HOTな(?)メディア情報

急な告知ですが、本日夜、NHKのBSプレミアムで放送の「ザ・フォークソング~出張ゼミナール~」には歌手の友川カズキさんが出演予定です。

熱狂的なファンのいる友川さんですが、こういう番組で初めて知ったという方も多いのではないでしょうか? そういう方には『友川カズキ独白録』をお薦めします。

続いては雑誌。発売中の「SINRA3月号はオオカミ特集です。

同誌には、あたしの勤務先ではお馴染み、丸山直樹さんがC・W・ニコル氏と誌上対談をされています。

 

丸山さんと言えば、『オオカミが日本を救う!』『オオカミを放つ』ですが、あたしの勤務先ではそれ以外にも『オオカミ 迫害から復権へ』『ウルフ・ウォーズ』といった本も出しています。

 

特に『ウルフ・ウォーズ』は同誌とそっくりなカバーではないですか?

キルケゴール、いま?

今朝の朝日新聞をめくっていて驚きました。

キルケゴールの記事。いま、キルケゴールがブームなのかと問われれば、記事を読む限り、そこまで来ているわけではないようですが、現代に改めてキルケゴールを読む意味、意義は十分に伝わってきました。

あたしもしっかりと読んだことはないのですが、昔からキルケゴールは気になっていた思想家の一人です。だから、かつて復刊されたときに買ったのです、著作集を。

上の写真が、それです。わが家の書架に鎮座しております。背がかなり焼けてしまっていますが……(汗)

ちなみに、現在、この全集は品切れで、あたしの勤務先で手に入るのは『ドン・ジョヴァンニ 音楽的エロスについて』くらいです。

  

死にいたる病 現代の批判』『誘惑者の日記』は「ほぼ在庫なし」といった状態なので、どうしても手に入れたい方は、店頭で見かけたときに迷わず購入されることをお勧めします。

プロ野球だけではない!

もうひとつのプロ野球』の書評がいくつか出ました。その中で週刊現代の2月13日号に載った高橋秀実さんの評にはいろいろ考えさせられました。

同書の紹介はこちらに譲るとして、その評で書かれていることは

自らを「埋もれた才能」と信じ、下手であることも「まだまだ伸びしろがある」と解釈する。異常なまでにポジティブ。勘違いというか「治療」が必要なほどらしい。

という若者たちの姿です。そんな彼らはゆとり教育世代らしいです。いつまでも自分の(あるはずのない)才能を信じ、社会に出て自分を客観的に見つめることを拒否しているような若者たち。

そんな指摘を読むと、たぶんこれ、プロ野球だけじゃないだろうな、と思います。たぶん他のスポーツでもありえることでしょう。ただ、他のスポーツでは、プロ野球ほど華々しい、スポットライトのあたる場が用意されていないので、もう少し冷静に自分を見つめられるのかもしれませんが、人気のあるサッカーでは、本書に書かれているプロ野球界と同じことがおきつつあるのではないでしょうか?

いや、それを言ったら、それよりももっと前に「大学院」というのも似たような存在ではないだろうか、という気がしてきました。あたしが院生だったころと現在を一緒にしてはいけないのはわかっているつもりですが、文科省が博士を増やせと大号令をかけたころから、研究者としてやっていける才能もないのに大学院へ進学する学生が増えた、いや増やされたのではなかったでしょうか。そして、そうやって大学院に入ってきた学生の中にも「自分はまだ本気を出していないだけだ」と嘯いて、結局使い物にならない人材ばかりがたまっていく。

あたしが院生のころ、恩師の一人は言ってました。研究者として見込みのない者を大学院に入学させないのも大事なことだと。もちろん研究者になるつもりはなくて、「もう少し勉強したい」というだけの人もいるでしょう。でも、そういう人は、大学院へ進んでしまうと就職先が極端に狭まってしまうことを理解しているのでしょうか? それに大学院はあくまで研究者養成の場だと思うので。

うーん、この本、就職を控えた大学三年生に読んでもらいたい!

でも、イマドキ若者はきっと、「この本に出てくる奴らは自分の才能のなさがわかっていないんだ。自分はそんな連中とは違って、本当に才能があるんだから」とのたまうのではないでしょうか?

 

アルメニア人問題の問題

本日の朝日新聞読書欄から。

藤原書店の『アルメニア人の歴史』が紹介されていました。なかなかお値段の張る書籍です。ただ、この本に関心を持たれる方はアルメニア人問題について意識が高い方ばかりでしょうから、このくらいの価格でも手に取り、購入へと向かうのではないでしょうか?

