夏は文庫だけじゃないんですよ!

新宿の紀伊國屋書店です。

吉岡里帆ちゃんが迎えてくれました!

って、特製の文庫カバーではないですか!

ついつい買いそうになってしまいますが、ここはグッと堪えて仕事です(汗)。

実は、2階の文芸書売り場でこんなフェアが始まったところなのです。

 

それが上の写真です。「夏の100冊」ってどこかで聞いたようなネーミングですが、こちらは単行本にこだわったフェアです。今回は出版社からちょっとしたおまけが提供されていまして、それが右側の写真のようなモノたちです。

もう少しラインナップをアップにしてみますと、あたしの勤務先のものが意外と多いのに気づきました。ありがたいことです。担当者曰く、文庫になってしまっているのは選から外すと自然とこういう出版社になりがちなんだとか……

 

で、あたしも一冊購入、そして国書刊行会さんのブックカバー(単行本用)をいただきました。嬉しいです!

そして、こちらはおまけ。

語学書売り場で飾ってあったポップです。

もちろん、担当の方のお手製です。

毎度毎度、この完成度、頭が下がります。

そして、ピックアップしていただいているのは、あたしの勤務先の書籍です。これまたありがたいことです。

さすが、東大!

 

勤務先が『科学の最前線を歩く』『分断された時代を生きる』を出しているから東京大学を褒めるわけではありませんが……

左の写真は、駒場の東京大学生協で開催中のUブックスフェアの様子です。

通常のUブックスや文庫クセジュの棚を整理して、そこで展開中です。

が、同店の担当の方の話では、やはりにゃわら版効果が絶大なのか、いつもより売り上げが伸びているそうです。なんとも嬉しい話です。

やはり、にゃわら版の冊子と帯がお客様の目を惹くのでしょうか? 夏休みとはいえ、東京大学が毎日毎日学生が大勢通っていますので、この時季のフェアですが、何ら問題はないようです。むしろ夏休みに入って若干空いているこの時季は、本をじっくり眺められるのかもしれません。

せっかくなので、もう少しアップの写真をご覧ください。

やはり帯が目立ちますね。とても愉しげな印象を受けます。

もう一つ、ノンフィクションフェアも開催中でしたが、こちらはいかにも東大という感じの展開でした。

どういうことかと言いますと、各社の本の横に、在庫のあったものや取り寄せができた洋書を一緒に並べていたのです。

このフェアに参加してくださった書店は多いですが、一緒に原書も並べているところは見たことがありません。こんなところがいかにも東大という感じではないでしょうか。

そして最後、文庫のフェアのところに置いてあった冊子です。「必読の23人」「お勧めの77人」として、全部で100人の知の巨人とその著作(主に岩波文庫など)がリストアップされています。

東大生ならこれくらい読んでおけ、という意気込みを感じます。

彼女は来ない、みたいです

この秋、上野の森美術館で大規模なフェルメール展が開催されます。年明けには大阪市立美術館にも巡回されるようです。フェルメールの作品が8点も一堂に会するそうです。

 

しかしながら、一番知られている作品の一つとも言える「真珠の耳飾りの少女」は来日にはならないようですね。残念です。

あたしの勤務先では、小説『真珠の耳飾りの少女』という作品を出しているのですが……

それでも、書店店頭にフェルメール展関連フェアをやるのであれば本書は外せない一冊だと思います。

あとは『フェルメール デルフトの眺望』などもお薦めです。

翻訳の最前線?

昨日は四ッ谷にある韓国文化院翻訳フェスティバルでした。かなり大きなホールでしたが事前予約で満席という盛況ぶりでした。

第一部は「本が生まれる現場から」と題して、晶文社、新潮社、白水社、クオンの編集者が翻訳作品を作る、出版するにあたって考えなどを披瀝、第二部は「翻訳の仕事最前線」として5名の翻訳家の方が実際の翻訳作業について、翻訳という仕事について語りました。そして最後の第三部は「翻訳コンクール」の授賞式でした。どれも興味深く、楽しいひとときでした。

個人的には、やはり出版社の営業として、第一部の編集サイドの意見というのは面白く聞けるものの、営業としてはまた異なった立場、考え方もあるだろうなあと感じました。もし機会があるのであれば、同じ出版社の営業部の人に登壇してもらって、翻訳作品について語ってもらうのも面白いかも知れません。

さて会場は、場所や主催者の関係もあり、韓国語や韓国文学に興味のある方が多かったのでしょうか? 業界関係者も少なからずいたようですが、多くのは翻訳家の卵のような方が多かったのではないか、という印象を受けました。翻訳コンクールに応募したけど選には漏れてしまった方もいたのだと思います。

あたしのこの印象が正しかったとして、今回のイベントがそういう方々にとって「これからも翻訳を続けていこう」という励みになったのか否か。いきなり出版社に自身で翻訳したものを持ち込んでもほぼ採用されることはないということでショックを受けた方も多かったのではないでしょうか? ただし、出版社としてもいつまでも同じ翻訳家にだけ頼っていることはできません。こういっては失礼ですが、翻訳家の方だって年をとりますし、いずれはお亡くなりになります。死んでしまっては翻訳を頼むことはできませんから、新たな翻訳家の発掘は出版社としても死活問題です。

もちろん生前においても、若い作家の作品を年老いた翻訳家が翻訳するというのはどうなのか、登壇されていた金原瑞人さんも多少ニュアンスは異なりますが、そんなようなことを語っていました。感覚にしろ言葉遣いにしろ語彙の選択にしろ、若いからこそ出てくるものってあるはずですので、そういう意味でも出版社は多くの翻訳家の方を、キープという言い方は失礼かも知れませんが、知り合っておきたいと考えているはずです。

