今日の配本(16/12/15)

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昼下がり、小市民の倖せがそこかしこに花開いていた?

午前中、雨が降ったりやんだりの寒い中、母とお墓参りに行ってきました。別にお坊さんにお経を上げてもらうわけでもなく、ただお墓をちょっと掃除して、本来ならお花とお線香をあげるところですが、あいにくの天気なので今年は省略し、雑巾で墓石を磨いて手を合わせて終了です。

そして帰宅。最寄り駅の一つ、武蔵小金井で下りたのが12時少し前。駅前のイトーヨーカドーのフードコートでお昼でもべていこうということになりました。時間が時間なのでやや人は多かったですが、考えてみると今日は平日なので、土日のような混み具合ではなく、席も余裕で確保できました。

で、食事をしているときに周囲を見回すと、ほとんどが子供を連れたお母さんでした。上にも書いたように平日ですので、小学生や幼稚園児を連れたお母さんはほとんどいません。つまり連れている子供は赤ん坊やせいぜい3歳か4歳程度の子供ばかりです。そんな子供を連れたお母さんたちが、子供に食べさせながらおしゃべりに興じていました。

ヨーカドーのフードコートですから決して高い昼食ではありません。夫が立ち食いそばで我慢しているときに奥さんは優雅なランチ、という図とはほど遠い情景でした。でも、これくらいの子供を連れたお母さんというのは若いですね。20代後半から30代前半の人ばかりでしょうか? あたしから見るとガキに、それでは言葉が乱暴であれば高校生や大学生に見えてしまいます。それくらい若いなあと感じました。

数人で食事をしているお母さんのグループ。本当に仲が良いのか、腹の探り合いをしているのか、和やかな空気ではありましたが、うわべだけの付き合いなのでしょうか? もちろん一人で子供を一人または二人連れているお母さんも多く見られました。

少子化などと言われていますが、こうしてみると意外と子連れのお母さんがいるじゃないですか、と感じました。

そして、そんな光景を見ると、そういう家庭を築くことのできなかったわが身が虚しく感じられます。この歳ですから、いまさらあんな小さい子を持てるとは思えません。育てる自信のあるなしではなく、物理的に不可能でしょう。

正直なところ、羨ましいと思います。でも自分には無理、という諦めの気持ちが間髪を入れずに湧いてくるので、サバサバはしていませんが、なんとか自分の気持ちを押し殺しているという感じです。すべては自分の責任ですから、誰が悪いわけでもありません。

それにしても最終回を前にして急展開しそうなドラマ「逃げ恥」、主人公は36歳にして初めての恋、恋愛体験。このままうまく行けば子供ができるかも知れない展開です。よく「女性の場合、出産のリミットがある」と言われますが、子育ての体力を考えるなら男性にだってリミットはあると思います。いや、絶対にあります。そして、あたしはそのリミットをとうの昔に過ぎてしまっているという哀しい現実。

母が死んだら、妹が時々様子を見に来てくれないと、あたしが自宅で干からびて死んでいる、ということもあながち根拠のない話ではないと思います。

嗚呼、結婚してみたかったなあ。子供、欲しかったなあ。いや、せめて恋愛というものを人生で一度くらいは体験したかったと思います。

と言っても、あたしみたいな性格では相手が見つかるわけないんですけど……

お寺へ行くと言っても泉岳寺ではありません

今朝は6時ちょっと前まで寝ていました。普段であれば既に出勤のために自宅を出ている時間です。

すは、朝寝坊!

と思った方もいるかと思いますが違います。今日はお休みを取っております。これから墓参りに行きます。なので、いつもより少しのんびりと寝ていた次第。

じゃあ、いつもは何時に起きるのかと聞かれれば、だいたい4時には起きています。3時半くらいになると目が覚めてしまって、もう少し布団の中にいることもあれば、そのまま起きてしまうこともありますが、だいたい4時前には布団から出ます。そんな生活なので、夜は8時をすぎると眠くなり、9時前に寝てしまうこともしばしば(汗)。

閑話休題。

今日、休みを取ったのは、このところイベントなどで土日の出勤も多かったので少し息抜きをしようという意味もありますが、毎年恒例、この時季にわが家の菩提寺に墓参りに行くためでもあります。あいにくの雨ですが、なんとか東京は雨も上がったようなので、長い傘は持たずに済みそうです。

さて、この墓参り、この数年は恒例行事化していますが、数年前にとんでもない体験をしました。それはこちらのダイアリーをご覧ください。お寺が引っ越すわけもなければ、わが家も引っ越しなどしていないので、往復の経路も毎年同じです。なので、墓参りというと、必ず数年前の出来事を思い出します。

もちろん、そんな体験は前にも後にもそれっきり。そんな体験二度としたいとは思いません。今年は、否、今年も何も起こらないとよいのですが……

採算よりも浪漫を重視したい!

