まるで絵本みたい、と感じてしまったあたしの感覚は世間様とはズレているのでしょうか?

話題の新刊『』を読み始めました。西加奈子さんの作品はこれが初めてなのですが、なかなか面白いです。

で、上の写真はその『』と『テヘランでロリータを読む』です。なんでこの二つを並べているのかって? それは『i』を読めばわかります。

あたしはまだそこまで読み進んでいませんが、同書に『テヘランでロリータを読む』が引用されているそうなのです。それもかなり重要なところで。既に読んだ書店員さんから伺いました。書店によっては両書を併売しているところもあるようです。

で、『i』の最後にこんなページがありました。しっかり『テヘ・ロリ』が書いてあります。果たして、どんな風に引用されているのでしょうか? もう少し読み進めれば出てくるのでしょうから愉しみです。ちなみに、あたしは『テヘ・ロリ』は刊行されたころに読んでいます。

  

それにしても、久しぶりに日本人作家の単行本を読んでいるのですが、ページを開いた印象が、ふだん読んでいるものとあまりにも異なるので驚きました。上の写真、一番左が『i』で、真ん中が『テヘ・ロリ』です。参考までに、一番右が『i』と併読している閻連科の新刊『炸裂志』です。

  

同じ単行本という形態、文芸書というカテゴリーに属しながらもこれだけの違いがあります。あたしは、ふだんは真ん中くらい文字の詰まった本を読んでいます。時には一番右のような二段組みの本も読みます。もちろんこの三者、ページ数もかなり違います。だから、西さんの今回の新刊のページを開いた瞬間「絵本みたい」と思えるほど文字が少なく感じました(汗)。

真ん中や右の本を見慣れている(読み慣れている?)者からすれば一番左は読みやすい、あっという間に読めてしまうでしょうけど、ふだん一番左のような本ばかり読んでいる人にとって真ん中や一番右の本を読むのは苦痛でしょうか? もちろん本の中身が一番大事なのは言うまでもありませんが、開いた瞬間に「あっ、文字が多い、こんなの読めない!」と思ってしまう人が多いのも事実です。

いまは過渡期なのかしら?

前のダイアリーで『フラ語入門』について書いたので思い出しました。

下は、少し前の業界紙「新文化」の記事です。

語学書の音源はCDか、それともダウンロードか、という記事です。

えーっと、記事を無視して、あたしの本音を言ってしまいますと、果たしてCD付の語学書を買った人のどのくらいの人がCDを聞いているのでしょう、ということです。もちろんヒアリング問題のような語学書であれば聞かないと解けませんから必ず聞くでしょう。でも、単に本分や例文を読んでいるだけの音源の場合、どのくらいの人が熱心に聞いているのか、実は疑問があるのです。

閑話休題。

記事からわかるように、この問題、まだ過渡期ですよね。

さすがにカセットテープは、それを再生する機会がほとんど消えましたから問題外としても、CDはまだまだプレーヤーが現役だと思います。ただし、若者に限って言えば、「持っていない」という人が過半だと思います。

その逆に、年配の方を対象にすれば、「パソコンを使ってダウンロードなんて、自分にはできないよ」というのが、こちらやもやはり過半ではないでしょうか?

では、若者ならダウンロードできるのかと言えば、意外とデジタルに弱い若者もいるので、そうは問屋が卸しません。もちろん機械にめっぽう強い年配の方も大勢いらっしゃいます。

語学を学ぶのは学生、特に大学生が多いから、デジタルには強いでしょ、と言いながらも、実際に本屋で語学書を購入しているのは学生よりもサラリーマンやOL、そして年配の方が多いというのも事実です。この勢力図のバランスが、まだしばらくは続きそうなので、出版社としてもどっちに軸足を置くかは決めきれません。

そもそも、語学書にCDが付いているのと付いていないのとでは売れ方に差があるのか、CDの有無の価格の差はどれくらいがよいのか、音源が付属CDの場合とダウンロードの場合で売れ方に差があるのか、こういった疑問点、たぶんどこの出版社も確かなデータは持っていないと思います。

カセットテープが数十年の時を経てほぼ消滅したように、CDもいつまであるのでしょうか? ダウンロードだって、OSやスマホなどの発達によって、現在のファイル形式がいつまでも有効なのか、わかりません。

うーん、難しい問題です。

祝・年間第一位獲得!

下の写真は、紀伊國屋書店新宿本店の語学書売り場(8階)です。今そこで語学書の年間ランキングが並べられています。その様子です。

いろいろな語学書が並んでいますね。

で、気づきましたか? わかりません? ではさらに次の写真をご覧ください。

 

はい、そうです。『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!』がフランス語部門の年間第一位に輝きました!

それ以外にもお気づきかと思いますが、全体を通して新刊よりも定評ある既刊が確実に売れる、ということです。語学書は特にその傾向が強いジャンルの一つです。

もちろん、だからといって新刊を出さなくてよいわけではありません。時代のニーズに合わせ新刊も出しつつ、それを定番に育てていくのも大事な仕事です。定番になっても、そこにあぐらをかくのではなく、定期的に手を入れていかないとなりません。この『フラ語入門』も改訂版です。旧版の時からよく売れていた本です。改訂して、まだまだ売れている、ますます売れている、そんな本です。

さて、営業部員としては、あと一冊くらいランクインさせたかった、という憾みが残るのも本音です。なにせ語学書の出版社ですから、他社の後塵を拝するわけにはいきません!