そもそも日本人にとってアルメニア人って縁が薄いですよね? アルメニア人っていうくらいだからアルメニアに住んでいる人でしょ、とまでは言えるのかもしれませんが、ではアルメニアってどこよ、と問うたときに正確に答えられる日本人が果たしてどれくらいいるのか? カスピ海の近くと答えられればまずは御の字でしょう。

そのアルメニア人、紹介されるときは「虐殺」という単語とペアになることが多いのではないでしょうか? ネットで検索してもヒットするのも『アルメニア人 ジェノサイドの真実』『忘れ去られたアルメニア人虐殺』『アルメニア人ジェノサイド』という具合に、アルメニア人といえば虐殺ということのようです。

  

あたしの勤務先でも『中東民族問題の起源』という本を出しています。これは副題が「オスマン帝国とアルメニア人」で、やはりアルメニア人問題が主たるテーマになっています。

こういう歴史、詳しいことまでは知らなくても、やはり日本人でも多少の知識は持っていたいところではないでしょうか? でも、それを言うなら、中国政府によるチベット人やウクライナ人に対する弾圧だって、多くの日本人に走られていないことでしょうし、モンゴル族への仕打ちもかなり苛酷だったことだって知られていませんよね。

放浪芸

朝日新聞の夕刊、社会面にこんな記事が……

小沢昭一さんがライフワークにされていた放浪芸の記事です。芸事ですから、音と映像が何より肝心なのは理解しておりますが、文字にして残しておくことも大事な作業だと思います。

そんな小沢さんの放浪芸に関する著作、実はあたしの勤務先から出ているのです。

  

日本の放浪芸』『放浪芸雑録』『ものがたり芸能と社会』の三作品です。どれもお値段はやや高めですが、唯一無二の著作です。値段だけの価値はある書だと思います。

もうひとつの台湾

写真は今朝の朝日新聞の読書面です。

台湾特集です。

とはいえ、台湾史、主に政治面に焦点を当てた記事になっています。挙がっているのは『族群 現代台湾のエスニック・イマジネーション』『図説 台湾の歴史 増補版』『台湾現代史』といったところです。

  

台湾の現代史がテーマですから順当な選書だと思いますが、このところ日本では台湾文学にもかなり関心が集まっています。政治はつまらない、小説が読みたいという方には『歩道橋の魔術師』『神秘列車』などはいかがでしょうか? あるいは『』なども台湾文学への入り口になると思います。

  

そんな両者、政治と文学の間をつなぐのが『台湾海峡一九四九』だと、個人的には思います。

夜市で小籠包に舌鼓を打つのもよいですが、たまには書籍からも台湾を味わってみてください、ぜひぜひ。

ダイヤモンドに文春に!

新聞の書評もあらかた出尽くし、一段落の感のあった『ネオ・チャイナ』に援護射撃です。

まずは「週刊ダイヤモンド」で、成毛眞さんが取り上げてくださいました。

この号は「読書を極める!」というテーマですので、週刊誌とはいえ大型書店であればしばらくは置かれているのではないでしょうか? その中で成毛眞さんが丸善丸の内本店を訪れ、そこで本を選ぶという企画記事。もちろん、あたしの勤務先意外の本も取り上げられているのですが、なんだかうちの宣伝をしていただいているような感じで読んでしまいました(汗)。

たまたま百周年記念フェアをやっている時期に訪問してくださったという僥倖もあったからでしょうか

続いて、レジ前を通ってサイエンスのコーナーへ。と思ったのだが、通路脇で展開されている白水社のフェアの前で足が止まる。やはり、白水社の本は装丁が美しい。ボクはキンドルでもかなり本を買うが、ここまで美しい本は紙で買って本棚に並べたい。

とおっしゃり、「へえ、こんな面白そうな本が出ていたのかという発見がある」とのこと。そんな成毛さんが『ネオ・チャイナ』については

そのビジネス系の本で今年の一押しと言ってしまってもいいかもしれないのが『ネオ・チャイナ』だ。中国という国、そこで暮らす人の今を、偏見や敵意なく知りたければ、これを読まずにいられないだろう。中国関連の本には装丁の赤いものが多いが、これは一味違うのも良い。

とお薦めしてくれています。

ついで月刊の文藝春秋。その11月号の鼎談書評で山内昌之さん、片山杜秀さん、篠田正浩さんが『ネオ・チャイナ』を取り上げてくださいました。鼎談ですので、それなりに分量のある評になっています。

さて、『ネオ・チャイナ』の評、今回紹介したものにしろ、これまでに出た新聞書評にしろ、ほぼ共通しているのは、数多ある中国ものを何冊も読むくらいなら本書を読めのが一番よいという点です。もちろん、優れた中国関連本だってたくさん出ていますが、ここ数年、書店店頭を賑わせているのは嫌中本や極端なものばかり、そんなもの何冊読んでも意味ないよ、という感覚、読者の多くが抱いているからではないでしょうか。

たくさん出ているのにこれというものがない、そんな中国ものの中に現われた『ネオ・チャイナ』、干天の慈雨と呼ぶべきでしょうか?

