと飛躍していく。第2部では、組織や洗脳から脱却させる方法を示す。いったん洗脳されてしまった若者を脱却させるためには、家族の協力が欠かせない。脱却に成功した人の体験談や感化防止センターの支援は大きな意味をもつ。これらの事例は他人ごとではないはずだ。全世界に警鐘を鳴らす生々しい証言である。

日本では、中東へ行って「イスラム国」へ入ろうとした学生が捕まったとか、そんなニュースが少し前にありましたが、一般的にはイスラム過激派へ入ろうという人はほとんどいないでしょうし、あまり身近に考えられないと思います。しかし、例えばオウム真理教のような新興宗教にのめり込んでしまって、といったような事例ならかなり身近に感じられるのではないでしょうか?

オウムを新興宗教と呼べるか否かは議論の分かれるところだと思いますが、過激派にせよ新興宗教にせよ、なんとなくわけのわからないものに子供(家族)が入ってしまって困っているという人なら、日本でもそれなりにいるのではないでしょうか? そんな方々に読んでいただきたい新刊です。

で、書店店頭で目に入ったのが作品社の『大量殺人の“ダークヒーロー”』です。こちら、タイトルだけ見ると『家族を…』と何のつながりも感じられませんが、こちらの副題は「なぜ若者は、銃乱射や自爆テロに走るのか?」です。これを見ると、それほど縁遠い本ではないと思えるのではないでしょうか?

事件と犯人の綿密な分析によって、動機・心理・社会背景を解明し、“銃乱射”や“自爆テロ”が生命を犠牲にした“表現行為”であり、現代資本主義の構造的な病理であることを明らかにした世界で話題の書!

ウェブサイトの内容紹介には上のように書いてあります。アプローチの仕方や着眼点に差異はあるものの、非常に近しい本だと思いますので、ぜひ併売いただければと思います。

格差が新たに生まれているのかしら?

朝日新聞に載っていたこんな記事。

児童書が売れているそうです。いわゆる昔ながらの絵本とか、そういうものではないようですね。このジャンル、あたしの勤務先は出していませんが、他社の人に聞くと、昔からのロングセラーが強くて、なかなか新しいヒット作を出すのが難しいそうです。にもかかわらず、こういう記事が出るわけですから、各社手を変え品を変えて努力しているのですね。

子供のころから読書の習慣が身につけば、小学校中学校の朝読、そして大人になっても本を読む習慣が持続されるのではないか、そんな期待もあります。読書する習慣のある子供は読解力などに優れ、従って勉強も出来る子に育つ、と言われますから、親としては切実な問題なのでしょう。子供のいないあたしにはわかりませんが……(汗)

記事では、教育熱心な親が子供のためにはお金をかけていると分析しているようですが、そうなると金をかけられない低所得の家庭の子供との格差が生まれてこないでしょうか? 学校の図書予算も潤沢とは言えないわけですから、自宅日本が潤沢にある子供とそうでない子供、本を買ってくれる親や祖父母がいる子供とそうではない子供。家庭環境によって火なり異なりそうです。そもそも、親に本を読む習慣がないと、本を買ってやろうとか、本を読ませようという発想も出て来ないですよね。

うーん、こんなところから子供の格差が新たに生まれてきそうで、手放しで喜べる記事でもないような気がします。

とはいえ、出版界としては、なんであれ本が売れるのはよいことです。ただし、他があまりにも売れていないので、ちょっと売れただけの児童書が上位にランキングされたのだとしたら、それはそれで深刻な話ですが。

ちなみに、妹夫婦はあまり本を読むようなタイプではなさそうなので、甥っ子姪っ子にはあたしがしばしば本を買ってやっています。家に、身近に本がある環境って、やはり大事だと思いますから。

「まお」と言ったら、井上真央でも浅田真央でも小林麻央でもなく、毛沢東のことです

今日は毛沢東の命日だと書いたので、自宅にある関連グッズを探してみました。

まずは壮年のころの毛沢東の写真を使ったマグネットです。だいたい名刺とかクレジットカードくらいの大きさです。記憶が正しければ香港へ行ったときに買ったはずです。帰国前に両替するのも面倒な小銭を処分するのにちょうどよかったので、香港の夜景のマグネットと一緒に買ったものです。

 

続きましては、古本屋で買った角川文庫版の『毛沢東語録』です。あいにくと本家本元の毛沢東語録は持っていませんが(涙)、本書はなぜか二冊持っています。一時期、大陸では毛沢東グッズが大流行したそうですね。毛語録も売られていたという噂も聞きましたが、本当だったのでしょうか? あるいは今も北京の書店へ行けば普通に買えるものなのでしょうか?

