2016年のアーカイブ
中国人は日本が好き?
今日の配本(16/10/24)
併売推奨かつ併売希望を三つほど
店頭でこんな本を見つけました。本の雑誌社の『渋谷の農家』です。
脱サラして農業を始めた40代のお話。渋谷のビルの屋上に畑を作ることになったようですが、それってつまり都市で農業をやることですよね? ってことは『シティ・ファーマー』ではないでしょうか? 『シティ・ファーマー』は翻訳書であり、海外の事例は紹介されていますが、著者自身は日本については何も触れていません。ですから、この両書を併せ読むと、国内外の都市農業について多面的な知見が得られるようになるはずです。ぜひぜひ、並べて置いてもらいたいものです。
続いてはテニスの話題。
【池袋】先行発売!『ロジャー・フェデラー FEDEGRAPHICA』刊行記念フェアhttps://t.co/UZ1w1uGSeJ
ジュンク堂書店 池袋本店にて 10/21(金) ~11/20(日)
全国に先駆け完全限定50冊の先行販売。
フェデラー不在の寂しさを埋めるのに好適!— 丸善ジュンク堂書店【公式】 (@maruzeninfo) 2016年10月22日
まずはTwitterにアップされていたジュンク堂書店池袋本店の記事。『ロジャー・フェデラー』という本が近々出るそうです。そのものズバリ、テニス界のスター選手、フェデラーを多角的に捉えたものです。ただの評伝とは一味違ったものになるみたいです。
となると、あたしの勤務先からも『ラブ・ゲーム テニスの歴史』なんて本が出るのが思い出されます。こちらは《テニスの文化史》とでも呼ぶべき一書。歴代のプレーヤーも出てきますが、テニスを巡る社会にも目配りの聞いた、いわばテニスの社会史です。こちらも両書揃って並べていただけると幸甚です。
そして最後は『ラテンアメリカ文学入門』、中公新書です。
ボラーニョも取り上げられています。でも、新書ですから同じ新書仲間の『ラテンアメリカ十大小説』と併売されるのでしょうね。
でも、この両書を新書コーナーではなく、あえて海外文学のコーナーへ持ってくるというのはアリだと思いますし、読者目線に立てば、その方が気が利いていると言えるのではないでしょうか? もちろん、両書で紹介されているラテン作品を一緒に並べて、ですが。
北陸の国際化
あたしの勤務先が語学書を柱の一つとしているからでしょう、観光地へ行くといろいろな国の言葉の観光案内、パンフレットに目がいってしまいます。ただし、パンフレットはどこへ行っても用意されているとは限りません。そこで今回訪問した、書店以外のスポットのウェブサイトがどれくらい多言語化しているか、調べてみました。
まずは初日の昼食、富山の五万石。ウェブサイトはメニューだけは英語も併記されていますが、英語ページは用意されていないようです。初日の夕食、金沢のあまつぼもウェブサイトは日本語のみでした。
続いて金沢マンテンホテル。一通り見た限りでは、日本語版ページのみのようです。さらに二日目の昼食、招龍亭。ここは中国からの団体さんなんかも利用しているのではないかと思ったのですが、ウェブサイトはやはり日本語のみのようです。
二日目に立ち寄った金沢海みらい図書館。こちらも日本語のみ。まあ金沢市民相手の施設ですから仕方ないかもしれませんが、世界の素晴らしい図書館にも選ばれたくらいですから、せめて英語ページはあってもよいのではと思います。もちろん金沢市内に住む外国の方も多いでしょうし……
そして西田幾多郎記念哲学館。サイトは日本語のみですが、英語とドイツ語のパンフレット(PDF)が用意されています。
二日目の宿泊先、山代温泉の葉渡莉。英語と中国語(繁体字)のページが用意されています。ロビーには下の写真のように、パンフレット、韓国語版と中国語(簡体字)がありました。たぶん中国語(繁体字)のパンフレットもあったはずなのですが、あたしがもらい損ねてしまったようです。
ちなみに、この金沢市、観光協会のサイトは英語、フランス語、スペイン語、繁体中国語、簡体中国語、韓国語、タイ語のページがあります。これについては昨年もこのダイアリーに書きました。福井と富山の観光協会の多言語状況に変わりはないようです。
上の写真はその金沢市の観光パンフレット各国語版です。入手できたのはご覧のように英語、フランス語、繁体字中国語、簡体字中国語、韓国語です。その他、一枚モノの市街図も各言語取り揃えていて観光案内所などでも入手できますが、ウェブサイトからPDFをダウンロードすることが可能です。地図以外もいくつかダウンロードできるものがあるので、是非ご覧になってみてください。
最終日に参観した永平寺。曹洞宗のサイトは日本語のみのようですが、永平寺町のサイトはGoogle翻訳の選択メニューが設置されていて、メニューにはイタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、英語、韓国語、中国語(簡体字&繁体字)が用意されています。
そして最終日の昼食、越前そば・佐佳枝亭のウェブサイトは日本語のみでした。
美のまち福井でモテ祈願?
