広島に来ています。
もちろん仕事です。
ここのところ、数年おきに来ている気がします。
こちらの地区は、営業担当になったことはないですが、なぜかなじみの土地になりかかっている感じがします。
そそろそろ関西担当から中四国担当に変更かしら?
明日は広島から福山経由で倉敷へ向かいます。
書店の店頭にポスターが貼ってあるのを見て知りましたが、新潮文庫が「徹夜本」フェアをやっているのですね。「眠気が眠る面白さ!」というキャッチフレーズで展開中のようです。秋の夜長という表現はありますが、この時季ですと何でしょう? そろそろ暑さで寝苦しい夜、眠れないなら読書でも、という感じでしょうか?
ところで、このフェアのポスターの色、なんか見覚えがあるなあ、と感じないでしょうか? えっ、感じない? ではこの本をご覧になったことはないでしょうか?
先日来日したスティーヴン・ミルハウザーの『魔法の夜』です。どうですか? なんか、色合いがそっくりではないでしょうか? それにタイトルもシンクロしてます。
新潮文庫もお手軽ですが、本当に眠れない夜を過ごしている方、『魔法の夜』もオススメです!
少し前から、あたしの勤務先は会社の大掃除的なことをしています。ここ数年、定年退職の人が何人かいたり、この秋には社員募集で二人の増員があるので、席を用意しないといけないこともあって、この機会に要らないものだとか、デスク周りの私物も片づけようと、全社的におそうじモードです。
あたしも、数年ぶりに身の回りの片づけなんてしています。まるで会社を辞めるかのように(爆)。
そんな整理作業中に出てきたのが上の一冊、岸田國士訳の『にんじん』です。懐かしいですね。いや、懐かしいどころか、あたしが入社した時には品切れになっていた本だと思います。
続きまして、時々問い合わせはあるものの同じく品切れになっているUブックス。『黒い美術館』『黒いいたずら』『悲しき酒場の唄』『燠火』の4点。イーヴリン・ウォーなど、最近新しくだしているのもありますから、新装版として出せないものでしょうか?
上の青い4点よりは少し新しめ(刊行が古くない)のが上の2点。『10 1/2 章で書かれた世界の歴史』『フロベールの鸚鵡』です。2011年にジュリアン・バーンズがブッカー賞を受賞したときに、いくつかの書店から注文が入りましたが、その時には既に品切れでした。
うーん、残念。
たぶん、まだまだ本当にごく少部数なら需要もあるのでしょうけど……
本日の朝日新聞読書欄に掲載されました。
『セネカ 哲学する政治家』です。
副題がいいですね。「哲学する政治家」、まるで現在の政治家に聞かせてあげたくなるような言葉です。やはり哲人政治家ではありませんが、政治家たるもの哲学を持っていないとダメなのではないでしょうか?
しかし、やはりセネカと言えば哲学者というイメージが強く、政治家という印象はありませんね。本書はそんなセネカの政治家としての一面にスポットをあてたものですので、古代ローマ史やネロに興味のある方にも必読の一冊ではないでしょうか?
ちなみに、同じ朝日新聞に「書物復権」の記事も載っていました。あたしの勤務先ではベケットの『事の次第』が早々に重版となるくらいの人気を博しております。
内容とタイトルが合ってなくて……
すみません。
紀伊國屋書店の新宿南店が7月末で閉店するということは既に新聞報道などもありましたので、業界だけでなく一般の方もご存じのとおり。ネットでは既に新宿南店が閉店したかのように想い出を語る人が続出しているとも聞きます。が、先日、新宿本店で面白い(と言っては不謹慎?)話を聞きました。
南店の閉店の話がオープンになって以降、時々お客様から「この店、無くなっちゃうんだよね」と言われることがあるのだとか。「えっ?」というのが、本店のスタッフのみならず、あたしにとっても正直な感想なのですが、一般にはそういう受け止め方をしている人も少なからずいるようです。
つまり、紀伊國屋書店新宿南店が閉店、すなわち新宿にある紀伊國屋書店が閉店、という認識のようです。業界人であれば、そして紀伊國屋書店を頻繁に利用している人であれば、本店と南店というように、新宿には紀伊國屋書店が二つあるということは自明です。でも、一般の方、特に「久しぶりに東京へ来たから、新宿の紀伊國屋へ寄って帰ろう」というような人だと、そもそも新宿に紀伊國屋書店が二つあるということが知られていなかったのではないでしょうか?
そこへ持ってきて、上のように「新宿の紀伊國屋書店が…」という情報が入ってくれば、自分が昔から利用していたあの本屋が無くなるんだ、という発想に行き着くのはごくごく自然なことでしょう。
ですから、ここは声を大にして、「新宿に紀伊國屋書店は二つあります。昔からある、洋菓子の高野やカレーの中村屋のご近所の紀伊國屋書店は閉店しません」と訴えておきましょう。
考えてみますと、大都市ならターミナルに巨大な本屋複数あるのは珍しくもなんともないですが、日本中ほとんどの都市、町では本屋というのは「あるか、ないか」という状況のはず。新宿に本屋がいくつあるかなんて、そもそもいくつもあるなんて予想外なのかもしれませんね。
映画化された『ブルックリン』、惜しくもオスカーこそ逃しましたが、アカデミー賞にもノミネートされただけあって、試写会を見てきた同僚の話ではとてもよい作品だったそうです。
さて、その原作邦訳はあたしの勤務先から刊行しておりまして、もちろん刊行当時は映画化なんて話は知らず、下の写真のような装丁でした。
が、このたび日本でも映画公開がきまりましたので、オビを新調いたしました。それが下の写真です。
いかがでしょう? 文芸作品ですから、それほど派手なけばけばしいものはふさわしくないでしょうから、作品世界を壊さないような、落ち着いた仕上がりですね。機会を作って、あたしも本編を見に行きたいですが、とにもかくにも、邦訳を読んだ感想を踏まえるなら、この作品は主演女優で決まると思います。
もちろん、主演女優賞にノミネートされたわけですから、そのよさは一定の評価を得ているわけで、だからこそ、とにかく映画も見てみたくなります。
紀伊國屋書店新宿本店の二階、外からのエスカレーターで上がってきた入り口を入って横、一番最初のフェアコーナーで、タマフルブックフェア開催中です。今月いっぱいの予定なので、そろそろ終わりに近づいていますが……。
で、このフェアでは、あたしの勤務先の書籍が二点、並んでおります。
まずは『こども 牛腸茂雄写真集』です。あたしの勤務先では珍しい写真集、なおかつ変型判の本です。少し前の本ですが、今でも時々客注が入ります。牛腸は「ごちょう」と読みますが、この本を注文される方には言わずもがなでしょう。でも、書店からの電話ではきちんと読めない方が多かったのも刊行のころの想い出です(汗)。
そしてもう一点は、いま話題の『ムシェ 小さな英雄の物語』です。
翻訳大賞受賞以後、出荷も売り上げも伸びていますし、なにより作品がすばらしいです。静かな感動を呼び起こす、といった感じの読後感です。この機会に是非!