まあ、独りでコツコツと作業をしている人がどれだけいるのか知りませんが、たいていの方は翻訳家の方がやっている翻訳教室や翻訳講座のようなものに通っているはずですので、その翻訳家の方を通じて出版社の人間を紹介してもらうのが一番の近道ではないでしょうか。出版社としても、ふだん仕事をしている翻訳家からの紹介であれば無視もできないでしょうし。

個人的には、第二部の座談、五名の方はアメリカ、ドイツ、台湾、イタリア、韓国の翻訳を主に手がけている方々でしたが、アメリカを除けばやはり翻訳の世界では少数派です。このあたりの、同じ翻訳家と言っても立場の違い、市場の違いに対する意識のずれやギャップが面白かったですし、興味深かったです。必ずしも英米が恵まれているわけでもないんだなあと感じました。

フェアをもう一つ

関西の書店で開催中のフェアをもう一つご紹介。

喜久屋書店阿倍野店で始まったUブックスフェアの様子です。

ご覧のように、今年のフェアはちょっとキャラクターを使って、見た目はいつになく賑やかなものになっています。

へぇー、こんな本もあるんだと、Uブックスのことを知らない方の目に留まってくれることを願っております。

京都駅前でフェア、やってます! 中高生よ、いざ集まれ!

関西で開催中のフェアのご案内を少々。

毎年恒例となりました、大垣書店イオンモール京都店のYAフェアです。YAって何? という人も多いかも知れませんが、そんな方はこちらをご覧ください。

そんなYAフェアの一角で、今年は人文会の高校生向け書籍のフェアも同時開催中です。ちょっと歯応えのあるものをお探しなら、こちらのコーナーがおすすめです。でも、そんなにガチガチに難しい本が並んでいるわけではありませんので、ご安心を。

YAフェアのコーナーでは、あたしの勤務先の手頃なシリーズ、Uブックスを集中的に展示しているスペースもございます。新書サイズなので、読むにも買うにもちょうどよいかと思います。

上に紹介した人文会コーナーの隣にはアジアの本の会のフェアも同時開催中。欧米ももちろんよいですが、日本のすぐ近く、アジアの国々のことをもっと知るべきではないでしょうか? そんな方にお薦めの書籍が揃っています。

以上、メインはYAなので中高生と思われがちですが、そんなことはありません。大人でも楽しめる本がたくさん展示されていますので、この機会に大垣書店へどうぞ。

受け取られ方?

昨日は、下北沢の本屋B&Bでイベントでした。白水Uブックスで復活した『マンゴー通り、ときどきさよなら』の刊行記念として、訳者のくぼたのぞみさん、解説を書いてくださった温又柔さん、そして帯文を寄せてくださった金原瑞人さん三人による鼎談でした。

既に感想などは参加された方がネットにいろいろと挙げているでしょうから、あたしが聞きながら感じたことを少々。

作者サンドラ・シスネロスはメキシコ移民の二世です。本作はそういう源流を濃厚に持った作品です。アメリカでは今も多くの人々に読まれていると言われる作品ですが、それは移民社会アメリカならではあり、ご自身も台湾に源流を持つ温又柔さんが本作に強く惹かれるのも理解できます。

だからこそ、日常的に移民を身近に感じることのない日本で本作はどのように受け止められるのか興味がありました。しかし、本作もアメリカでは主に西海岸の方で読まれていて、東海岸の方ではそれほどでもないとの話を聞き、やはり移民が身近なのかどうか、移民にルーツを持つ人がどのくらい暮らしているのかということが本作の需要に少なからぬ影響を与えているのだとわかりました。

となると、日本では本作はあまり受け入れられないのでは、という気がしないでもないです。しかし、これからは日本も移民を受け入れないと国が成り立たないとか、トランプが移民排斥政策を取ろうとしているとか、ヨーロッパでも移民(難民?)が社会問題となっていて右派の台頭が起こっているとか、そういう問題をしばしば耳にするようになったので、日本人にとってもいまや他人事ではすまされない問題になりつつあると思います。

そういう問題を意識する上で、もちろん専門的な書物、特にルポを始めとしたノンフィクションを読むのもよいでしょうが、こういった小説を読むことでも知ること、学ぶことはできると思います。そういう点で本書は格好の一冊なんだと思います。

と言いながら、実はあたし自身は本作を読んで、アメリカ社会で暮らす移民というテーマをあまり感じませんでした。それは本作の主人公がまだ移民たちが暮らすマンゴー通りで成長している時期を描いているからだと思います。これからマンゴー通りを出ると、きっと主人公は移民にルーツを持つからこその辛い思いや違和感を感じることになるのでしょう。本作ではそこまでは描かれていないと感じました。

それよりも、本作は多感な主人公が周囲の大人たちからいろいろなこと吸収しながら成長していく過程を楽しむべき作品なのではないかな、そんな気がしました。こういう受け取り方がよいのかどうかは別として。

そういえば、フェアの開催中でした!

静岡に宿泊した翌日は、まずは静岡の書店を訪問し、そこから一路東へ向かい、三島から帰京というスケジュール。

静岡駅前の戸田書店2階、レジ前の一等地で筑摩書房とのコラボフェア開催中でした。これはかなり目立つフェアです。

あたしの勤務先からはこんな感じの書籍が出展しておりまして、下の写真は筑摩書房の側。

お店の方曰く、両社とも同店の営業担当が静岡出身ということで持ち上がった企画なんだそうです。静岡営業マン対決ってところですね。さて、勝負の行方は?