キーワードは「巻き込み力」?

昨日は午後から、日比谷図書館で〈書物復権の会〉のイベントでした。毎年夏前に共同で人文を中心とした専門書の復刊を行ない、秋の東京国際ブックフェアで新企画説明会などを行なってきましたが、今年はそのブックフェアが中止となったので、今回のように場所を借りてシンポジウムを行なったという次第。

ちなみに、会に参加しているのは次の10社です。

岩波書店、紀伊國屋書店、勁草書房、青土社、東京大学出版会、白水社、法政大学出版局、みすず書房、未來社、吉川弘文館

特に専用のウェブサイトはというのはなく、各社がそれぞれ自社のウェブサイト内に特設コーナーを作って宣伝している感じです。とりあえず、今回のシンポジウムのリンクは東京大学出版会のサイトを貼っておきました。

昨日のシンポジウムのテーマは「知と人をつなぐ架け橋 変化する図書館と<出版>」で、千代田区立千代田図書館の河合郁子さん、武庫川女子大学附属図書館の川崎安子さんの基調講演、その後、みすず書房の持ち谷さんを加えてのパネルディスカッションという流れでした。

テーマの通りと言ってはなんですが、両図書館とも時代のニーズを捉え、さまざまな取り組みをやっているのがとても印象的でした。取り組み自体は、目から鱗というほど斬新なものではありません。が、それを確実に前へ進め成果を上げていくということは、それほど簡単なことではないと思われます。それを粘り強く続けてこられたお二人、そして両図書館はすごいと感じました。

千代田図書館は、その立地条件や過去の資産を活かした企画を精力的に行なっているようです。話の中心にもなった内務省委託本は研究者ならずとも非常に興味深いコレクションです。これらの研究者を巻き込んで、研究会を立ち上げ、成果を公開し、という一見極めてオーソドックスな取り組みですが、ここまで仕上げてくるのは相当な努力とエネルギーを注がないとできるものではないでしょう。

もう一つの、古書販売目録は、いかにも千代田図書館だなというコレクションです。古書販売目録なんてどういう利用価値があるの、という意見もあるかもしれませんが、過去の販売目録にはその後行方がわからなくなった(誰が落札したのか不明など)貴重な古美術品が含まれていることがあります。今となっては、目録に載っている写真だけが唯一の公開されている画像というものも少なくありません。こちらもやはり多くの研究者を巻き込んで成果を上げてきたようです。

その他、地元千代田区の出版社と組んだ企画展示も来館者の興味を惹いているようで、現在は「書評紙が選ぶ、今すぐ読みたいベスト16」を開催中だそうです。

武庫川女子大学は、日本一の規模を誇る女子大だそうです、知りませんでした。その図書館では大学の方針で、最近電子図書館を立ち上げたところだそうです。女子大という特性を踏まえつつも、教職員のみならず卒業生や作家も巻き込んで、コーナーを作ったり、企画を立ち上げたりして来館者、そして貸し出し数をこの数年グングン上げているそうです。

大学生は本を読まない、と言われているようですが、アプローチ次第では関心を持ってくれるようです。放っておいても本を読む子はよしとして、そうでない学生にどう本を読ませるか? やはり単行本よりは文庫本のようなのが残念ですが、それでも読まないよりは遙かにマシです。学術書は、先生が授業の時にどれくらい熱心に勧めるかが貸出率に大きく影響するようです。これは教科書の購入についても言えますね。

と、こんな話を聞き、パネルディスカッションで更に掘り下げ、更に打ち上げでもざっくばらんに話し込んだのですが、最終的に思うことはどれだけ周囲の人を巻き込めるか、ということなのではないか、そんな気がしました。

学びたいという意欲

昨夕は駒場の東京大学で金曜講座でした。正式には「高校生のための金曜特別講座」と言うように、午後5時半からですから、なかなかサラリーマンには参加が難しいイベントです。しかし、高校生は、自主的なのか学校の先生の指示なのか、あの雨の中、大勢が受講に来ていました。

