あたしの場合、それは書店だったわけですが……

今宵は、代官山蔦屋書店にて、『バー「サンボア」の百年』の著者、新谷尚人さんと松尾貴史さんのトークイベントへ行って来ました。

いやー、面白かった。あと二、三時間聞いていても飽きないでしょうね。そんなお二人のトークでした。面白かった話柄は参加した者のアドバンテージとして、ここでは印象に残った話を少々。

新谷さんは、サンボアを日常の中にあるお店にしたいと話されていました。どういうことかと言うと、高級なお店ではなく、しょっちゅう来てもらえるようなお店を目指しているとのこと。実際問題、毎日寄ってくれる常連さんも多いようで、そういう人たちにとってはサンボアへ寄ってちょっと飲んでいくというのが日常生活の一部になっているわけで、そんなお店でありたいとのこと。

そんな話を聞きますと、「サンボア」でググってみるとヒットするのは「京都へ行ったので、あの有名なサンボアへ行ってみた」的な書き込みばかりです。もちろん、今なら本書がヒットする率も高いでしょうし、先日行なわれた百周年のパーティーについてもヒットすると思います。が、本書刊行前後にあたしが検索してみると、ほとんどはそんな記事ばかりでした。ただ、今日の話を聞き、また京都・大阪・東京で行なわれたパーティーに伺った感想からすると、やはり新谷さんが話された、日常生活の中でサンボアを利用している大勢の人たちに支えられての百周年なんだなあと感じます。

日常の一部になっているということでわが身を振り返ってみると、あたしの場合はバーなどの飲み屋ではなく本屋なのかも知れません。やはり旅先とかでも本屋があると時間が許すのであれば覗いてしまいます。これって、よさげな飲み屋があれば暖簾をくぐってしまう面々と同じ心情なのかも知れません。

そして、たぶんイマドキの若者の場合、その座はコンビニが占めているのではないかと思います。松尾さんも、酒の席でこそ先輩から教わるものがあるはずだと話されていましたし、新谷さんも、そういうコミュニケーションの断絶が起きているのだとしたら哀しいことだと話されていましたが、あたしなどの世代は、そういうよさを理解しつつも、面倒臭さを敬遠しだした世代なのかも知れないと思いながら聞いていました。

数年おきにブームがやってくる

須賀敦子さんがブームです。新刊がいろいろと刊行になるようです。

上の写真は、青山ブックセンター六本木店のフェアの様子です。一階奥にある階段の壁棚で透明の什器を使って展開中です。

ご覧のように、Uブックスも一緒に並べていただいております。

須賀敦子ブームは数年おきにやってきて、そのたびにそれなりの売り上げを残します。ということは、新しい読者が毎回生まれているということなのでしょう。こういう作家って、そうそういるものではありません。須賀敦子はスゴいです。

あたしも、こんど読んでみようと思います。

イベントにかこつけて?

新宿の紀伊國屋書店で見かけました。

 

永田千奈さんのトークイベントの告知ポスターです。どこかで見覚えのある名前だなあと思っていたら、ポスターの略歴にも記載がありますが、『印象派のミューズ』の訳者でした。イベントは今月下旬ですね。

そのすぐ近くにもう一枚。こちらは鼎談です。テーマは塚本邦雄。

 

となりますと、『わが父 塚本邦雄』も気になるのではないでしょうか? こちらもお忘れなく!

やはり傍観者であると実感

昨夜のイベントで購入した『福島第一 廃炉の記録』を眺めながら、TBS系の報道特集を視聴。ちょうど福島の問題を扱っているところでした。

西澤さんは原発に賛成でも反対でもなく、とにかく廃炉という作業をきちんと記録に残しておかなければならないという信念で写真を撮り続けているのだそうです。その苦労は、笑いながら軽く、半ば冗談めかして話されていましたけど、相当なものだったと推察されます。

あたし個人としては、東京でぬくぬくと電気を使って便利な生活を送りながらも、福島の現状に思いを馳せることもない日常です。それではいけないとわかってはいても何ができるわけでもなく、こういったイベントに足を運んで、たまには立ち止まって考える時間を持つことくらいしかできません。

