「客家」という言葉は聞いたことがあるけれど、それが何であるのか知らないという人って多いのではないでしょうか?

台湾新聞の第一面です。

冬将軍が来た夏』が載っていました。

あたしの勤務先の近所ですと、三省堂書店の神保町本店で、大がかりな客家文学のフェアをやっていました。同書の著者、甘耀明さんは客家出身ですので、フェアの時、棚に並んでいたものが掲載されたのでしょう。

甘耀明さんの来日、講演などもありました。日本の新聞ではそれほど大きく取り上げていなかったかも知れませんが、興味と関心のある方にとってはそこそこ大きなニュースだったと思います。

三省堂書店の神保町本店の、それも一階で、客家文学のフェアが行なわれていたなんて、これはもっと知られてもよかったのではないかと思います。

南仏の香水は無形文化遺産

昨日の朝日新聞夕刊です。

調香師のインタビュー記事が載っていました。

そう言えば、先日、南仏の香水作りは無形文化遺産に登録されましたね。日本ではなまはげなどで話題になっていましたが、こちらも同じ時に登録された伝統技術です。

インタビューを受けているのはジャック・キャバリエですが、あたしの勤務先では、同じく高名な調香師であるジャン=クロード・エレナの『香水 香りの秘密と調香師の技』を刊行しています。

本書の内容紹介は以下の通りです。

著者は、エルメスの専属調香師。ヴァン・クリーフ&アーペルやブルガリの名香も手がけた人気調香師だ。彼が、その手のうちを本書で明かす。たとえば、調香師は香りを組み立てる素材になるさまざまな匂いをストックしておくのだが、彼独自のコレクションはどのようにつくられていったのか? 創作のアイディアはどのようにして生まれるのか? どのようにして匂いを記憶するのか? 日頃どのようなことを心がけているのか?……彼の代表作「地中海の庭」の創作過程も語られ、まるで調香の現場に立ち会っているかのような気にさせられる。くわえて、香水の歴史、嗅覚のしくみから、調香師の訓練と仕事、香水の市場とマーケティング、香りの知的財産権保護にいたるまで、香水にかかわることすべてが手ぎわよくまとめられている。

著者ジャン=クロード・エレナについては、こちらのページをご覧ください。彼も超一流の調香師です。

今日は演劇

昨日の朝日新聞夕刊は文芸書の「今年の3冊」でしたが、本日は演劇でした。

そして、ここでは佐々木敦さんに『修道女たち』を選んでいただきました。

記事中にも、いろいろと関連するような事柄が散りばめられていたような気がします。

さて、来年はどうなるのでしょう? と言うと、鬼が笑うのでしょうか?

今年の3冊という季節

朝日新聞の夕刊、今年の3冊が載っていました。

鴻巣友季子さんが『奥のほそ道』を取り上げてくださいました。

戦争もので、夏に刊行されたと言いこともあって、かなり分厚くて値段も高い本ですが、本当によく売れました。

年末に向けてもうひと売れしてくれると嬉しいものです。

今週は2点@朝日新聞

土曜日恒例、朝日新聞の読書欄です。

今週は、いわゆる書評欄での紹介はなかったのですが、よーく見ますと次の2点が紹介されていました。

まずは、桜庭一樹さんがJ.D.サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を紹介してくださいました。『ライ麦畑でつかまえて』ではなく、あえて村上訳の方を紹介しているのは、桜庭さんが読まれたのがこちらだったからなのでしょうね。

書店でも「どっちの方が売れているのですか?」と時々聞かれます。正直なところ、拮抗しています。お店によっても違いがありますし、月によって売り上げ順位も入れ替わったりしています。ただ、村上訳が出ても売れ続けている野崎訳もスゴいものだと思います。

続いてはもう一点、新書紹介コーナーで見つけた『社会主義リアリズム』です。文庫クセジュの一冊です。

こちらは文庫クセジュの棚だけでなく、人文の棚、芸術の棚にも置いていただいている書店がいくつかありまして、お陰様でよく売れています。日本の新書ではなかなか見かけないテーマで、いかにもクセジュらしい一冊ではないでしょうか?

朝っぱらから夜のこと

今朝の朝日新聞です。

日本の夜の公共圏 スナック研究序説』の谷口功一さんが登場です。

朝刊に夜のオーソリティーが登場するというのも面白い趣向ではないでしょうか?

