対決フェア?

春と言いますか、夏前に全国的に開催していた《エクス・リブリス》フェア、秋の陣がいくつかの書店で始まっています。

まずはブックファースト新宿店。

東側、紀伊國屋書店新宿本店で夏前に開催していたので、同店では秋の開催となり、新潮社のクレスト・ブックスとのコラボフェアとなっています。と言いますか、コラボフェアにするために、あえて秋に開催することにしたと言った方が正確かもしれません。しかし、今日あたりは少し涼しさも感じられるようになってきましたが、まだまだ「秋」と呼ぶには早いかしら?

さて、フェアですが、文芸書コーナーのエンド台、ほぼ月替わりでさまざまなフェアをやっている場所で、ご覧のようにクレスト・ブックスとエクス・リブリスが所狭しと並んでいます。

なかなか壮観ですね。この際、どっちの方が売れているかなんて野暮な質問はやめておきましょう。そもそもフェアは始まったばかりです。まだ先は長いですから、何回か波も来るでしょう。

それに、売れる売れないということももちろん大切ですが、こうやって海外文学に触れる機会を設けてくれることがなによりも嬉しいです。

続きまして、同じような写真に見えますか、よく見ればちょっと違います。

同じくクレスト・ブックスとエクス・リブリスを一緒に並べてフェアを行なっているのは、新宿から小田急線に乗ってしばらく行ったところ、成城の三省堂書店です。こちらも、文芸書コーナーのエンド台を使っての展開です。こうしてみますと、今回の両社のフェアって、書店のエンド台で併せて展開するのにちょうどよいボリュームだったのでしょうか?

特にこだわりがあるのかないのか、そこまでは聞いていませんが、同じ対決フェア(コラボフェア?)をやりながら、本の並べ方は微妙に異なる両店。ただどちらも二つのシリーズを真ん中で分けて並べているのは同じですね。

この両店以外にも、海外文学の二大シリーズ(?)のコラボフェアをやってくれている書店はいくつかあると思いますが、両シリーズをごちゃ混ぜに並べている書店ってあるのでしょうか? もしそういう並べ方をしているところがあれば、どうしてそうしたのか担当の方に是非話をうかがってみたいところです。

テレワーク

月曜日の台風。

千葉をはじめ、いまだ日常が戻っていない地域も多いようで、死者も出ていると聞くと何とも言えない気分になります。

そんな月曜日、既にこのダイアリーにも書きましたが、中央線がなかなか動かなかったので、あたしは結局会社を休むことにしました。自宅でそれを決断したとき脳裏に「テレワーク」という言葉が浮かびました。

あたしの勤務先はテレワークを導入しているとか、推奨しているとか、そういったことはないのですが、編集部の場合、必ずしも会社の机に座っていることだけが仕事ではなく、一日中著訳者のところで作業をしたり、図書館で調べものをしていたり、テレワークとは違いますが、そういった勤務形態もあります。

営業部も、会社の机に座って行なう仕事だってありますが、基本は書店回りだと思うので、そうなると自宅をオフィスにするというテレワークは無理ですよね。実際に本屋に足を運び、書店の人と顔を合わせ、注文を取るだけでなくさまざまな情報交換をするのも大切な営業の仕事です。果たしてそれが電話一本で代替が効くものなのでしょうか?

昨今は、POSデータが充実してきましたので、どの書店で売れているかがほぼ正確にわかります。そうなると、売れているお店に対して電話やファクスで注文を取るという営業スタイルも考えられます。都内近郊ならともかく、地方の書店には足を運ぶこともままならないので、これは有効な手段だと思いますが、それだけで十分なのでしょうか?

一日中デスクに座ってPOSデータをチェックし、ここと思った書店に電話をかけたりファクスを送ったりして追加補充を受注する、入社以来一度も(営業の仕事としては)書店店頭に足を運んだこともない、という出版社の営業部員も今の時代だといるのかも知れませんね?

まだまだ載る予定です

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モンスーン(季節風)から台風へ?

昨日の朝日新聞夕刊に『モンスーン』の著者、ピョン・ヘヨンさんのインタビュー記事が載りました。先日の読売新聞にも載っていましたので、立て続けの登場です。

この『モンスーン』は、このところ紹介されてきたフェミニズム系の韓国小説とは一線を画し、日常の不条理を描いた、読んでいてゾクゾクする短篇集です。「ちょっとフェミニズ小説は苦手だな」と思っていた方にも本作なら楽しく(?)読んでいただけると思います。

もちろん、このところの韓国文学を読み漁ってきた方にも「韓国にはこんな作品もあるのか」と思っていただけると思いますし、既に邦訳は数冊出ているピョン・ヘヨンさんではありますが、「こんな作家がいたのか」と感じてもらえると思います。

そんな『モンスーン』ですが、『週刊新潮』の最新号で、豊崎由美さんが紹介してくださっています。かなり大きな扱いです。

豊崎さんが「この九篇のどこかに、自分を見つけることができる」と書いていますが、確かに、これらの短篇集を読むと、どれかしら身に覚えがある、ものすごく身近に感じる作品があると思います。