昨日の朝日新聞の夕刊一面。

日露首脳会談を前にして最近はテレビでも北方領土を取り上げることが多いようですが、こういう話題も首脳会談で取り上げられるのでしょうか?

このニュース自体は少し前から出ていましたね。稚内は沸いているようですが、どのくらい実現の見込みがあるのでしょうか?

それにしても、このニュースを見たり聞いたりしたら、ほとんどの人は「シベ超」を反射的に思い出すのではないでしょうか? あっ、シベ超ってわかりませんか? シベリア超特急のことです。一部の好事家には絶大な人気を誇る日本映画です(笑)。このニュース、水野晴郎に聞かせてあげたいものです。

それはともかく、本当に実現可能性はないのでしょうか?

昔であれば、列車なんかが通じたら、ロシアが軍隊を送り込んできて北海道はあっという間に占領されてしまう、といった懸念もあったでしょう。クリミア半島のことを考えると、ロシアという国は何をしでかすかわかったものではありません。しかし、このご時世、クリミアとは違い世界に冠たる先進国・日本に対してそんな暴挙ができるものでしょうか?

列車の軌道が云々と記事にもありますが、あたし自身は線路(レール)をつなげる必要はないと思っています。あくまでシベリア鉄道の終着駅は稚内でよく、札幌や、ましてや本州にまでそのまま乗り入れる必要はないと考えています。

「シベリア鉄道に乗りたかったら稚内まで行け」というスタンスです。レールをつながなければ、軌道の幅の問題は解決です。北海道的にも、稚内や札幌を素通りされるより、稚内の経済活性化のためには稚内を国際ターミナルに育てる方がよいのではないでしょうか?

最大のネックは、記事にもあるように稚内までの工事ではないでしょうか? 稚内を出発するとすぐに海です。まさか橋を架けるわけにはいかないですから海底トンネルですよね。青函トンネルよりも長いトンネル、技術的には可能でも、総工費はどれくらいになるのでしょう。その後も樺太を縦断してロシア本土へ向かうわけですが、凍てつく大地ですから、日常的なメンテも大変なのではないかと思います。

というわけで、実際問題として考えると、とても採算が合わない路線です。赤字を抱えるJR北海道にはとても負担できないでしょう。ロシアは日本のお金をあてにしているようですが、そこまで出すとは思えません。なにせ貨物輸送の需要もほとんどないようですから……

でも、この計画って採算ではなくて浪漫なんじゃないかと思うのです。稚内駅に豪華な特急列車が停まっている、行き先を見ると「モスクワ」とか、「ベルリン」、「イスタンブール」なんて書いてある……

それだけでも鉄道好きならワクワクするのではないでしょうか? もちろん撮り鉄が全国から稚内に集まるでしょうから、稚内の経済も多少は潤うと思います。日本国内の豪華列車の旅が話題になっていますが、「稚内発ベルリン行き」なんて、そんなのとは比較にならないくらいに浪漫をかき立てられませんでしょうか?

もちろん時にはパリやロンドンまでの臨時特急が走ったって構わないでしょう。いったい何日かかるのか、旅行代金はいくらなのか、そんなことはどうでもよくて、たぶん本当に豪華な客車であれば金を出す富豪はたくさんいると思います。

映画原作なので、オビを新しくしました

ブラインド・マッサージ』を原作とした映画が年明けに公開になります。

中国内外で数々の映画賞を受賞している作品です。これがようやく日本でも公開されるというわけです。

で、当初は下の写真のようなオビだったのですが、映画公開に合わせて、オビを新調しました!

それが下の写真です。まあ、映画原作にはありがちなものですが、映画の原作はこれです、というのがはっきりわかる方がやはりいいですよね。

 

棚差しでも少しは目立つようになりましたかしら?

学費よりもその後が心配、不安

ノーベル賞を受賞した大隅教授が、ノーベル賞の賞金、約1億円を利用して基金を作るというニュース

この数年、ノーベル賞を受賞した日本人研究者が口々に今後が心配、研究環境が劣化しているということを述べていることは気になっていました。こういう基金を作るという動きも大隅教授以外でもあるようです。基金を作って、お金がない学生の研究支援を図るということのようで、これで少しでも研究者の環境がよくなれば、と思います。

が、果たしてそれで済むのだろうか、という思いもあります。

あたしなど研究者を自称してはならないわけですが、一応は大学院を出ています。修士だけですが、世間的には「院卒」です。ドクターへ進んで研究者の道を目指さなかったのか、と問われれば、まるっきり考えなかったということはないですが、ある時点で諦めざる得ませんでした。

