平凡社とトートバッグ、白水社とエマ・ワトソン

ようやく実物を目睹。

平凡社の『古代文字トート付「漢字の成り立ち」』です。なんとトートバッグが付録として付いてくるのです。宝島社みたい、と言うなかれ!

そういえば、平凡社って数年前の創立百周年の時にもトートバッグを作っていましたね。ちょっとした景品としてトートバッグって作りやすいし重宝されるし、よいのかもしれませんね。とかくいう、あたしの勤務先も百周年の時に作っていたはず……(汗)

ところで新刊の『美女と野獣[オリジナル版]』ですが、この春、映画が公開ですね。主演はエマ・ワトソンだそうです。

で、エマ・ワトソンと聞くと、あたしは映画「コロニア」を思い出します。

南米チリを舞台とした映画で、「ボラーニョ・コレクション」との親和性が思い起こされます。別に直接の関わりはないのですが、ここへ来て、あたしの勤務先とエマ・ワトソンのつながりが二重、三重に結ばれているような気がするのは気のせいでしょうか?

カレーは夏? 冬?

お節もいいけどカレーもね、というキャンディーズのセリフが頭にこびりついていて、カレーというのは冬の食べ物というイメージがあります。ただ、世間一般ではカレーは夏、暑いときほど辛いものを食べよう、といった感じになっていますね。

まあ、お好きな方はいつ食べてもよいのでしょう。あたしもカレーは好きです。といっても、あっちこっち食べに回るほどではありませんが、時々食べたくなります。食卓には月に一回くらいは上りますが、ふだんは外で食べることが多いです。

で、よく行くのがC&Cです。主に京王線の駅にあります。つまり京王電鉄系列のカレー・チェーン店なのですが、かつて京王沿線が営業担当エリアだったので、時々C&Cで昼食を取っていました。

そのC&Cは食事をするとサービス券をくれます。飲食店ではありがちなサービスですね。これを集めるとトッピングとかのサービスが受けられるのです。

で、気づきましたらご覧のように、ずいぶんとたまっていました。これだけあれば、トッピングなどと言わず一食いただけるはずです。サービス券には期限があるので、気づいたら期限切れということのないようにしないと!

休みたい!

昨日が15日成人の日で日曜だったのだから、今日はその振替休日じゃないのかと、いまだに思ってしまうあたしは紛れもなく昭和の人なのでしょう(汗)。

別に寒いから休みたいというのではなく、15日は祝日だったのだからと思い込んでいる自分がいるわけです。

とはいえ、別に休みたかったら有給休暇の消化のためにも休めばいいだけの話。会議とか書店の方との約束とか、どうしても休めない予定があるのであれば無理ですが、そういうのがないのであれば休んだって構わないのです。別段休暇の取りづらい会社でもありませんし……

と思いつつ、今日も4時前に起きて、いつもどおり7時には出社している自分がいるんです。嗚呼。

二十四史のお値段

中国史を学ぶ者にとっての基本的な文献として中華書局の「点校本二十四史」があります。中華書局は中国の出版社ですから、「二十四史」ももちろん中国で出版されている本です。欧米の本なら洋書と呼ばれるのでしょうが、中国の場合、その世界の人は「中文書(ちゅうぶんしょ)」と呼んでいます。

ご覧のように、わが家にも揃っています。『史記』から『清史稿』までなので二十五史になるのでしょうか、すべて揃えてあります。いい加減売り払ってもよいのでしょうが、買ってくれる人がいるのか……

ところで、この二十四史、もちろんばら売りなんてせず、『史記』なら全十冊、『三国志』なら全五冊セットでの販売となります。「二十四史」を買った、あたしが学生のころ、つまり1980年代後半ですが、そのころはちょっと頑張れば手が届く値段でした。その当時、東方書店や内山書店で中文書を購入すると、元建ての表示価格「1元」が日本円で「200円」くらいでした。

本の値段は「10.25元」などと表示されていて、日本円に換算するときは点を省いて2倍する、この場合ですと「2050円」という具合に換算すればよかったのです。それがしばらくすると円高が進み、ほぼ点を省くだけの換算率に変わりました。となると日本円でほぼ半額になったのかと言いますと、元建ての価格が倍以上になっていたので、日本で買う場合にそれほど安くなったりはしませんでした。

で、ふと思い立って、中華書局のサイトで「二十四史」の値段を調べてみました。いったい今はいくらになっているのでしょう? 全部調べるのは面倒なので「四史」と呼ばれる『史記』『漢書』『後漢書』『三国志』、それに『資治通鑑』を調べてみました。すると現在は順番に、380元、470元、310元、126元、588元でした。これが東方書店などで現在ではいくらで売られているのかと言いますと、12,355円、15,552円、13,392円、5,443円、28,576円でした。今さっきウェブで調べたものなので変動しているかも知れません。悪しからず。

この値段、ものすごく上がっている気はしませんが、それでもあたしが学生のころよりはだいぶ値上がっているように感じます。ちなみに、あたしが所持している「四史」は、やはり順番に10.1元、14.2元、12.5元、4.7元、58.2元という値段が付いています。現在の中華書局の値段と比べると、それぞれ37.6倍、33.1倍、24.8倍、26.8倍、10.1倍です。これが改革開放の結果なのでしょうか?