その身近さが、この短篇集の怖いところでもあるのですが……

さて、この初回記事の多さ。これは「モンスーン」はおろか「タイフーン」になる可能性が大ですね。いや、そうしていかないとならないです! ちなみに、朝日新聞の記事に写っている写真は、あたしの勤務先の一部屋です。

重版2点

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新聞で気になるのは記事だけとは限りません

朝日新聞の眺めていたら、こんな大きな広告が載っていました。

ミネルヴァ書房の広告です。一面全面広告というのは大手出版社で時々見かけますが、見開きでの広告とは滅多にお目にかかれるものではありません。ミネルヴァ書房、すごいです。

あたしなど貧乏根性が染みついてしまっているので、「こんな広告を出したら、一体いくら掛かるのだろう?」とすぐに考えてしまいます。いや、冗談抜きで、これは相当お金掛かっていると思うのですが……。とりあえずは朝日新聞だけですかね?

そして、そんな朝日新聞でミネルヴァ書房の広告よりも目を惹いたのがこちらです。

横浜銀蠅、知ってる人は50代以上になるのでしょうか? ロックバンドです。不良を気取っていました。ツッパリ連中は憧れていたのではないでしょうか? 「ギンバエ」と略称されることが多かったですが、この広告をよーく見ればわかるように、横浜銀蠅の正式名称は「The Crazy Rider 横浜銀蠅 Rolling Special(ザ・クレージー・ライダー横浜銀蠅ローリング・スペシャル)」なんです。もちろん、あたしは当時から正式名称で記憶していました!

と、広告ばかりを取り上げてしまいましたが、本命はこちら。

昨日の読売新聞夕刊です。

海外文学シリーズ《エクス・リブリス》10周年の記事を載せていただきました。同シリーズの最新刊はインタビューも載っているピョン・ヘヨンさんの『モンスーン』です。フェミニズムとはちょっと違う、「こんな韓国文学もあるんだ」と思っていただければ幸いです。

いよいよ今週末からです

今週末から映画「人間失格」が公開になります。

この作品、タイトルからもわかると思いますが、太宰治の物語です。太宰治と三人の女性の愛憎劇のようです。ただし、この映画自体に原作本はないようで、もし書店店頭で映画関連のフェアをやるのであれば、あたしの勤務先から出ている『三つの空白 太宰治の誕生』も是非加えていただきたい一冊です。

本書は「数ある先行書籍があまり指摘してこなかったこの「空白期」にスポットを当て、そこから新たな作家像を探ろうという意欲的な試み」で、タイトルにもあるように太宰治には空白期が三回あるそうなのです。そして、

第三の空白は昭和10年鎮痛剤中毒に陥って苦闘生活が続き、井伏鱒二の紹介で石原美知子と結婚するまでの時期。この三つ目の空白を経て、結婚を機に生活を建て直し、「富嶽百景」に始まる明るい佳品が生まれる

のだそうです。ここにある「石原美知子」は映画の中では宮沢りえ演じる「津島美知子」で、もちろん映画のメインキャストの一人です。映画を見てから本書を読むか、本書を読んでから映画を見るか、いずれにせよ相乗効果が期待できるでしょう。

こういう装丁なのです

本日の朝日新聞読書欄の情報フォルダーに『モンテーニュの言葉』が載っています。

「情報フォルダー」欄なので書影が載っていないのが残念ですので、ここでちょっとご紹介します。『エセー』を通読するのはちょっと大変という人には、エッセンスを凝縮した本書がお薦めです。

ちなみに、本書のサブタイトルは「人生を豊かにする365の名言」です。

一日に一つずつ味わっていけば、一年間でモンテーニュの真髄が身につくはずです。

もしかして、書籍という形より「日めくりカレンダー」形式で販売した方がよかったでしょうか?

ただ、見ていただければおわかりのように、『エセー』の各章は長さにばらつきがありますので、簡単に暗記できそうな短さのものもあれば、小品と言える長さのものもありますので、やはり本という形がふさわしいのでしょう。

違いのわかる男、かつてそんなCMがありましたね

本日が見本出しで、配本が12日ですから、店頭に並ぶのは来週末になると思いますが、何の話かと言いますと、新刊『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある![改訂新版]』のことです。

これまでの「改訂版」と並べてみましたが、その違い、おわかりになりますか?

こうして並べると一目瞭然ですが、それぞれだけを見たら同じように感じるかもしれませんね。長年愛されてきたベストセラーの改訂ですから、あまり大きく変えてしまうのもよくないし、かといって変わらなすぎるのもよくないし、そのあたりの微妙なバランスが難しいところです。

今回、中味もチョコチョコいじっていますが、最大の特徴は音源がCDだけでなく、スマホのアプリにも対応したという点です。これでCDプレーヤーをお持ちでない方にも活用していただけると思います。