この角川文庫版も今は絶版ですよね? 平凡社ライブラリーに移っているようです。

三つ目は懐中時計です。恩師・伊地智善継先生の中国土産です。あたしがふだんから懐中時計をしていたのをご存じだったからのチョイスだと思います。今は使っていませんので、電池も切れて針は止まったままです。

最後は北京の友人にもらったものです。友人宅へ遊びに行ったときに、少し前に旅行で行って来たおみやげだと言ってくれました。別にあたしのためにわざわざ買ってきたものだとは思えません。たぶん、韶山の毛沢東故居を参観したとき、参観者全員に配られた記念品でしょう。

ガラス製です。ただの置物なのかとも思えますが、形状などからして、ペーパーウェイトなんだろうと思います。

あと。毛沢東バッヂも持っていたような気がしますが、それがちょっとどこへ仕舞ったのか見つかりません(汗)。

2017年9月9日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

フランスの作品✕2

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重陽の命日

9月9日です。

世間的には北朝鮮の独立記念日で何かが起きるのではないかということで持ちきりですが、あたしにとって今日は父の命日です。もう何年になるでしょう? 二十数年まえのことです。確か雨の月曜でした。そして、父の命日というのは、父の母、つまりあたしの祖母の命日でもあります。祖母は父が小学生のころに亡くなっているので、父も薄ぼんやりとした記憶しかないようで、もちろんあたしは逢ったこともありません。確か父の遺品の中に古い写真が一枚残っていただけのような……

そんな命日が重なる今日は、お隣、中国の指導者、毛沢東の命日でもあります。その後も紆余曲折がありましたが、事実上、文革が終息を迎えた契機になったのが今日ではないでしょうか? もう主席が生きていればこその文革でしたから……

 

なので、新刊『文化大革命 〈造反有理〉の現代的地平』などを手に取っていただきたい日でもあります(汗)。それにしても、中国国内ではどうなのでしょう? まだまだ文革時代の負の歴史を大っぴらにできないようなところがありますね。日本には歴史を直視せよと言いながら、自分たちは文革も天安門事件も国民には真実を知らせずでは構成とは言えないと思います。

それはともかく、ずいぶん前に古書店で見つけて、こんな本を買っていました。文藝春秋の臨時増刊です。

奥付を見ると1973年の刊行です。ちょうど日中の国交が回復された後ですね。そういった国際情勢を受けての編集、発行だと思われます。

巻頭、カラーグラビアの後には毛沢東の評伝が載っています。執筆は竹内実さんでした。この時点では、まだ毛沢東の真実、文革の負の面は日本に伝わっていなかったのでしょうか?全体的には日中友好を前面に打ち出した記事ばかりが目につきます。いわゆる、日中蜜月のスタートですね。

朝も夜も本の話

朝日新聞の朝刊に出版業界に関する記事が大きく載っていましたが、夕刊にもこんな記事が!

頑張っている本屋さん、そして出版社の記事です。

本屋だろうが出版社だろうが、一人で趣味的にやっているぶんには、その人がそれで満足ならよいのでしょうが、ある程度人を雇って経営していかなければならないとなると、俄然厳しさが増すのではないでしょうか?

それに、そもそもこういう記事で取り上げられる本屋って、いわゆる「街の本屋」ではないですよね?

果たして10年後の日本に求められている本屋って、どんな姿をしているのでしょうか?

スナックは九州?

今朝の毎日新聞の社会面です。スナックが九州に多いとは知りませんでした。

 

そして、そもそもこの記事は、絶好調な『日本の夜の公共圏』を踏まえた記事です。こういう記事が、案外この後の売り上げに結びついたりするのですよね。

これまでは、夕刊紙とか地方誌での紹介が続いていたのですが、遂に全国紙でも無視できなくなってきたという証拠でしょうか? 日曜日には朝日新聞の読書欄でも紹介予定ですから、一気に火がつくのではないでしょうか?

いや、スナックですから火がつくというよりは、灯が灯ると言った方がよいでしょうか?