海外文学と原書

少し前に紀伊國屋書店新宿本店で展開中の《エクス・リブリス》フェアをご案内しましたが、今回は紀伊國屋書店新宿南店です。

こちらは文芸書売り場ではなく、洋書売り場です。新宿南店の特色と言えば、都内でも屈指の洋書売り場です。ですから、海外文学シリーズである《エクス・リブリス》をあえて洋書売り場で、しかもその原書と一緒に並べて展開するというのは、いかにも新宿南店らしい、新宿南店ならではのフェア展開だと思います。

本店のフェアは、在僅本も含め、《エクス・リブリス》ならびに《エクス・リブリス・クラシックス》ほぼ全点が並んでいるフェア、対する南店はアイテムこそ本店より少ないですが、原書も併せたフェア。同じ新宿、同じ紀伊国屋で趣向を変えて《エクス・リブリス》のフェアをやっていただけるなんて、ありがたいことです。

対訳読み物の根強い人気

既に店頭に並び始めたころだと思いますが、『対訳 フランス語で読む「ゴリオ爺さん」』という新刊が発売になりました。名前からも類推できるように既刊『フランス語で読む「赤と黒」』に続く対訳シリーズ第二弾です。

上の写真のように、装丁もきれいに揃っています。『赤と黒』が刊行時、多くの書店員さん、読者の方から「こういうのを待っていた」という声をいただきました。個人的には新鮮な驚きでした。

実は、二十年ほど前、インターネットなどが盛んになりだしたころ、いろいろなテキストガネットで読めるようになり、新聞も直接海外の新聞社のサイトを閲覧できるようになりましたから、「文学作品を読む」「新聞で学ぶ」といった類の語学学習書の中級教材は大打撃を受けたのです。

しかし、そういった流れが一回りしたからでしょうか、ここ数年はこのような中級読み物が再び見直されてきましたし、需要も盛り上がっています。もちろんかつて出していたものをそのまま重版したのでは、今の読者には受けません。やはり年月が流れ、それなりに「今風」の工夫を凝らしたものでないと売れないのは当たり前のことです。

とはいえ、大きな流れの中で再び中級教材に日が当たるようになったことは、語学書の出版社としては非常に嬉しいことです。今回の『ゴリオ爺さん』も十分な手応えがあると予想しています。

そんなに需要があるならもっと出さないの、という声があるのももっともです。上の写真は『ゴリオ爺さん』のカバー袖です。続刊として『レ・ミゼラブル』『恐るべき子供たち』という作品が見えます。

はい、現段階では刊行予定は何月ですとは言えませんが、続刊を出しますので、しばしお待ちを!