先週後半の研修旅行最終日、福井でほんのちょっと自由時間があったので一人でふらふらとこんなところを見学しておりました。
場所で言いますと、紀伊國屋書店が入っている西武のすぐそば、裏手という言い方をすると怒る人がいるかも知れませんが、路面電車の走っている通りを表と呼ぶなら、西武の裏手にあたります。
って、場所の説明ばかりで何なのかを書いていませんでしたね(笑)。北之庄城跡です。福井市内には、県庁などが建っている福井城もありますが、そちらは福井藩以降のもので、それ以前、柴田勝家時代の城がこちらになるというわけです。
ということで、柴田勝家像が睨みを利かせています、福井城に背を向けて。これはこの城跡の立地上この方角を向かざるを得ないのか、それともこの視線の先に何かあるのか? ちょっとよくわかりませんが……
そして、柴田勝家と言えば、秀吉とお市の方の再婚相手の座を争った人物。お市の方は百姓からの成り上がりの秀吉を嫌って勝家に嫁いだと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうね? まあ、肖像画を見る限り、秀吉は風采も挙がらない人物だったようですし、われわれはこの後に秀吉が天下を取ったことを知っているので先入観を抱きがちですが、男性に頼らなければ女性が生きていけなかった戦国時代、あの時点で普通に考えれば、お市の方が百人いたとしたら百人全員が勝家を選んだのではないでしょうか?
上の写真はそんなお市の方と娘三人の像です。手前のちょっと色の濃い三人が三姉妹、奥が三姉妹の母、お市の方です。
そのお市の方の像のところには、お市の方にあやかった福井の取り組み、モテ祈願の案内看板がありました。「美のまち」福井なんだそうです。まあ、お市の方は戦国市の美女と言われていますから、それにあやかるのはよいとして、でもお市の方って尾張(名古屋)出身ですよね? 福井が美の街って言ってよいのでしょうか、という素朴な疑問(汗)。ちなみに、やはり肖像画で見る限り、お市の方のお兄さん、織田信長もキリッとした美男子ですよね。あの兄弟(兄妹)は揃って容姿に恵まれていたようです。
柴田神社でモテ祈願ができるようですが、時間の都合上、写真を撮りながらぶらぶらするくらいしかできなかったのが、なんとも心残りです。
南禅寺は湯豆腐で、永平寺は胡麻豆腐
北陸研修旅行。今回は書店だけでなく、それ以外のところを訪問したのも特徴的だと思います。ちなみに下の動画は新高岡駅を通過する、上りの北陸新幹線です。
閑話休題。
今回の特徴的な訪問先の一つが金沢海みらい図書館です。図書館として特徴的なところはその外観、そして個人的に非常に面白く見学したのは「日本海情報コーナー」です。その那の通り、日本海をキーワードとして本を集めているコーナーなので、本来なら通常の書架に並んでいそうな海外文学も、中国や韓国ロシアのものはここに並んでいました。その他、同様に中国史やロシア史などもあり、なんて言うのでしょう、書店に例えてみると、「環日本海フェア」を大々的に常設でやっているという感じです。
そして先のダイアリーにも書いた西田幾多郎記念哲学館。ウェブサイトでは立派に書いているけど実際に行ってみたらこじんまりとして見るところは何もない、というような施設もしばしばある中、ここは一見の価値はあると思います。特に西田哲学に興味がある人なら一日楽しめるのではないでしょうか?