さらに全国の高校、何校くらいでしょうか、生中継で結んで視聴、受講している学校も多数あったようでした。この時間ですから、中継先の学校は放課後に生徒が残って見ていたのでしょうか? とにかく、その金曜講座の2017年冬学期が昨日からスタートしたわけです。

そんな高校生向けの講座に、何しの目的で行ったのかと言いますと、別に女子高校生を物色しに行ったのではありませんよ(汗)。実は、この数年間の金曜講座の中からセレクトした講義を書籍にまとめ、それを少し前に刊行していたからです。

上の写真がその展示販売風景です。受付のすぐ隣でやらせていただきました。カバーの色鮮やかな『知のフィールドガイド 科学の最前線を歩く』と『知のフィールドガイド 分断された時代を生きる』の二冊です。

 

講座受講生への特別割引販売でしたが、やはり高校生にはちょっとお高いですかね? いきなり2000円前後の本を買うというのは、今どきの高校生の生活習慣にはありえないことなのでしょうか? むしろ引率ないしは自主的に参加されているとおぼしき大人の方が本書を買っていってくださいました。無料の社会人大学という感じで受講されている年配の方も多数いらっしゃいましたので、あの雨の中、熱心だなあと感心してしまいます。

ちなみに、一番左の『イタリア広場』は、昨日の講師、村松さんの訳書です。

金曜講座はこの後も年内数回行なわれます。毎回、展示販売を行なう予定です。昨夕も「今日はちょっと雨なので、次回買います」という方もいらっしゃいました。

イベントは終わったけれど

既に書きましたが、月曜日の晩は《ボラーニョ・コレクション》の完結記念のイベントでした。

なんと、関西在住の松本さんを除き、同コレクションの訳者が一堂に会したイベントでした。

そして、イベントは一夜の夢でしたが、会場となった紀伊國屋書店新宿本店の2階、海外文学コーナーではご覧の通り。

えっ、わかりませんか? では下の写真をご覧ください。

はい、中段で、《ボラーニョ・コレクション》を展開中です。ちゃんと全8巻、揃っています! もちろんコレクションの一冊ではありませんので、ここには並んでいませんが、『2666』もしっかり在庫されています。

更には、先日まで開催されていた《エクス・リブリス》フェアも終了しましたが、在庫僅少本も棚に並んでいます。

昨日現在、版元品切れのボラーニョ『野生の探偵たち(上)』も棚に在庫がありました!

参加はしたけど聞いてはいません

昨晩は、紀伊國屋書店新宿本店でトークイベントでした。

小野正嗣さんと野谷文昭さんによるトークです。

ちょうど昨日が配本日でした新刊『チリ夜想曲』の刊行を記念して、同書の訳者である野谷さんと、解説の小野さんによるお話です。なおかつ、同書の刊行をもって《ボラーニョ・コレクション》全8巻が完結しましたので、それを記念したイベントでもありました。

ご覧のような会場。座席は50席用意してありましたが、既に予約で満席。この手のイベントではどうしても当日来られない人が出るものですが、それ以上に当日のキャンセル待ちの方が多く、急遽丸椅子を追加して並べるほどの盛況ぶりでした。

ご覧のように、書籍の販売も行ないました。左側のかたまりが《チリ夜想曲》で、右側は《ボラーニョ・コレクション》の既刊と『2666』です。

来られた方、ほぼ全員、ボラーニョの本は既に持っているようで、お目当てはほぼ先行販売となる『チリ夜想曲』のようでした。「昨日が配本日」と書きましたが、配本日は発売日ではありません。出版社が出来上がった本を問屋へ納める日が「配本日」です。問屋から各書店へ本が配達されますので、都内であれば今日あたりから、地方の書店ですと飛鳥明後日くらいから、店頭に並ぶと思います。もちろん小さな街よりも大都市の方が早く、小さい本屋よりも大型店の方が早い、という差が出てくるのは現在の出版流通上やむを得ませんが、いずれによせよ今日以降、徐々に並ぶ書店が増えていくと思います。しばしお待ちください。

遂に完結、そしてイベント!