この十年ほど中国へ行っていないのですが、それまではしばしば訪中していて、いろいろと値段の変遷を記録しておりました(コチラ)。訪中していないこの十年で、また一段と物価が上がっているような気がします。十年前ですら、「もう中国は安く旅行ができる場所ではない」と、北京や上海で買い物をしていると感じたものですが、それが今なら地方都市にまで及んでいるのでしょうか?

2017年1月15日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

たぶん風土病だったのでしょう?

昨日に引き続き、こんどは「エクソシスト ビギニング」を視聴。

第一作の主人公というのか、結局リーガンを救えずに命を落としたメリン神父の若き日(というほど若くはない?)の物語。第二次大戦中、ナチスの虐殺になすすべもなく、多くの人を見殺しにしてしまったメリン神父は信仰を失い、自称・考古学者として戦後を生きています。そこへアフリカのある土地で古代の教会が見つかったので、その発掘現場へ行ってお宝を手に入れろ(盗んでこい?)という依頼を受けます。

当時、アフリカのそんな土地にはキリスト教は布教されていなかったはず、なのに何故教会が建てられたのか? 考古学的な興味も手伝ってメリンは発掘現場へ向かいます。調べていくうちに、その土地は堕天使ルシファーが追放された土地で、悪魔を鎮めるためにその場所に教会が建てられたということのようです。

まあ、キリスト教的なストーリーはそんなところ。時代設定は1949年なので戦後まだ間もない時期。戦中の忌まわしい過去にとらわれ、夜ごとうなされるメリン。自責の念ですね。そんな時代背景に、アフリカの人々を見下すイギリスの統治者たち。植民地支配の光と影が描写されます。

村人たちは労働に駆り立てられ、こき使われ、人間として扱ってももらえない状況で不満がたまっています。そこへ来て悪霊騒ぎです。これは白人どもがもたらしたものだと原住民が信じ込むのも無理はないでしょう。このあたり、恐らくは現地の風土に慣れていない白人が、風土病のようなものにかかっただけというのが現実的な解釈でしょう。神経を蝕むような病気であれば、あるいは高熱を発するような病気であれば、幻覚も見るでしょう。それを悪魔の仕業と思い込むのも当時としてはやむを得ないところです。

最後は信仰を取り戻したメリンが悪魔と闘い、見事打ち克つ。メリンも神父に戻ります。が、外野に目を移すと、白人の現地のボスが惨殺され、イギリス人はそれを原住民の仕業と思い込み、軍隊を送り込んできます。原住民は原住民で、すべては教会などを掘り起こしたから悪魔がよみがえったのだ、その責任はすべて白人にあると思い込み、一触即発。いや、実際に衝突は起こり、両者入り乱れての白兵戦。そこへ砂嵐が襲ってきて、たぶん全員死んでしまったのでしょう。メリン以外は、キリスト教を信仰する現地の少年だけが唯一の生き残り。

結局、作品中で語られている古代のエピソードにしても、ヨーロッパ人と現地人との諍いから殺戮の事態が起こり、たくさんの血が流れたわけで、そのためにそこが呪われた土地と呼ばれるようになったようです。バチカンはそれを隠蔽していたようですし。今回の作品でも原住民とイギリス兵との戦闘があり、またしてもこの土地に血が流れたわけです。時が流れると、こういったことも悪魔の仕業と言い伝えられていくのでしょうね。

ホラーではなく、サスペンスにすべきだった?

寒い寒い冬の一日、スターチャンネルで特集していた「エクソシスト」を録画しておいたので鑑賞。ドラマはこれから堪能するので、まずは昔も見たことがある映画版から。

 

エクソシスト1」と「エクソシスト2」は見た記憶がしっかり残っていて、ストーリーもほぼ覚えていたとおりだったのでよいとして、かつて見た記憶のない「エクソシスト3」を中心に感想を書きます。

簡単に振り返っておくと、「1」はリーガンに取り憑いた悪魔を神父が退治するというお話。最後、自分の体に悪魔を乗り移させ、自分の命もろとも悪魔を葬り去った階段落ちのシーンが有名ですね。「2」はその後日談。それでもまだリーガンには悪魔が取り憑いていて、でもそれは精神的なものとして科学的な治療を行なう医師と悪魔を徹底的に追い払おうとする神父の話。リーガンには悪魔が取り憑いたままだったのか、それとも精神を病んでいただけなのか、よくわからない出来でした。

上掲が「1」の予告編。下が「2」の予告編。アフリカの呪術師なども出て来て、ちょっと方向性が定まっていない感じも受けます。

そして、こちらが「3」の予告編。

こんどは連続猟奇殺人事件が起きます。「1」にも登場した刑事が主人公となって、15年前に起こった殺人事件との関連を調べ始めます。15年前というと、ほぼリーガンの悪魔払いのころの話です。この二つがリンクして現在の連続殺人事件へと繋がっていくのですが、前半は完全に推理ものです。果たして犯人は刑死せずに生き延びていたのか、それとも当時の犯行の詳細を知る模倣犯の仕業なのか。