弊社の本もご一緒に!~法政『フランスという坩堝』~

先日の日本経済新聞の書評で、法政大学出版局の『フランスという坩堝』という本が取り上げられました。叢書・ウニベルシタスの一冊です。

ふーん、それがどうしたの? フランスと聞くと反応しちゃうの? と言われると、はい、その通り、と答えざるを得ませんが、今回はそれだけではありません。同書のはサブタイトルに「一九世紀から二〇世紀の移民史」とあります。タイトルだけだとちょっとわかりにくい感じがしますが、この副題を見れば本書の内容がわかると思います。そして、それが予想できたなら、あたしの勤務先から出ているこの本が思い浮かぶのではないでしょうか?

パリ移民映画』です。

こちらのサブタイトルは「都市空間を読む 1970年代から現在」ですから、前者よりはかなり焦点を絞ったものになっていますが、フランスにおける移民をテーマとしているところは同じです。合わせ鏡のように両者を互いに参照させながら読むとよいのではないかと、門外漢であるあたしでも思うのです。

こんな関連書籍はいかが?

本日の朝日新聞読書欄から。

新潮社から吉村昭の戦争作品集が刊行になったという記事。確かにこのところ書店を回っていても、文芸書コーナーで吉村昭の作品を良く目にします。吉村昭というと、このシリーズのように「戦争もの」というイメージを抱く方も多いでしょうが、『関東大震災』とか『三陸海岸大津波』という作品で知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 特に後者は東日本大震災以降よく売れていたという印象があります。

  

そんないくつかの顔を持つ吉村昭その人に興味を持たれた方にはこちら、『評伝 吉村昭』がお薦めです。吉村昭評伝の決定版と言ってよいでしょう。

続きましてこちら『ヴェール論争』です。同書は、あたしの勤務先の刊行物ではありませんが、たぶんこの本を理解するときのキーワードは「ライシテ」ではないかと思います。

ライシテと言えば、こちらの三冊が必読書です。たぶん、これ以外にライシテを扱った本はないでしょう。

  

フランスにおける脱宗教性の歴史』『世界のなかのライシテ』『ライシテ、道徳、宗教学』です。またこの問題は、もう少し視点を変えると「シャルリ=エブド事件」とも関連してくるはずです。

 

あの事件も、今のところは一段落していますが、問題の本質が何ら解決されたわけではありませんので、『シャルリ・エブド事件を考える』『現代思想 2015年3月臨時増刊号』などは、これからも必携、必読の資料になると思います。

ウォー、あれこれ

先程のダイアリーで、実は書きたかったことを書かないまま投稿してしまいました(汗)。

書評に載った『スクープ』なのですが、正直に申し上げまして、現在、出版社としては在庫僅少です。ただ、先のダイアリーにも書いたように、在庫のある書店はたくさんありますので、どうしても読んでみたいという方は探してみてください。

 

ところで、作者イーヴリン・ウォーの作品は『スクープ』以外にも翻訳があります。とりあえず、あたしの勤務先からでも『ピンフォールドの試練』(吉田健一訳)があります。個人的には、こちらの方が面白いと思いましたが……

   

その他にも、岩波文庫で『回想のブライズヘッド(上)』『回想のブライズヘッド(下)』『大転落』『愛されたもの』といった作品が出ております。

そして光文社古典新訳文庫から『ご遺体』も刊行されていますが、これは岩波文庫の『愛されたもの』と同じ作品で、訳者が異なるので邦題も変わったという次第。

とまあ、こんな風にいろいろと邦訳が出ているウォーです。海外の作家としてはそれなりに邦訳が出ている部類に入るでしょう。書評に出たから『スクープ』が読みたいんだ、という気持ちもわかりますが、その著者に興味を持ったのであれば、あえて書評に取り上げられたのとは別の作品を読んでみるというのはどうでしょう? せっかく、これだけ邦訳も出ていることですし。

ちなみに、あたしは、これもあたしの勤務先の刊行物で、ただしこちらは完全に品切れで一冊も残っていないのですが、『黒いいたずら』が読んでみたいです。『ピンフォールドの試練』同様、吉田健一訳です!