《ボラーニョ・コレクション》、遂に完結です。

本日見本出しの『チリ夜想曲』をもって全巻完結なのです。

それを記念して、訳者の野谷さん、解説者の小野さんのトークイベントを25日に新宿の紀伊國屋書店で行ないます。毎日新聞には上掲のような記事を載せていただきました。

で、その25日が同書の配本日です。

配本日というのは出来上がった本を取次(問屋)へ納品する日のことで、取次から全国の書店へ配送されますので、書店に並ぶのは26日や27日以降になるでしょう。

となりますが、イベントをやる紀伊國屋書店ではもちろん『チリ夜想曲』が並びます。いち早く手に入れたい方、紀伊國屋へどうぞお越しください。

格差社会

下の写真、いわゆるフェア拡材です。

左は《エクス・リブリス》創刊50点記念フェアのリーフレット、右は《クレスト・ブックス》のフェア用小冊子。

大きさの違いもさることながら、《エクス・リブリス》は二つ折りの4頁、《クレスト・ブックス》は16頁立ての中綴じ小冊子、お金がかかっているのがわかります。出版社の地力の差って、こういうところに現われるのでしょうか?

いや、大きければよいというものではないですし、ページ数が多くてもかさばる、という問題がありますから、どちらがよいというのではありません。そもそも大手も大手、新潮社の看板シリーズと比べるのが間違っているわけでして……

あっ、ちょっと卑屈になりすぎました(汗)。

ただ、《クレスト・ブックス》の冊子の方には、今後刊行予定の作品について訳者が語っているコーナーがあります。これまでを振り返るのもよいですし、そういう拡材なら簡単に作れますが、今後を語るのはファンにとっては楽しみが増えるので嬉しい記事だと思います。《エクス・リブリス》もそういうところは見倣っていかないとなりませんね!

少しは反響があるでしょうか?

昨日の朝日新聞の夕刊です。

夕刊なので関東ローカルな記事ですが、和田誠さんの展覧会があるそうです。会場はたばこと塩の博物館、「和田誠と日本のイラストレーション」です。

実は和田誠さんの本、あたしの勤務先でも多少は出していまして、この展覧会にふさわしいのは『四人四色』ではないかと思います。

 

上掲写真以外では、イラストの話ではありませんが、『連句遊戯』や『五・七・五交遊録』といったものも出しております。

この機会に如何でしょうか?

またしても岩波書店の吸引力にやられてしまいました

昨日のダイアリーで、世田谷の成城堂は岩波文庫や岩波新書の宝の山だと書いたばかりですが、こんどは都心のブックファースト新宿店です。

ご覧のように岩波書店の蔵出し本フェアをやっています。9月上旬までのようです。

蔵出しと言うからには在僅本のフェアかなと思いましたが、意外と最近のものも並んでいました。が、そんな中、ちょっと珍しいものもチラホラ……

というわけで、またしても買ってしまいました(汗)。

もー、岩波書店のバカ、バカ!

なんとなく気になるイベント

紀伊國屋書店新宿本店の壁に貼ってありました。

あたしもちょっと気になっている新刊『ナチスの「手口」と緊急事態条項』の刊行記念トークイベントですね。石田勇治さんは『過去の克服』をはじめ、あたしの勤務先でもたいへんお世話になっています。

 

こんどの新刊同様、このトークイベントもとても興味深いですね。

お次はフクロウのフェアのようです。いや、写真撮影会でしょうか?

あたしの勤務先とフクロウって、一見すると何の関係もないようですが実は『フクロウ その歴史・文化・生態』なんていう本を出しているのです。著者はあのデズモンド・モリスです。

このイベントに来るような方は、言わずもがな、既にこの本は持っていますよね?

イベントには間に合いませんが新刊が出ます

紀伊國屋書店新宿本店に貼ってありました。

あたしの勤務先でもお世話になっているお二人、中野剛志さんと柴山桂太さんのトークイベントがあるようです。

このイベントはお二人の著書のイベントなので、あたしの勤務先はあずかり知らないわけですが、来月にはお二人が訳者として参加されている『[新版]〈起業〉という幻想 アメリカン・ドリームの現実』が刊行になります。

本書は、時々言及されることのある書籍なのですが、ここしばらくは品切れとなっていました。今回新版として再びのお目見えです。