「△△山の思い出」が現実に?

岸本佐知子さんのエッセイ集『ねにもつタイプ』に「△△山の思い出」という一篇があります。

今までに入った風呂で、いちばん思い出ぶかいのは、やはり何といっても△△山の「ロープウェイ風呂」だ。/脱衣場で服を脱いで乗り込むと、箱型の乗物の中が、そのまま風呂になっている。全部で四、五人乗りで、座席が向かい合わせになっており、内部の造りは普通のロープウェイとほぼ同じなのだけれど、ただ窓の下すれすれぐらいまでお湯が張ってあるところが違っていた。(同書P.31)

そんなにお湯が入っていたら。重量が重くてとてもロープでつり上げるなんてできないだろう、という現実的な突っ込みは置くとして、それでもこんなロープウェイが実際にあると信じてしまった人が少なからずいるのだとか……

が、最近知った以下の動画。

別府市のもの、あくまで公式の動画だそうですが、ここに映り込んでいるもの、もしかして岸本さんが思い出ぶかいと書いたものではないでしょうか?

いや、よく見ればロープウェイは映っていません。やはり重さがネックなのでしょうか? が、1:10あたりから映っているのはロープウェイではなくケーブルカー。もしこれがレールの上を走るのではなくロープに吊るされていたら、まさしく△△山のロープウェイ風呂ではないでしょうか?

と思いつつさらに先を視聴すると、エンディングも近い2:04あたりからのシーンでは、風呂場が吊るされているような画面が現われます。「とうとうロープウェイ風呂か!」と興奮した刹那、それは観覧車風呂であることが判明します。説明書きには

本動画は、“遊べる温泉都市”構想のコンセプトそのままに、温泉と遊園地を融合させた湯量豊富なアミューズメント施設「湯~園地」を描いたものであり、本ムービにおけるYoutubeでの視聴回数が100万回を達成した場合には、実際に別府市内での「湯~園地」計画を実行するという、世界初の視聴回数連動型公約ムービーとなります。

とありますが、これ既に100万回達成しちゃったようなのです。ということは、この動画のママのアトラクションは技術的に難しいのかも知れませんが、ロープウェイ風呂ならぬ、ケーブルカー風呂、あるいは観覧車風呂が実現するのかも知れません。

いや、それにしてもジェットコースター風呂とかメリーゴーラウンド風呂とか、果たして岸本さんはどれがお好みでしょうか?

そうそう、『気になる部分』もお忘れなきよう……

12月のWOWOWとあたしの勤務先

WOWOWの12月のラインナップに気になるタイトルが……

まずは映画「フランス組曲」です。イレーヌ・ネミロフスキー原作の邦訳『フランス組曲』はあたしの勤務先から出ています。12月7日が初放送で、12日と年明け1月20日にも放送されるようです。

続いては、阿部サダヲ、岡田将生、寺島しのぶが出演した舞台「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」です。こちらはご存じ、松尾スズキさんの戯曲で、書籍版『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』はもちろん、あたしの勤務先の刊行物です。こちらは12月24日の放送です。

 

ちなみに、WOWOWでは他にも舞台の放映があります。劇団☆新感線の作品がいくつか放送されるようですが、その中で12月29日放送予定の『薔薇とサムライ』もあたしの勤務先から発売しています。

鳥だけど鳥じゃない?

今朝の朝日新聞で『オはオオタカのオ』が紹介されました。

 

先週の日本経済新聞に続いての紹介となります。

 

上の画像は、左が朝日の記事で、右が先週の日経の記事。

どちらも詩人の方が評してくださっていること、その表現を褒めてくださっていることは偶然ではないと思います。お二人とも「人間ではないとはどういうことか」の部分を引用されているのも、やはり偶然ではないでしょう。

さて、このことからわかること、それは本書が書店で置かれる場所です。

たぶん、このタイトルですから、多くの書店では「鳥類」の棚に置かれているのではないでしょうか? それはそれで正解です。ただ、一般に書店の「動物」の棚は図鑑的なもの、写真集的なもの、そして飼育の仕方や生態を扱ったものが中心で、こういった読み物、特に翻訳物は置かれていないことが多く、置いてあっても少し違和感を感じるものです。

もちろん、このような読み物をしっかり揃えている本屋さんもたくさんありますが、棚の数に限りがある以上、何を棚から外すかと考えたとき、この手の書籍が真っ先に抜かれる運命にあるとも言えます。

しかし、先週と今週、二週にわたって掲載された書評を読んでいただければおわかりのように、本書は上質のノンフィクション、人の生き方を考えさせる本であります。ですから「文芸」コーナーなどに設けられている「ノンフィクション」の棚の方がしっくりくるものだとわかります。

入荷してからまったく売れていないんだよね、という書店の方、ちょっと置く場所を変えてみては如何でしょうか? ちなみに本書の原書はベストセラーだそうです。洋書を扱っている書店の方は、是非、原書と一緒に並べてみてください。装丁というか装画は同じです。

ちなみに、こんなの作ってみました!