そして15年前から隔離病棟に入れられている患者が登場して、事件は佳境へ向かいます。ネタバレしてしまうと、結局、この患者、15年前の殺人事件の犯人が刑死した後、その魂が「1」で転落死したカラス神父の体に乗り移って復活し、しかし完全に復活するのに15年もかかってしまい、ようやく最近意識を取り戻したということらしいです。そして再び犯罪を犯していたと。

つまり、やっぱり悪魔はいるのか、という話になってしまって、キリシタンではないあたしには却ってどっちらけなストーリーです。むしろこの患者が犯人だとしても、看護師や医者の心を操って(催眠術師的に)殺人をやらせるとか、看護婦を丸め込んで隔離病棟から脱出して殺人を犯していた、というストーリーにした方がはるかによかったのではないかと思います。もちろん、自分がかつての殺人鬼だと思い込んだり、悪魔が取り憑いていると信じ込んでいるぶんには構いませんが、本当にそれではちょっと拍子抜けしてしまいます。

この作品、上に書いたようにすれば、別に悪魔を出してこなくても十分に成り立つ作品だったと思いますが、やはり原作者が自分とは無関係に作られた「2」に納得せず、自らメガホンを取って作り上げた作品だけあって、「1」に、つまりは悪魔憑きという設定に囚われてしまっていたのでしょう。いったん「エクソシスト」を離れて作ればよかったのにと思います。

鬼平だけじゃないよね

「火附盗賊改」の正体』読了。

書名は「正体」となっていますが、別に謎解きでも何でもなく、徳川三百年を通じた火附盗賊改という役職の変遷を追ったものです。『鬼平犯科帳』しか知らない身としては興味深い話ばかりで面白かったです。

そもそも長谷川平蔵以外にも歴代の火盗改がいたことは常識としてわかりますし、江戸には南北の町奉行がいたわけで、それとの役割分担とか確執といったものもあったのではないかなといった予想はある程度は当たっていました。

全体としては、当時の文献の引用なども手際よくまとめられており、とにかく長谷川平蔵だけではない火付盗賊改について知りたいという人には格好の入門書ではないでしょうか? だからこそ、鬼平ファンには若干物足りないところもあるのではないでしょうか。

来週見に行きます!

来週の土曜は、新宿で映画を見る予定。

ブラインド・マッサージ」です。

中国の作品で、原作『ブラインド・マッサージ』の邦訳は、もちろんあたしの勤務先から刊行済み。書店店頭にも並んでいるはずです。

南京にある盲人マッサージ店を舞台にした小説なんですが、人が出会い、働き、助け合うのに障害者ということは関係ない、と感じました。ありきたりな感想ですが、昨今言われるようになった、「障害者を特別視しない」作品であるように思えます。もちろん目が見えないことから発するさまざまな事件や葛藤は描かれます。「美しい」とはどういうことはわからない、なんてシーンは典型的だと思います。

でも作者は、別に障害者の話を書こうと思っているのではないと思います。人の心がぶつかり合ったらどういう化学反応を引き起こすのか、といった普遍的なテーマを描いているだけなのだと思います。

翻訳の刊行から少したち、ようやく映画が公開になるということで、新聞紙上でかなり大きく取り上げられたようです。そしてあたしが来週見に行くのは、映画を見るだけではなく、訳者の飯塚容さんと書評家の豊崎由美さんのトークイベントが上映の後にあるからです。

なお、映画では多少端折られていますが、小説では、ちょっとレズビアンを匂わせるようなシーンもあって、そういうところも楽しめる(?)のではないでしょうか?

本日のオススメ!

東京は晴れていますが、全国的にはかなり荒れた天気のようですね。東京も、もしかすると降るかも知れない、と天気予報では言っていました。

そんな日なので、本日のオススメはこちらです。

Uブックスの『おわりの雪』です。「もういい加減、雪はたくさんだ。春が待ち遠しいよ」という気分にさせる書名ですね。凛とした空気感のある作品です。

そしてもう一作。

今日は1月14日。センター試験? いいえ、社会人なのでモーマンタイです(汗)。ここで訴えたいのは、バレンタインまで一か月ということです。

別にチョコが欲しいと言っているのではありません。欲しかったら自分で買います(←負け惜しみ?)ので、ご心配なく。えっ、誰も心配などしていないって?

まあ、それはおくとして、オススメはこちらです。

《エクス・リブリス》から『ヴァレンタインズ』です。

こちらは、タイトルどおり、12組のカップルの愛の形を描いた短篇集です。それぞれのカップル、どうしてそんな一言を言っちゃうの、どうしてそんな態度を取ってしまうの、というパターンばかりです。そのもどかしさ、モヤモヤ感、ハマること請け合い! ぜひヴァレンタイン・デーまでには読んで欲しい一冊です。