ミニチュアの次は!

先程のダイアリーで、3月2日がミニチュアの日だから『ミニチュアの妻』は如何でしょうか、と書きましたが、今秋の金曜日、3月8日は国際女性デーだそうです。

ということで、こんどはこちら、『ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集』をお薦めします。ただ、女性デーだからと言ってあまりフェミニズム寄りになってしまうと、ちょっと引かれてしまう面もあるようなので、女性が主人公であるとか、女性の悩みを扱ったような作品を並べてみるのもよいかもしれません。

となると、『ここにいる』『冬将軍が来た夏』『海峡を渡る幽霊 李昂短篇集』といったアジアもの、欧米の作品なら『不機嫌な女たち キャサリン・マンスフィールド傑作短篇集』『生まれるためのガイドブック』『女がいる (エクス・リブリス)』『ブルックリン』『悲しみを聴く石』なども並べてみるのも一興です。

個人的には、これらの作品も面白いと思いますが、『おだまり、ローズ 子爵夫人付きメイドの回想』は言うまでもなく大ヒット作品ですので外せないでしょう。そして『木に登る王 三つの中篇小説』の中の最初の作品「復讐」がとても怖くて、でも読まずにはいられない作品だと思っています。

というわけで、単行本に絞りましたが、新書判のUブックスなどから選ぶなら、ジャネット・ウィンターソンの『さくらんぼの性は』『オレンジだけが果物じゃない』『灯台守の話』などは如何でしょう?

昨日はこの本を売るべきだった!

昨日、3月2日は「ミニチュアの日」だったそうです。

シルバニアファミリーなどのドールハウスとかガシャポン玩具、食玩など日本は非常に精巧なミニチュア製品を作る技術がありますし、その愛好家も多いと思われます。ドールハウスは海外発祥の文化ですから、必ずしも日本独自のものではないと思いますが……

そして、国内外、人間が小さくなってしまうという設定の文学作品、テレビドラマや映画も数多く作られています。そういえば、あたしが子供のころに「ミクロイドS」という子供向けの作品があったのを思い出しましたし、「ミクロマン」という玩具を集めていた時期もありました。

さて、玩具はさておき、3月2日に合わせて、ミニチュアをテーマとした作品を集めたフェアをやっていた書店はどのくらいあったのでしょう? あたしの予想ではたぶん一軒もなかったのではないかと思います(汗)。まあ、それも仕方ないでしょう。せめて一週間くらい幅のあるものであれば店頭でフェア展開もありでしょうが、それほど有名でもない記念日では……

それでも、こんな本はいかがでしょう? 『ミニチュアの妻』です。これは短篇集なので、ミニチュアをテーマにしたものは表題作のみです。それでも抜群に面白いですし、表題作以外にも秀作、佳作が揃っています。この機会に是非!

授賞式ではなく贈賞式と呼ぶのですね

本日の朝日新聞夕刊です。

読売文学賞の贈賞式のことが載っていました。

既に発表されているように、あたしの勤務先から出ている『評伝 鶴屋南北』が研究・翻訳賞を受賞していまして、記事中の写真は同書の著者、古井戸秀夫さんです。

「買うに高価、読むに大変」というのは最高の褒め言葉だと思います。あまりにも高額なので、本屋で並んでいるところを見ることはないと思いますが、図書館などに架蔵されていたら、是非手に取ってみてください。

いろいろとできそうな気がするのですが……

本日は、新刊『翻訳 訳すことのストラテジー』の見本出しでした。

いったいどんな本なのか、タイトルからご理解いただけるでしょうか? ひとまず公式サイトに掲載されている内容紹介を以下に引いておきます。

最新の翻訳研究(トランスレーション・スタディーズ)ではなにが論じられているのか? 本書では、「グーグル翻訳は原文の等価物か?」「『直訳』『意訳』という二分法は正しいのか?」といった身近な問題から、文学作品が翻訳を通じて新たな力を獲得しうるという「翻訳の詩学」と著者が呼ぶものまで、「翻訳translation」という事象が含む論点の広がりが一望できるようになっている。わたしたちが他者とコミュニケーションするにあたって、言語が重要な媒体としてあらわれる以上、「翻訳」を避けて通ることは不可能だ。著者に言わせれば、翻訳とは、言語や文化が接触するところにかならず生じるものであるためだ(それは必ずしも「外国語」や「異文化」に限らない)。翻訳は、言語や文化がはらむ差異の存在をあばきながら、その差異を楽しませてくれる。著者がくりかえし強調する点はここにある。マンガの翻訳やアニメのファンサブ、特異な「翻訳」として近年注目を集めている「漢文訓読」など、日本の読者にとって親しみやすい例が挙げられているのも本書の魅力。さらに、訳者による、日本の読者むけの読書案内を巻末に付した。

少しはイメージできましたでしょうか?

理解できる方はよいとして、もう少しイメージができるようにと思いまして、右の画像をご提供します。同書の目次です。

実はあたしも、この目次を見るまではどんな本なのかいまひとつつかめなかったのです。漠然と、文芸評論の棚に並べてもらえればよいのかな、なんて考えていました。しかし、この目次を見てみますと、人文の言語学の棚でも面白そうですし、語学の棚の翻訳に関する書籍を揃えているところであれば、そんなところに並べても面白いと思います。

巻末にある文献案内も邦訳されているものが散見しますし、「日本の読者向けの読書案内」も思いのほか充実していまして、ここに出てくる文献を使ったフェアなど出来そうな気がします。

如何でしょうか?

日本橋でもらった小冊子

丸善日本橋店で「BOOKCON」というイベントが開催中です。

かくいうあたしの勤務先もブースを出していて、それが今日でした。昨年も出ていましたが、今年も参加しておりまして、展示はめいっぱいサリンジャー推しになっています。

お隣が青土社ブース。そこで右のような小冊子が配布されていました。『ユリイカ』と『現代思想』の毎号の特集一覧です。

「こんなの出版社なんだから作るの簡単なんじゃない?」と思われるかも知れませんが、バックナンバーのデータって、最近でこそパソコンで管理していますが、それ以前は意外とちゃんとは残っていなかったりするものです。そもそも本誌が残っていない号も多々あると思いますので。

こちらの小冊子も作成にかなり苦労されたようです。配布しているのは、BOOKCONの会場限定だそうです。どのくらいの方が手に入れることができたのでしょうか?
限定で配布していた冊子と言いますと、先日のチョ・ナムジュさんの来日トークイベントの会場で配布されていたのが左の写真。ごくごく簡単な邦訳作品紹介となっています。

こういう冊子たち、ちゃんとした印刷所で作っているかなり豪華なものもあれば、いかにも手作り感にあふれたものもあり、それぞれのよさがあります。大きさやページ数もさまざまですし、折ってあるだけのもの、冊子になっているもの、形状もいろいろあります。

フェアとかやっていると、やはりあたしなどはこういった冊子やパンフレットをもらってきてしまうタイプです。特にフェアなどの書目が載っているものですと、その場では買わなくても、後になってリストを見返して買ってみたりすることもできるのでありがたいものです。