報道特集を見ていて感じるのは、原発問題って沖縄の基地問題と似ているなあということです。厄介な問題を地方に押しつけて、札束で頬を叩くとまでは言いませんが、事実上お金の力にものを言わせて不満を抑え込み、そういったことの上で安穏な生活を送らせてもらっている東京の人間は何の痛痒も感じていない。あたしももちろんそんな東京の人間の一人です。

西澤さんの話の中で印象的だったのは、撮影の時にはフラッシュを使わない、望遠レンズを使用しないという点でした。前者は、現場の雰囲気を伝えるのに明るい光を使ってしまうのは余計なことであるという判断だそうで、後者は、望遠レンズを使うと傍観者の視点から撮った写真になってしまうからだそうです。

そして福島の廃炉作業、現在でも数千人の方が働いているそうです。かなりの人数の人が関わっているは思っていましたが、それほどの人数だったとは知りませんでした。そんなところにも、自分自身の不勉強さ、福島を他人事と考えている自分の姿勢が垣間見られます。

話を聞きながらふと思ったのですが、来年退位される天皇陛下。退位後は現在の皇太子一家が住んでいたところを改装して住まわれるというような報道を聞きましたが、もし飯館村とか双葉町に住むと言い出したら、政府や東電はどう対応するのでしょう?

あたしは震災直後から、本当に復興を考えるのであれば、期限を5年とか10年と区切って首相官邸や国会議事堂を福島へ移転させるべきだったと思っていましたし、周囲にもそんなことを話していたのですが……。それくらいしないと政治家だって、あたしと同じように当事者意識をモテないのではないかと思ったからです。

そして、明日が3月11日。

亜細亜旋風?

今年もTwitter文学賞が発表になりました。海外文学部門の結果、ご覧になりましたでしょうか?

 

ピンポン』が第二位、『10:04』が第九位をいただきました。どちらも《エクス・リブリス》の一冊、お陰様で同シリーズも海外文学ファンの方に厚く支持されているようで……

念のため、ベストテンを振り返っておきますと、

1)地下鉄道、2)ピンポン、3)13・67、4)穢れの街/廃都、三美スーパースターズ最後のファンクラブ、5)ネバーホーム、6)嘘の木、7)隣接界、湖畔荘(上・下)、ビリー・リンの永遠の一日、8)中国が愛を知ったころ、オープン・シティ、9)神秘大通り(上・下)、10:04、10)ギリシャ語の時間、母の記憶に、私の名前はルーシー・バートン

でした。4位が2作品あったら次は5位ではなく6位ではないか、という突っ込みは置いておき、あたしの勤務先のものが二つも入っていました。ありがたいことです。

この中で読んだことあるのは、その二作品を除きますと『13・67』『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』『中国が愛を知ったころ 張愛玲短篇選』『ギリシャ語の時間』です。自分の読書傾向だからかも知れませんが、今回のベストテンはアジア圏の作品が目立つような気がします。それだけ翻訳が日本で出版されたということ、そしてそれが読者に支持されたということなのでしょう。個人的にはとても嬉しい傾向です。

  

なお、第一位の『地下鉄道』、第五位の『ネバーホーム』も次に読みたい本の最右翼なのですが、これらを支持してくださった方なら、既に『地図になかった世界』は読んでいますよね? もし未読であれば、こちらも是非お薦めです。

最後は帝国

昨晩は、東京でのサンボア百周年記念パーティー、そして京都、大阪と行なわれてきたパーティーの最後になりました。会場は帝国ホテル、押しも押されぬ、日本一の格式のホテルではないかと……