あたしは大学から、そのまま大学院へ進んだわけですが、その時点であたしの母校の大学院は修士までしかありませんでした。現在はドクターもありますが、その当時は修士までで、自分が修士在学中に博士課程ができる可能性は低かったです。

ですから、研究者を目指すのであれば、修士を出た後、他大学の大学院に入り直す必要があったわけです。それなら最初から博士課程のある大学院へ進めばよかったのでしょうが、その選択をしなかった時点で、あたしの道は半分くらい決まってしまったと言えるかもしれません。

自分の話が長くなりましたが、研究者支援ということに話を戻すとここからが本題です。大学院の学費は、育英会の奨学金も取れ、また学内の制度で一年目は学費免除の資格を取れたので、なんとかなりました。ニュースを見る限り、この時点の経済的支援がメインであるように聞こえます。

確かに、お金の心配をせずに研究に打ち込めれば安心です。でも、これって、結局はかかるお金を支弁してくれるというだけですよね? あたしの場合、そして多くの人の場合、より問題なのは家族を養わなければならない、生活していかなければならない、ということだと思います。

あたしは大学院一年の時に父が病気を発症し働けなくなりました。有給を消化して早期退職という形になりましたので、あたしが修士二年の時には、すぐにでもあたしが就職して両親を養わなければならない可能性が大いにありました。実際のところ二年生に進級するか中退するかという判断も迫られました。

が、あと一年ということで修士だけは修了しましたが、そこから先、さらに進学するなんて許されない状況でした。特にその数年前に、まだ父が病気を発症する前だったので、ローンを組んで自宅を購入したので、毎月のローンの支払いがありまして、父の年金はほぼそれに消えてしまいました。

そんなわけなので、あたしが働かないとわが家の生活は立ちゆかない状況でした。両親を養う必要がなく、自分だけが暮らしていければ、後は好きなだけ研究に打ち込めるような環境にいる人が果たしてどれだけいるのでしょう?

大学、大学院まで進むと「両親の援助はあてにできない」という話をよく聞きますが、当てにせず自分だけ生活できればよいというのは、あたしに言わせればかなり恵まれた環境です。「親の金を当てにする」のではなく、「親を養う」必要がある立場の人も多いと思うので、そこまでいくと、こういう基金がどこまで助けてくれるのか……

それに、そもそも研究者って、どれくらい研究すれば食べていけるようになるのでしょう? 文系など「大学院は出たけれど……」という人がそこらじゅうにいそうですけど。

中国の北と南

中国史では南船北馬という言葉あります。主に移動手段が馬である北方、いわゆる黄河流域を中心とした中原地域と、運河などが発達し、移動手段が舟である淮河以南の南方地域を表わした言葉です。『三国志』なんかで使われていたという記憶がありますが……

とまあ、かように中国の北と南とでは違っていて、その他にもいろいろと異なるところはあるのでしょう。なにせヨーロッパが丸ごと入ってしまうほどの広さ。ヨーロッパであれば、北欧とイタリアやスペインを一緒くたにすることはないでしょうが、なまじ中国という一つの国であるがゆえに、そのあたりの感覚が麻痺してしまうことがままあるものです。

で、話は文学なんですが、最近、といってもこの数年ですが、あたしが読んで中国文学作品、そういった地域の違いが感じられるなあと思わせてくれました。

 

まずは、蘇童の『河・岸』と畢飛宇の『ブラインド・マッサージ』です。蘇童は江蘇省蘇州市、畢飛宇は江蘇省興化市の生まれ、どちらも温暖な南方、そして水に恵まれた地域の作家です。ですから作品も非常にウェットです。この場合のウェットというのは人情に厚いとか、そういった意味ではなく、作品世界に非常に湿度を感じるということです。

まあ『河・岸』なんて、水上生活者が主人公ですし、タイトルも思いっきりウェットですよね。『ブライド・マッサージ』も別に印象的なそういうシーンがあるわけではないのですが、読んでいると雨が降っている南京の町とか、うだるような蒸し暑さが感じられる作品です。この両作品、いかにも南方という感じです。

それに対して『アルグン川の右岸』、閻連科の『年月日』は非常に乾いています。

 

遅子建は黒竜江省、閻連科は河南省出身。どちらも北方ですし、その作品も思いっきり乾いた風を感じます。『アルグン川の右岸』は乾いているというよりも凍てつく感じを受けましたし、『年月日』などは百年に一度の大飢饉ですから水分なんてこれっぽっちもありません。

同じ中国でも、出身が異なるだけでこうも違うものか、と思わずにはいられません。

とはいえ、あたしはこれら作家のすべての作品を読んだわけではありませんので、作家が北方出身だから乾いた作品、南方出身だから湿った作品だと決めつけるのは早計だということは承知しています。ただ、これらの小説の舞台はそれぞれ南方と北方で、南方を舞台にしているから湿った感じ、北方を舞台にしているから乾いた感じ、ということは言えるのではないでしょうか?