しかし、本書が出て以来、主張などで地方へ行くと、まだまだスナックってたくさんあるんだなあということを実感します。実際には後継者不足で大変らしいですけど。

突然、売れた?

新刊でもなく、類書が刊行されたわけでもないのに、突然ある本の注文が続く時があります。

今の時代、そのほとんどはネットで何かしら情報が巡っているので、FacebookやTwitterで検索をかけてみると、理由が判明します。

今日もそんな書籍がありました。『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』、2013年に刊行した書籍です。

なんでこの本の注文が続いたのか、検索してみたところ、たぶんこれが原因ではないかと思われるものが一つ見つかりました。

NHK-BSの「クラシック倶楽部」という番組です。その12月4日の放送がアンリ・バルダのリサイタルだったのです。

それ以外では注文に繋がりそうな情報はヒットしなかったので、たぶん、この番組を見た方の中で、アンリ・バルダの本を読んでみようと思われた方が本屋へ足を運んだのでしょう。

しかし、この番組の中で同書が紹介されたのでしょうか? 紹介されもしないのに番組だけで本書にたどりつくなんて、どれほど熱心な方なのでしょう? ありがたいことです。

一面に登場!

今朝の朝日新聞です。

一面に登場と言っても、サンヤツ広告ではありません。それよりももうちょっと上になります。

はい、「折々のことば」欄です。引かれているのは、この夏に刊行された『風の演劇 評伝別役実』です。

各紙誌でも紹介された本書、読書欄に掲載されるのも売り上げに効果がありますが、こういうところの紹介もそれに負けず劣らず反応があります。

別役ファンなら既に買った、読んだという方も多いのでしょうが、こういう記事をきっかけにそれ以外の人にも広がる可能性がありますし、こちらとしてもそれを期待しています。

麻薬とかスパイとか

本日の朝日新聞別刷「GLOBE」は麻薬特集です。GLOBEというタイトルどおり、世界各地の状況がレポートされています。ミャンマーの「黄金の三角地帯」のことも書かれています。それで思い出すのが『辺境中国 新疆、チベット、雲南、東北部を行く』です。

同書の第三部「雲南」では、国境を越えて麻薬や人身売買が行なわれている地区のありさまが描かれます。読みながら、「著者の人、こんなことしちゃって大丈夫なんだろうか?」と少し心配になりました。

それにしても、あのあたりの国境地帯、本当に無法地帯であり、無国境地帯のようです。まあ、中国(漢民族)から見たら蛮族の居住地であり、自分たちには関係ない、という感覚なのかも知れません。

同じくGLOBEの書籍紹介コーナー。

あたしの勤務先でもお世話になっている園部哲さんが紹介しているのはベン・マッキンタイアーのスパイもの。

マッキンタイアーと言えば、あたしの勤務先でも『ナチが愛した二重スパイ』を刊行しております。マッキンタイアーは一貫してこの手の作品を書いているんですね。

少し前にも、イギリスでロシア人の父と娘が暗殺されかかった事件がありましたが、英国では「007シリーズ」ではありませんが、日本よりもスパイが身近な存在なのでしょう。だから、こうして新刊が次々に発表されているんですね。

よくも悪くもライ麦なんだなと思います

朝日新聞の日曜版に入っている別刷GLOBEの映画評のコーナーです。

取り上げられているのは「ライ麦畑で出会ったら」です。先週末から公開中の映画です。

お二人がコメント寄せていますが、クラウディア・プイグさんの評がなかなか辛口です。

映画に限らず、芸術作品の評価って人それぞれだと思うので、褒めるものがあれば貶すものがあってもよいと思います。ただ、今回の評を読んでみますと、逆に改めてサリンジャー、『ライ麦』の影響力の強さというものを思い知らされたように感じます。

あまりにも人気があったり、影響力があったりすると、その反動でアンチが現われるものです。村上春樹の新刊が出るたびにケチをつける人、ジブリの作品をクソミソに貶す人などなど。それって、それだけ村上春樹やジブリ作品が影響を及ぼしているってことの裏返しなわけで、プイグさんの評もアメリカにおけるサリンジャーのすごさというのを逆に見せつけているような気がするのはあたしだけでしょうか?