自分勝手な長女だなあ~

先日、WOWOWで放送されていた「クリムゾン」を視聴。

両親の事故死を目撃したため心を病んでいる妹、そして姉二人。両親を亡くしてしまったため、今後の生活もあり、また妹の療養も兼ね、三姉妹は島に住む叔母さんの元へ向かいます。叔母さんが住む島というのはハロウィンになると化け物が現われ島民を皆殺しにするという伝説のあるところで、三姉妹が向かうのはちょうどハロウィンの時期。嵐も迫っていて何やらイヤな予感が……

結局、その化け物というのに島民はほぼすべて殺されます。三姉妹も命からがら逃げ惑います。化け物の正体はよくわかりませんが、かつて島民が魔女狩りと称して女性6人を火あぶりにしたことがあったらしく、その時に雷が落ちてその女性たちは魔女として蘇り、ハロウィンになると復習のために島に現われ島民を殺すのだとか。

ただ、その割には化け物には女性らしさが微塵も見えず、そういう言い伝えがあるなら化け物は6匹いたってよさそうなものの出てくるのは一匹だけ。6人が合体しているのかは不明。火あぶりにされたので、赤々と燃える墨のお化けのような形状なのは理解できるとしても、見た目の怖さは皆無です。そもそも百年に一度現われるというのは何故なのでしょう? 劇中では火あぶり事件があったのは百年前と説明されていましたが、なんで毎年現われず、百年に一度なのかも不明。そもそも百年に一度と言うことは、今回が火あぶり事件以来初めてということになりはしないでしょうか?

最後、長女が身を犠牲にして妹二人を助けようとするわけですが、あの状況でどうやって倒すつもりだったのか。あれでは自分がやられた後に妹二人もやられるだけの結果になるとわからなかったのでしょうか? そもそもこの長女、妹のことを心配している風でいて、全編にわたって自分勝手な行動がすぎます。大局を見て判断する能力が皆無なのではないかという気がします。なので、この手のホラーにありがちな正義感溢れるヒロインには見えず、こちらも感情移入がしづらいです。

三女は予知夢が見られる設定ですが、だからといって化け物を倒す決定的な鍵を握るわけでもなく、ただただ見てしまった怖い夢に怯えるだけ。まあ、ダラダラと長い映画ではなかったのがせめてもの救いでしょうか?

濃尾三日間

人文会の研修旅行で愛知・岐阜・三重の三県を水木金の三日間かけて回ってきました。各社名古屋地区は頻繁に出張で訪れているでしょうが、岐阜や三重はなかなか足を運んでいない出版社も多いようで、かくいうあたしの勤務先も訪問はご無沙汰の地区です。なので、こういう機会に行ってみようと思い、名古屋地区は少し駆け足で回り、岐阜、そして三重を回った次第。

行程としては、まずは豊橋に立ち寄って、それから名古屋市内へ。初日は名古屋に泊まって二日目は木曽川、岐阜、大垣といった町を巡って岐阜泊まり。最終日は岐阜からいったん名古屋へ戻り、近鉄線に乗り換えて四日市と津を回って帰京、というものでした。

肝心の岐阜や三重がどうだったのか? 大都市・名古屋が近いということもあり、客を名古屋に奪われているのは書店に限らないようです。特に三省堂の新規店がオープンした名古屋駅のビルへ、今のところ客足が向いているようです。この傾向は岐阜や三重だけでなく、同じ名古屋市内の栄についても言えそうです。客足は名駅へ流れているという話を複数で耳にしました。

それにしても、地方都市(名古屋クラスを地方都市と呼んでよいのでしょうか?)はかつての繁華街がさびれ、郊外のショッピングモールに人が集まっていると言われるようになって久しいです。特に地方になればなるほどクルマ社会ですので、道が狭く駐車場もない旧繁華街よりは郊外へという流れになっていました。

しかし、新幹線が通っているところでは、JRが駅ビルを作り、そこに人が集まるようになり、また客の流れが変わっているのをここ数年感じるようになりました。札幌も大通よりもこの数年は札幌駅の方が賑わっています。新幹線が開通した金沢も駅の賑わいは東京のターミナルのようでした。そして名古屋も名駅が一人勝ちになっているかのようです。モールもがらんとしているところが目に付きますね。

岐阜や三重に関しては、高校まではそれなりに学生もいますし、大学もあるので、そこへ通う学生も地元を中心にいるようです。でも彼らがずーっとそこにいるのかというと、大学を卒業すると名古屋や東京・大阪へ出て行ってしまう、という傾向が強いようです。若者が残っても仕事がないということなのでしょうか? 確かに駅前ですら寂しさを感じるところが多々ありました。若者が住んでいないと、やはり活気に乏しくなるものです。

訪れたのが岐阜や大垣、四日市、津といった県内でもそれなりの都市でしたからまだマシな方で、電車の車窓から眺めただけの途中駅では、本当に人っ子一人いなさそうなところばかりでした。もちろん上述のようにクルマ社会ですから、JRなどの駅前だけで判断してはいけないのでしょうが……

ところで、タイトルは「濃尾」としましたが、三重を加えた場合は何と呼んだよいのでしょうか? 伊勢をどうくっつけたらよいのでしょう?

『歩道橋の魔術師』の舞台が今も日本に?

あたしの勤務先から出ている台湾小説『歩道橋の魔術師』は1970年代から80年代の台北が舞台の作品です。主人公とでも呼ぶべき場所が台北駅に隣接してあった「中華商場」という建物です。

この中華商場は既に取り壊され、今どきの若い台北人には知らない方も多いでしょう。もちろんあたしも小説の中だけでしか知りません。ただ、同書のカバー写真にもその建物は写っていますし、ネットを検索すれば写真や映像などが見つかりますので、なんとなくどんなものであったのかはわかります。が、昨日までの研修旅行で「これが中華商場なのではないか」と思われる建物を見つけてしまいました。

それが岐阜の駅から歩と近い問屋町街です。ちょうどすぐ前のドーミーインに泊まったのですが、その眼下に広がっていたのが問屋町街で、その建物があたしのイメージする中華商場そのものでした。

あいにく今回は天気も悪く、写真は撮りませんでしたが、数年前に同所を訪れた方のブログを発見しました。そのページの5枚目の写真がまさしく中華商場といった雰囲気を味わわせてくれました。日付は2015年5月とありますので、ほぼ2年前ですね。でも、今も全く変わっていません。多少は風雪による痛みがひどくなっているかも知れませんが、あたしが数日前に見た光景そのままが写真に写っています。

なんかタイムスリップしたような気分でした。『歩道橋の魔術師』を読んだ人なら、あたしが味わったこの感覚に共感してもらえると思います。そして、魔術師は本当にいそうな、そんなところでした。