今回も京都、大阪に引き続き、会場販売を致しました。

スポットライトがテーブルにあたっているので、右側のポスターがやや暗くなってしまいましたが、それでも写真を撮っている方がいらっしゃいました。

今回は会場入り口のすぐ横です。この前をお客様が通るので、人通りは賑やかでした。お隣のシガー販売ともども足を止めてくださる方が多かったです。

本を並べ準備万端です。3会場目ともなると手慣れたものですし、サンボアの方々とも顔なじみになりました。

そして三つの会場で話題になったかどうかは知りませんが、今回もサンボアのネクタイ(非売品)を締めて会場入りです。ブラウスは鳥が舞う柄です。会社の同僚に「サンボアと鳥でサントリー?」と言われましたが、そんなこと全く考えてもみませんでした。しかし、サントリーの副社長の挨拶もありましたし、それほど悪い語呂合わせでもないような……(汗)

右上に写っているのは、大阪のサンボアでいただいた百周年記念の缶バッヂです。全部で9種類くらい作られたようで、来店者にランダムでひとつずつ配布していたようです。

そして最後、『バー「サンボア」の百年』に、サインをいただきました!

追伸:

パーティーの最後に全オーナーが登壇し、締めの挨拶は最年少オーナー、数寄屋橋サンボアの津田さん。千両役者を思わせる見事な、そして感動的なスピーチでした。

サイン本、ゲット!

新刊『海峡を渡る幽霊 李昂短篇集』は台湾の作品ですが、かつて著者のリー・アンさんが来日したときに小川洋子さんと対談し、その模様は『小川洋子対話集』に収録されています。

 

黙っていても、中国小説ファンの方には『海峡を渡る幽霊』が刊行されたというニュースは届くと思いますので、ここはひとつ、小川洋子さんファンにも手を伸ばしていただきたいところです。

そんなリー・アンさん、先日来日されました。台湾文化センターで講演会も開かれました。

残念ながら、あたしは出張のために、講演会は聞きに行けなかったのですが、勤務先の同僚に託して、サインをいただきました。

「サイン本、いいなあ~」と思われた方、上掲のように紀伊國屋書店新宿本店に少しだけサイン本が入荷しています。急げ!

京阪の書店現場から~自社的な~

YAにもあたしの勤務先は参加していますが、四六判宣言にも参加しているのです。その四六判宣言のフェアがジュンク堂書店大阪本店で開催中でした。

四六判とはいわゆる単行本のこと。「文庫や新書では読めない作品を届けたい」ということで始まったフェアです。これだけ大々的に開催中ですので、お立ち寄りの際は是非ご覧頂ければ幸いです。

そして同店の四六判宣言のすぐお隣ではユルスナールのフェアが! ユルスナールは昨年12月が没後30年でしたので、ちょっと特集展示を提案してみたところ、このようにやってくださいました。深謝。

そして最後は新刊『スペイン語文法ライブ講義!』のために、著者がみずから身を削って(?)登場しているポップです。こちらもジュンク堂書店大阪本店です。

このポップは同店以外にも、あたしたち営業マンが持ち歩いて各店に展開をお願いしていますので、今後全国各地に出没するのではないかと思います(笑)。

京阪の書店現場から~YA篇~

あたしの勤務先もちょこっと参加しているフェアから。

丸善&ジュンク堂書店梅田店のYA(=ヤングアダルト)フェアです。エスカレーターで上がってくると、この棚がドドドドーンと眼前に現われるところは壮観です。

しかしこのフェア、この棚面だけではなく裏側に回っても上の写真のようにさらに展開が続くのです。先日トークイベントも行なわれたそうですが、3月には東京の丸善丸の内本店でトークイベントが行なわれるとのこと。興味のある方は是非!

京阪の書店現場から~タイムリー篇~

続きましては、またしても丸善&ジュンク堂書店梅田店。

チョコを贈るときに本もどうぞ、というわけでバレンタインデーとホワイトデーにあやかったフェアが開催中です。

この手のフェア、毎年どこかしらの書店で開催されているとは思いますが、書店員の方の趣味や傾向によってどういう本が選ばれるのか、なかなか個性があふれて楽しいものがあります。

こちらの場合は文芸書売り場ですので、主に恋愛をテーマとした本が多いようです。