こんな風に文学作品を通じて、その国のことを知る、これこそ海外文学を読む醍醐味だと思います。これがあるからこそ海外文学を読むわけですし、行ったこともない国や場所について行ったような気になれる、それが最高の愉しみです。

もちろん、この程度の文学体験で「この国はこういう国だ」と決めつけてはいけないことは重々承知しています。それでも、ある程度の数を読んでいけば、それなりの感覚は生まれてくるはずです。その感覚に違和感を感じるような作品に出逢うのも、また楽しみの一つではないかと思います。

  

さらに『歩道橋の魔術師』や『神秘列車』といった台湾の作品になりますと、大陸とはまた異なる味わい、世界が広がっていますし、香港もまた独特の世界になるのでしょう。南と北という対比でしたが、恐らく西方出身の作家の作品や西部地域が舞台の作品であれば、西の方の味わいを持った作品があるのでしょう。もちろん西へ行けばウイグルとかチベットなど少数民族も住んでいますので、『ハバ犬を育てる話』などのように彼らの世界観に溢れた作品がたくさんあることでしょう。

アメリカとメキシコ? そして大学生き残り

朝日新聞読書欄の予告に『2666』が載っていたので、どんな風に取り上げられるのか気になっていましたが……

アメリカ社会との絡みで取り上げていただいたようです。確かに、メキシコは『2666』の主要な舞台であり、実際にメキシコで起こっている連続殺人事件が作品のベースになっているわけですから、こういう文脈で文学作品を読むこともできるのだなと納得。

  

ただ、文学ではなく、もう少し単刀直入に、ということであれば、移民についてやたらと物議を醸していることもあり『移民からみるアメリカ外交史』も参考になるかと思いますし、『コーネル・ウェストが語るブラック・アメリカ』というのもございます。

上の画像は同じく朝日新聞に載っていたアエラの広告。受験シーズンを前にして、大学を扱った記事や書籍が多くなる時季です。今月末には、あたしの勤務先からも『消えゆく「限界大学」』という書籍を刊行いたしますのでお楽しみに。

フツーはダメ、やはり特化すべきなのでしょうか?

今朝の朝日新聞です。

本に出逢う場として本屋さんの特集です。主に個性派書店を特集していますね。少し前に「フツーの本屋」があって欲しい、というようなことを書きましたが、しかし、この時代に本屋が生き残るには個性派でないとダメなのでしょうか? それでも品揃えで個性を演出するのはよいとして、雑貨や喫茶を併設することが「個性的な本屋」なのかと問われると、ちょっと首をひねりたくなります。もちろん、本屋でもなく、本屋をやったこともなければ本屋で働いたこともないあたしなんかが偉そうなことは言えませんが……

それでも、こういう個性的な本屋、果たしてどの程度生き延びられるのでしょうか? 東京や大阪などの代としてであれば、テレビや雑誌で話題になっても、それなりにお客が来てくれるでしょう。新幹線で東京や大阪と結ばれている大きな都市でも、そこそこは頑張れると思います。しかし、それ以外の地方都市ではどうなのでしょうか?

そもそも人口が少ないわけですから、個性よりも日常的に使える本屋の方が必要とされているのではないでしょうか。新幹線との絡みで言えば、どんなに個性的な本屋でも、通過する新幹線の方が多いような駅では、状況はかなり厳しいのではないでしょうか。フツーの書店がフツーに商売をして成り立つなんて、夢のまた夢なんでしょうか?

そんなことを考えながら眺めていた朝日新聞ですが、上のような記事もありました。本屋ではなく居酒屋の話題です。まったく異なる業種ではありますが、こちらも特化型の居酒屋が増えているとのこと。メニューを特化させるというのは、本屋で言えば、コミックを充実させるとか、絵本の品揃えを頑張るとか、そういうところと通じるものがあるような気がします。どの業界も、特化したものが流行るご時世なのでしょうか?

そういえば、百貨店の衰退も言われて久しいですね。何でもある百貨店ではなく、電化製品やパソコンなら家電量販店、日常的な衣類ならユニクロやしまむらとか、家具だったらニトリやイケヤといった具合。結局、ある程度何でも揃えておくというモデルは、コンビニ程度の大きさでなら持続可能なのでしょうか? かくいうコンビニだって、置くアイテムはかなり綿密に計算されているわけですが……

そんな中、ホッとする記事は上の写真。須賀敦子さんの特集です。

  

 

ミラノ霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』のUブックス、須賀敦子コレクションを是非どうぞ! Uブックスは単行本ほどは大きくなく、文庫本よりは大きいので、手にフィットして読みやすいと思います。