さあ、そして、そして三日目の午前中に訪問したのが永平寺です。あたし的には、今回の研修旅行のハイライトです。写真はかなりの箇所で取り放題でしたので、以下にいくつかご紹介します。
下の写真は山門の内部(天井)、そして山門から見た鐘楼堂です。
下の写真は仏殿と仏殿前の庭です。
下の写真は、記憶が正しければ仏殿の内部です。釈迦牟尼が祀られているとのことです。
次は、法堂の内部です。これで「はっとう」と読むそうです。そして法堂前の紅葉。境内でもっとも高い位置ということで、山門付近よりも紅葉が進んでいました。グラデーションが美しかったです。
次の写真は傘松閣の天井です。
下の写真は参拝客入り口を出たところの脇、鐘楼堂の方へ向かう境内です。
下の写真は、最初の写真の少し離れたところにあったものです。
とまあ、駆け足で、ほんの一時間ほどの参拝でしたので、とてもあたしの煩悩が払えたとは思えませんが、それでも少しは心が洗われたような気がします。
幾多郎は幾太郎だったのです
今回の研修旅行の行程に石川県西田幾多郎記念哲学館の見学というのがありました。なんとなく今日とのイメージが強い西田幾多郎は、てっきり京都生まれかと思っていましたが、実は石川県の生まれなのです。その故郷にあるのがこの哲学館。記念館だけではなく、哲学の啓蒙普及活動もしている施設です。
西田幾多郎の生涯を振り返るような展示と哲学に親しんでもらおうというコーナーがあり、また上の写真のような図書室もあり、西田哲学以外、広く哲学・思想関係の書籍を置いてあります。
上の写真が建物全景です。安藤忠雄の作品だそうですが、それが西田哲学とマッチしているのか否か、あたしにはよくわかりません。
建物の入り口前に会った看板というか石碑です。館名と入園児館や料金が書いてあります。割と安いと思いますが、だからといってつまらない哲学館ではありませんでした。むしろ、こんなに安くていいの、と思えるくらい面白い展示が盛りだくさんでした。
敷地内には、上の写真のように京都から移築したという西田邸の書斎もあり、中には蔵書がそのまま置いてあるそうです。残念ながら、当日は燻蒸中で見学はできませんでした、残念。
で、ダイアリーのタイトルですが、西田には憑次郎という弟がいました。西田幾多郎は長年ですから、普通に考えると名前は「幾太郎」になるのだと思いますが、皆さんご存じのように「幾多郎」と書きます。
しかし、今回の展示を見ていて気づいたのですが、小学校の時の表彰状では確かに「幾太郎」と書いてありました。そして小学校の卒業証書になると「幾多郎」という表記に変わっているのです。「幾太郎」が正しかったのか、間違いなのか、あるいは小学生時代に表記を変更したのか。だとしたら、どういう理由で? 学芸員の方に聞きそびれてしまったのが残念ですが、特にその点に触れた展示や解説はなかったです。
まずはザッと振り返ります
今年も人文会の研修旅行が行なわれました。水曜日から昨日までの二泊三日。北陸三県を回ってきました。ザッと下の図のような感じです。
富山から高岡、金沢、福井という北陸の旅ならよくあるパターンの行程でした。
上の写真は富山駅前にある清明堂マリエ店の店先。一番のメインのコーナーになりますが、その一番下に『鉱山のビッグバンド』が並んでいます。やはりご当地もの。ありがたいことです。
上の写真は同じく富山の紀伊國屋書店。世界史コーナーの平台です。上下本が多いからでしょうか、あたしの勤務先の刊行物の占有率がかなり高めです(汗)。結果を残せているのであればよいのですが……
最後が、こちらも富山。富山大学生協です。ちょうど河出書房新社の創業130周年フェアを開催中でした。ふだんあまり置いてないものばかりなので、ちょこちょこ売れていっているとのことです。
と、写真は富山ばかりですが、金沢では香林坊へ移ったうつのみや、福井では昨年に引き続きのSuperKaBoS新二の宮店など、駆け足で回るとなかなか寄れないお店にも顔を出すことができました。昨年に続いてなので、顔を覚えている書店員さんも多く、なんとなくホームのような感じで巡ることができました。
最後に上の動画は金沢ビーンズ明文堂書店のガイブンの棚。ご覧のように、かなりの蔵書量を誇っています。個人的には、原著者名の五十音順に並んでいるのを、国別に並べてもらえたらなあ、と感じますが、日本作家は五十音順並びが普通なので、国内も海外もあまり考えない読者にはこれがスタンダードなのでしょうか?